夏のローマには必須のナゾーネ

IMG_1665

9月も半ばに差し掛かるところですが、ローマはまだまだ暑いです。上の写真は先日アメリカ人の友達Mと一緒にウォーキング(ランニング)に行ったVilla Doria Pamphilij(ヴィラ・ドーリア・パンフィーリ)のある、ジャンニコロの丘の近くのFontana dell’acqua Paola「パオラの水の噴水」です。これはローマっ子には通称でIl Fontanone(イル・フォンタノーネ、つまり大噴水)と呼ばれていてアカデミー賞を取った映画、La Grande Bellezza(邦題は「グレート・ビューティー/追憶のローマ」)の一番最初のシーンで出てきます。この写真を撮った私の位置からくるりと振り向くと高台からローマが一望できるのですが、映画では、ここで日本人観光客のグループのツアーをやっているんですね。ツアーガイドのローマ人女性は噴水の話をしているんですが、ふとそのローマ全体の景色をみようとグループから外れて歩いていく日本人のおじさまが、なんと心臓発作で倒れてしまうところからお話が始まります。この映画はオスカーを取ったとはいえ、評価はバラバラで、イタリア人の友人の感想も最高のものから最低のものまであります。この映画が好きじゃない人は高い頻度で「よくわからない」と言います。何とも表現しづらいのですが、この映画の「どうだ、よくわからないだろう、これが芸術だよ」と上から目線で言われている感覚は私も分からないでもないです。でも私はこの映画が好きです。なぜなら私の好きなローマがたっぷり詰め込まれていて、愛情を感じるから。

いつものことながら、話がずいぶん逸れましたが、私が今回書きたかったのは、ローマにいるとあまりにも水が豊かなので、その贅沢な状況を当たり前に感じてしまう、ということです。ちょっと前にも書いたんですが、ローマ中にnasone(ナゾーネ)と呼ばれる十分飲める水が、ローマ帝国時代からの上水道通って出てくる、小地蔵のようなものが設置されています。2千年以上経って、このシステムがまだ使われていることに毎回驚きます。でも現代イタリアも頑張っていて、この全てのナゾーニ(複数形)は完全登録されてアプリ「Waidy WOW」で確認することができます。

IMG_0972

先日、ランニングしながらヴィットリオエマヌエーレのマーケットまで行ってきたのですが、こうしてローマでのランニングでは水筒を持っていかなくていいので、喉が渇くとそのアプリで近くのナゾーネを探すわけです。

そしてこうしてナゾーネのアイコンに向かって歩いていくと、当たり前ですが普通にポツンとナゾーネが立っているので頼もしいです。個別のアイコンをタップすると有志の努力で写真が出たり、水の安全性などの情報が出たりするので嬉しい限りです。ローマ全体に3000近くのフォンターネやナゾーニがあるらしいですよ。

このアプリは1日飲んだ水の量などを記録できる機能もあるので、私は結構頻繁に使って暑い夏でもうっかり脱水しないように気をつけています。

IMG_0974

閑静な住宅地でもこうして普通に道端に飲める水がふんだんに出ていて、無料でしかも美味しいなんてローマ帝国すごいなぁと本気で思います。

IMG_0979

ただ、イタリアは全般的に硬水で、特にカルシウムの量が半端なく、硬水に慣れていない人はあまりガブガブは飲まないほうがいいかもしれません。私の鈍感な腸は全く影響を感じていないようなので、この辺りは人によるかもしれませんね。ちなみにナゾーネは、ナーゾ(鼻)の語尾変換で「大きな鼻」というような意味です。でも英語にするとこの言葉は「ノズル」というような変異を遂げているので、日本人からしてみるとノズルと言ったほうがしっくりくるかもしれませんね。水は暑い夏でも驚くほど冷たく、ペットボトルに入れてみるとわかるのですが、全く汚れていません。蛇口の先を押さえると、ノズルの上に開いた小さな穴から水が上に出てくるので、そこから直接口をつけずに水を飲むことができるという仕組みになっています。夏もあと少しですが脱水にはお気をつけて、皆様、残暑お見舞い申し上げます。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *