イパネマのおばさん

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割と前のことになりますが、2023年の6月にブラジルに出張に行ってきた時のことを書き留めたくて書いています。この時はまずはサンパウロの近くのカンピナスとという街で会議に参加したあと、私が今の職場に勤めてすぐくらいの時からもう18年以上も一緒に仕事をしているブラジル人のMがリオデジャネイロでの仕事に招待してくれて、一度の出張でサンパウロにもリオにも行けてしまうという2度美味しいみたいな経験をさせてもらえました。仕事をするには明らかにサンパウロの方がやりやすいし、治安も格段にマシなんですけど、リオはやっぱりブラジルらしくていいなとすごく思いました。上の写真はイパネマビーチなんですけど朝陽が出たらみんなこの辺りをランニングしたりしていて安全と聞いたので毎朝のように散歩に行きました。イパネマビーチといえばボサノバの名曲「イパネマの娘」ですけど、困ったことに私がビーチに出るたびに私の脳がノンストップリピートで頭の中で♪Tall and tan, and young and lovely, the girl from Ipanema♪と曲を勝手に流すのでこの後これを脳内から打ち消すのに3週間以上かかりました。

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ブラジルには日本の居酒屋的な立ち位置のボテコ、と呼ばれるタイプのレストランがたくさんあります。ほとんどはパステルと呼ばれる揚げ餃子のようなものやお肉料理が普通らしいのですが、私のことをよく知るMが、海鮮がいいでしょと言って連れてきてくれたのが、この「海のブッチャー」と呼ばれるボテコ。ロブスターの唐揚げや、タコのセビーチェなど美味しいものたっぷりでした。

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そして飲むのはカイピリーニャ。ブラジルならではのサトウキビ(カシャッサ)のかなり強めのお酒と、ブラジルならではの新鮮なライムで作る爽やかなカクテルなんです。甘くて美味しいのですがアルコール度はなんと48%。ということで、私は上のカクテルはカシャッサではなくウォッカに変えてもらいました。中に見えている赤い皮のリンゴのようなものは、なんとカシューの実。カシューナッツのカシューです。現に、カシューの実の、ちょうどりんごのヘタのような部分をドリンクの上に乗せてもらっているんですが、これがカシューナッツの成れの果てです。実の方の味はりんごっぽい見た目の割には柿っぽい味でした。

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リオの市内にいるといろいろなところからこのジーザスが見えます。思った以上の迫力で、かなり大きいのがよく分かります。結構お値段がするチケットを買ってロープウェイで近くにも行ってきました。

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でも狭いところに本当にたくさんの観光客がいてなかなかの混み具合でした。ここから見るリオの景色も素敵なので行って良かったとは思いましたけれど、一度行けばもうそれでいいかなという感じがしないでもないです。

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有名なコブラの五大陸グラフィティも見に行ったんですが、オリンピックの時のあの色鮮やかな彩色がほとんど色褪せてしまっていて、まあそれはそれでまた良い感じだったのですが、あの色使いがコブラの持ち味であると聞いていたのでちょっと残念と言った感じでした。椰子の木が思った以上に育っていて写真を撮りづらい状況になっているのも少し残念。

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そして強烈に記憶に残ったのがブラジルで頼む瓶ビールの冷たさ。よく冷えている、どころではありません。氷のような冷たさです。それも常にです。どこでビールを頼んでもこうして温度をしっかり管理するカバーがついてきて、ちょっとでもぬるいとお客さんが「これビールじゃないよ」とクレームをつけるそうで、とにかくキンキンキンキンなビールがどこでも出てきて感動しました。

ところで私の、と言うより私の同僚もみんなそうだと思うんですが、出張時の自由時間というのは実は本当に限られています。こうしてブログに色々書くときに思うんですけど、例えば一番上の写真で、イパネマのビーチを散歩して写真をとったりして楽しんでいるように見えるだろうし、実際自分自身その時は楽しんでいるにはいるんですが、これのために5時には起床します。身支度をして、30分ほどコンピューターに向かって会議の最終準備をして、超特急で15分でコーヒーと朝食をいただくんですね。なぜ朝食を急ぐかというと、そこで稼いだ時間を観光に充てるわけです。30分くらいが朝食時間として適当かと思うんですが、それを15分に短縮することによってこうして急いでビーチに走って行って散歩して写真を撮る時間ができるわけです。そして急いで帰ってくると7時に始まる会議のためのお迎えが来るのでそれに間に合うように準備する、と言う結構バタバタでギリギリの観光時間の確保になります。

お食事も実際楽しんではいるのですが、仕事相手とも打ち合わせも兼ねていたりして、1日中続いたワークショップの後に「ああ今日はちょっともうお部屋に帰って横になりたい」と思っていたとしてもにっこり笑顔で「行きます!」と行って会食に3時間ほどお付き合いすることもあるわけです。有名な観光地に連れて行ってくださる親切なカウンターパートのお誘いを断ることは、私はほとんどありません。どんなに時差ボケでも、どんなに疲れていても、どんなに興味がなくても(これは私には当てはまりませんが)、だいたい「行きます!」と二つ返事で行くことにしています。日本の社会人の皆さんは、特に私のように昭和な皆さんはこういうのは当然だと思っている方も多いと思うんですが、こうして国際的な機関にいると、文化が違うとこういった社交行事を全部スルーする方ももちろんいらっしゃいます。もしかしたら新しい世代の皆さんは日本でもそうかもしれませんね。それはそれで全く悪いことではないし、私のように社交イベントにお付き合いすることが必ずしも良いこととは限りませんが、私はなるべく現地の方の文化の方に合わせるようにしています。現地の方がドライな場合はこちらもドライに過ごす、現地の方がホスピタリティいっぱいだったら、合わせておつきあいさせていただく、という感じです。

何が言いたいかというと、写真だけ見るとこれ以上の楽しいことが起こっているように感じられるかもしれないんですが、実は楽しい部分はこの写真だけ、ということも多い、ということです。もちろん2週間の仕事のことを延々とここに書いても構わないのですが、そんなに読みたい人(未来の私や家族を含め)がいるだろうか、と思ってこうして楽しい部分だけ抜き出して書いている、と言うことを念の為、忘れないように書いておこうと思ったのでした。まあインスタグラムの世界のように虚構に近いものではありませんけれどね。

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