私は2006年の1月31日からイタリアに住み始め、途中2017年から2020年まで丸4年のバンコク生活を除くと、今年の2月1日でそんなイタリア生活も15年目を迎えたことになるんですね。そんなイタリアで私もいろいろなところへ行き、興味深い人々に出会い、別れ、といろいろな経験をしてきたわけですけれど、なんとイタリア料理教室には行ったことが無かったのです(大袈裟)。バンコクではかなり熱心に通ったというのに。それで今年の3月、職場の同僚の皆さんと仕事上のチームワークを良くするための活動の一環としてクッキングクラスに参加することにしました。ピザを作るコースとパスタを作るコースとあったのですが、私はパスタコースに参加してみました。一緒に参加したのはアメリカ人3名、ポルトガル人1名、インド人1名、私(日本人)1名の6人のグループ。
イタリアのパスタにはいろんな種類がありますが、卵の入ったパスタにしましょう、ということでまずはこうして小麦粉で「コロッセオ」を作るように言われます。小麦粉は00番という種類で、日本の薄力粉とか中力粉とかそういう区別とは別のカテゴリー(多分タンパク質含量に関係がありそう)のものを使います。そこに卵を割り入れて、フォークでひたすら卵をかき混ぜ、少しずつコロッセオの内側を崩していく混ぜ方で生地を作っていきます。そして一塊になったらパンをこねる感じで親指の付け根の膨らんだ部分を使ってグルテン生成に尽力します。最終的に表面を指で押してみて、ゆっくり戻ってきたらいい感じ。まとめてラップします。
生地は20分以上冷蔵庫で寝かせ、その間にグアンチャーレを使ったソースの準備をしたり、いちごのジェラートを作る準備をしたり、パスタマシンのことについて勉強したりします。そして上の写真が寝かせた生地をのばした状態。少しずつ薄くしていくことが大事だそうで、パスタマシンの目盛りをちょっとずつ大きく(薄く)しながら大事に大事に生地を広げていくのです。
まず作ったのが、リコッタとほうれん草の詰め物を入れたラビオリ。こうして半分に折って作るのですが、手前に端が来る(上が中折りになる)ようにやらないと結構大変なことになります。一緒のグループの中の一人が逆方向にやっていて最終的に失敗しまくりでした。上の写真の左上にあるラビオリカッターを使うやり方で切るのも簡単ですが、ピザカッターのような形のものでギザギザにするのもなかなかいい感じになります。ガラスの丸いコップでぎゅっと押して切って、フォークの先で模様をつけるやり方もかわいい仕上がりでした。いずれにしても、上の写真でわかるように、中の具の周りに空気が入らないようにするのが大事だということでした。出ないと茹でる時に爆発してしまう原因になるらしいです。私が作った6個はこちらの写真で見ることができます。一番下の2個がラビオリカッター、真ん中の2個がピザカッター、上の2個がコップとフォークです。
次に作ったのがこの生タリアテッレ。奥に置いてある楽器のようなものがタリアテッレカッターで、伸ばしたパスタ生地を上に置いて、麺棒で弦のようなものにそっと押し付けて、最後に弦を右から左に奏でると、音楽と共にタリアテッレが切れて出てくるという、とても原始的なのにエレガントな道具です。名前もキタッラ(ギター)で、「パスタ用ギター」という感じで呼ばれているようです。
そしてこちらがアマトリチャーナのソースを使って出来上がったタリアテッレです(ちなみにラビオリの出来上がりはこちら)。本来はアマトリチャーナに合うパスタはブッカティーニかリガトーニが王道だと思いますが、太めのしっかりしたパスタだったらだいたい合うんだと思います。でも私にはちょっとタリアテッレとアマトリチャーナは「ん?」という感じだったような気がします。ただ今回気づいたのは、教えてくれたエリザという美人のインストラクターの女性が、最後のキモの「マンテカーレ」工程に異常に時間をかけていたという事実。マンテカーレ(乳化)が大事というのはイタリア人のほとんどの皆さんが教えてくれますが(他にも大量の水と塩の重要性とか、沸騰のボコボコ具合の重要性とか、時間に頼らず自分の歯に頼る茹で具合とか、いろんな大事ポイントはあることはあるんですが)、蓋をして本格マンテカーレの前に1分以上小刻みに揺らしたり、チーズを入れるときも熱々のところに向かってチーズを急いで混ぜないようにちょっと時間を置いたりしているのをみて、ああこれか!と思ってしまいました。アマトリチャーナを頼んだ時に、サービス的には雑にバーンとテーブルに置かれるのに、パスタの表面が気持ち表面だけとろっとしていてやたら美味しいレストランがある時があって、秘密はやっぱりマンテカーレだったか、と思って感動しました。
私が担当になって気持ちを込めて作ったジェラートも伝統かつ高価なイタリアのジェラートマシンのおかげでとっても美味しく出来上がりました。真っ赤ですが、これイチゴの色だけでこうなっているんですよ。味もすごく爽やかで美味しかった。こうなってくると、ピザのクラスも気になってきます。クラスでは最後にローマの美味しいレストランなんかも教えてくれるのでお得な感じもします。エリザの友達が最近開いたレストラン、というのを教えてくれて、そこに最近日本から遊びに来てくれた甥っ子のKと夫のAさんと3人で行ってみたのですが、本当に素敵なヒップなところで味もすごく良かった。こうしてクッキングクラス行ってみて良かったです。また機会があればぜひ行ってみようかと思います。