金曜日に自主隔離明けのPCR検査を受けて、無事に陰性証明をいただいた私は土曜日に、晴れて堂々と外を出歩ける自由を手にしたので、朝からランニングに出かけてきました。ルートはローマの東側、旧アッピア街道を南下するというもの。つくばでも夫のAさんにお付き合いいただいて、毎週土曜日走っていたので、これからも天気さえ良ければ土曜日に続けていきたいなと思っています。
景色だけの話をするとローマはどこを走っても素敵なんですが、実はローマには注意すべき点が5つあります。(1)まず非常に大事なのが犬のフン注意。景色に見とれていてはいけません。踏んでしまうと思わず「Sxxx!」とフンそのものの言葉(イタリア語だと「Mxxxx!」日本語だと「ク○!」でしょうか)を発する羽目になるし、せっかくの走り慣れたお気に入りのシューズを突然捨てたくなるという悲劇が起こります。(2)そして石畳注意。走りはじめはちゃんと足も上がっていて、踵着地のランニングフォームも良い感じなんですが、疲れてくると足がきちんと上がりきらずに、石畳のちょっとした段差にすらつまづきそうになるので、いつもにましてフォームに気をつけてしっかり足を蹴りあげて走ることが必要になります。(3)そして車注意。こういう面ではかなり「自己責任」的なものが重要になってくる国民性ですので、蛍光色の目立つ服装をすることも大事だし、うっかり交通事故に遭わないように、自分がメインで気をつけることが大事かと思います。(4)そして必ず明るい時間に走ること。ローマは街灯が少ないのでちょっと曇ったくらいですぐ真っ暗になります。(5)そしてあらかじめ危なそうなエリアを避けること。私は以前ここに11年住んでいたので危ないエリアは感覚と知識で大体把握していますが、ローマでのランニングそのものは初心者なのでランニング経験者(女性)に聞いて避けるべきエリアを改めてマークしました。と言ってもローマは観光地でのスリ以外は実はそんなに危ないことはほとんど起こらないんですけどね。でもこれは東京も同じだと思うんですけど、いつでも、何をするにせよ、万一に備えた方がいいに決まっていますよね。だから緊急用にスマートフォンは常にフル充電で携帯し、水筒も持って(給水もできるし、いざとなったら振り回せるしね)、という助言にしっかりしたがって、いざ、という感じで走ってきました。
上の写真が紀元前312年に作られたアッピア街道が当時の敷石のまま残っている部分です。敷石はナポリのヴェスヴィオ山の玄武岩を運んだらしいですよ。ローマってこうやって紀元前の人工物、しかもものすごく高度な技術や知恵が注がれたものが突然目の前に現れて、21世紀の今も同じ用途で使われていたりするのでちょっとドキドキします。犬を散歩させている人が犬にここで用を足させてたりするし、自転車でここを走ると結構危ない感じでハネるらしく、イタリア人の子供たちがきゃっきゃっと歓声を上げながら自転車とこの石畳で遊んでいたりします。でもこういった古い大きな玄武岩の敷石が残っているのはほんの一部だけで、16世紀くらいからアッピア街道のほとんどは、ローマの歴史地区のほとんどを覆っている、サンピエトリーニと呼ばれる10センチくらいの黒い石畳になっているので多少はマシです。でも16世紀って結構なかなかに古いですけどね。サンピエトリーニに覆われたアッピアは下の写真の感じ。
私は普段、ローマでも何故か必死で負けずにヒールの靴で頑張って歩きますが、ピンヒールだとこのサンピエトリーニの隙間にグサっと刺さってヒールの皮が悲しいことになったり、歩いている最中なのに靴が脱げ、裸足になった挙句つまづいてダサい感じになったり、とそんなにいいことはありません。今回ランニングシューズで走っていて、こんなに楽なのか!と驚いてしまいました。当たり前ですけど。アッピアを南下して走っていくと、私のお気に入りの「考古学」という名前のついたレストランが見えてきます。ここは中庭が本当に綺麗で、日曜日のゆったりランチにすごく最適です。そしてそこから少し丘を登るような感じでさらに南へいくと、チェチーラ・メッテラの墓の遺跡があります。
まるで要塞のような見た目ですが墓廟だそうで、紀元前1世紀に建てられたものらしいですよ。詳しくはWikiのページをご覧ください。ここまで来ると、我が家から大体4キロくらいなので私の体力からするとちょうど中間地点になって復路につく目安となります。こうやってふらふら時には写真を撮ったり、アッピア沿いにあるバールでコーヒーを飲んだりしているので全然真面目に全ルートをしっかり走っているわけではないのですが、それなりに汗をかいてすごく気持ちが良くなりました。
ところで冒頭に書いたPCR検査のことを覚えておきたいので書いておきますが、イタリアと思えないほどしっかりとした手順で終わったので感動しました。まず、私が入国した4月13日には自主隔離を14日間する、というのが決まりだったのですが、別に自主隔離後のPCR検査は義務ではなかったんですね。でも4月の末にルールが変わって、日本が含まれているカテゴリーEの国々から入国する場合は自主隔離は10日間、そして自主隔離後のPCR検査を必ずしなければならない、となったわけです。私はその時自主隔離12日目だったのですが、どっちのルールに従わなければいけないかわからなかったので、職場のメディカルユニットと相談して、どちらでも大丈夫なようにしておきましょう、ということで面倒ですが、14日間の自主隔離プラスPCR検査、ということにしました。検査はオンラインで予約でき、名前、住所、生年月日、性別、携帯の電話番号、個人納税者番号(イタリアの)、パスポート番号、渡航経路、などなど全てネットで記入して確認も行われるんですね。そして日時と時刻を予約番号とともに指定され、その時間の5分前より早く来るな、と念を押され(ソーシャルディスタンスのため)、いざいくと、受付は10秒、実際の検査は20秒くらいで終わりました。あとはまたオンラインでログインして渡された個人のユーザーネームとパスワードを入力すれば、数時間内に検査結果のPDFがダウンロードできるというもの。イタリアでこんなにすんなり物事がうまく行ったことは数えるほどしかないので大感動してしまいました。
でもね、ちょっと思ったのが検査自体が結構なんというか、ものすごい徹底ぶりでした。成田でやった時は左の鼻の穴にグーっと思ったよりずっと深く(8センチくらい)突っ込まれただけだったんですが、全ての所要時間3秒と言ったところ。「すぐ終わるから大丈夫ですよ」と優しく声をかけてくれるのもかなり不安を取り除いていただけるので本当に嬉しかった。でも今回のローマの場合は、まず「口開けて!」とぶっきらぼうに言われ、え?口なの?と思ってるヒマもなく、吐くかと思うほど喉の奥まで突っ込まれ、ちょっとえづいたところで抜いて、その同じ棒を右の鼻の穴にグーっとやっぱり8センチは入れてぐるぐるとかき回され、さらに今度は左の鼻の穴に奥深く入れて同じようにかき回されたので所要時間20秒だったのでした。そのあと数時間ヒリヒリしました。流石にこんだけやれば偽陰性は結構防げるだろう、というほどのしつこさでした。あとで日本人の友達のOさんに「悪意すら感じたよ!」といつものように大袈裟に伝えていたら「検査する人女性だったんじゃない?」と言われました。そうなんですよ、全てにおいて基本的に女性に優しいイタリアですが、検査官が女性だとその恩恵もそんなに感じられません。あと、PCR検査は英語だと「綿棒検査」という感じでswab testという風に省略されがちなんですが、イタリア語で綿棒はタンポーネ、つまりタンポンです。だから「唾液検査ですか?タンポン検査ですか?」とか聞かれたりするので心の準備がないと、え?タンポン?と思ってしまうかもしれません。久しぶりのイタリア語で、私は簡単に数秒間「え?」となりました。
さて、ランニングが終わって、シャワーをしたあとは久しぶりにイタリア人の友達とサタデーブランチに行こう、ということになって、歩いてマリゴールドというおしゃれカフェに行ってきました。ここは私が前回ローマに住んでいた時はなかったところなので私も初めて行ったんですが、すごくインターナショナルな雰囲気で、明らかにイタリア人ではない人々が働いていました。多分ですけどデンマークとかそういう北欧の方のアクセントだったのでメニューも北欧っぽいかと思いきや、結構オリジナルな無国籍な欧州と北米のミックスのようでいて最近のトレンドのヘルシー志向は思ったより薄めだったので、私の好み!とかなり高まりました。小さなベイカリーもあって、ブランチ後に友達はマーマレード(イタリア語でマルメラータ)の大きな瓶を買ったし、私はグラノーラを買ってみました。日曜の今朝、グラノーラをヨーグルトと一緒に食べてみたんですけど、刻みココナッツの甘さだけでものすごくナッティで丁寧にオーブンで焼かれていて、すごく気に入りました。お菓子も全部美味しそうでした。下に写真載せておきますね。また行って違うメニューも試してみたいです。