eバイク生活のススメ

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2021年の11月に私の元にやってきた新しいバディであるこのeバイク(電動アシスト自転車)と毎日を過ごすようになって約3ヶ月(12月はほとんど日本にいたので)になったし、やっとローマでの自転車生活に関する色々なことに少しずつ慣れてきたのでちょっと自転車について書いておこうと思います。2021年の4月にローマに再引っ越ししてきてすぐに、アパートを貸してくれている長年の友人であるMは、私のライフスタイルを把握しているため、すぐに車生活を始めるだろうと思ったらしく、シャッター付きのガレージも貸してくれたんですね。地下駐車場の角にあって鍵もかかる安全なところです。でもそこに駐車をして、快適な乗り降りも必要なことを考えると、車はヨーロッパによくあるコンパクトカーのサイズがピッタリのガレージなんですね。Mは私の長年の愛車だったローランギャロスのプジョーを覚えているので私がきっとそういう車を買うと思ったんだと思います。そこから考えること約1ヶ月半。私は大きな決心をしました。

それは車生活からの一時的な卒業です。私は18歳で免許(普通免許と当時は「中型」と言われていた二輪免許)を取ってからほぼ毎日、車(初はシトロエンBX)かバイク(初はヤマハのビラーゴ)に乗る生活を送っているので車なしは実は生まれて初めてです。日本でも、アメリカでも、タイでも、前回10年以上このローマにいた時も、最初にした大きな買い物は車でした。あ、アメリカでは友人の車を借りて自分のもののように運転してましたが。ですから一時的とはいえ車を卒業するなんて、昔の私を知っている人からしてみたら驚きだと思います。私は車が、というより車を動かしているエンジニアリングの部分の原始的かつ磨き上げられた人智のような部分が、とても好きなのです。

芸術的でかつ単純なシャフトのピストン上げ下げでぎゅっと陰圧になったところにガソリンに点火してミニ爆発を起こして、気体を膨張させてクランクシャフトが戻って歯車を回してそれが動力になる、なんて、考えただけだと超絶原始的に感じるのに、そこにハンドルやらブレーキやらのインプットが組み合わさって快適な車の操作がシームレスに行われるなんて感動ですよね。ご存じない方のために説明すると、二輪も仕組みは原則的にはほぼ同じで、路面の段差が体(お尻や足ですね)に直接伝わると普通に危ない(転倒します)のでサスペンションの仕組みがすごいことになっています。サスペンションは、私が乗っていた頃は(何十年前だろう、遠い目)気持ちが尖っていたので、硬めにセットした方がコーナリングがいいんだ、とイキってましたが、歳を取ってから思うと、普通に危ないから柔らかくしといた方が快適だし安全に決まってます(でもコーナリングはちゃんと減速して攻めない方がいいですね)。

バイクは排気量が小さくても車体が軽いから、車に負けないスピードが出てかっこいいですよね。私はローからセカンドに入れるのを秒で済ませて、その後をサードまでギリギリまで引っ張るのがとても好きだったなーと突然思い出しました。音的には「カン、ドゥッ(クラッチすぐ切る)、カンカン、ヴーゥーゥーッ(限界)、カン、ウーーン、カン、ブーーーン(トップで快適)」というギアチェンジ。でもそれを実際やっているのは田舎の公道を道路交通法を完全に守った状態での信号待ちからの発車なので普通にダサいんですけどね。気持ちだけギアチェンジにこだわった、そういう感じだったんです。あ、自転車の話をしたかったのに、私ったらなぜか車とバイクの話に熱くなっています。すみません。

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で、なんの話かというとそんな私が一時的に車を卒業しよう、と試みているわけです。とはいえ、この試みを始めてまだ1年も経っていないし、マイチャリライフ自体は3ヶ月しか経っていないので、ここはひとつ生暖かい目で見てあげてください。もしかしたらすぐに諦めてそのうち普通にローマで車を乗り回している可能性もあります。で、買ったのはVanMoofというオランダ生まれのバイクで、ヘルメットはせっかくイタリアにいるのでKASKにしました。フロントキャリア(買い物かご)もリアキャリア(後ろの荷台)もつけてバリバリのママチャリ仕様です。パニア(自転車用の雨天に強いバッグ)も嬉しく買ったんですが、単に私の毎日のランチやコーヒー、プロテインドリンクなどをオフィスに運ぶためだけの高価な袋と化しています。

で、3ヶ月で色々考えたのでまとめようと思います。まず「時代」。多分私がこの自転車生活で問題なく毎日を送れているのは、この2021年と2022年が、世界的にもチャリライフのためにあるような特異な時代であるからであるということです。南ヨーロッパも、北ヨーロッパに続いて、今は空前の自転車ブームで、自転車の部品が全然生産に追いついてないそうです。私も去年の4月の末に自転車をオーダーして、届いたのは11月の頭でした。元々は6月と言われていたので5ヶ月の納期遅延でした。

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そして、これが驚きなんですが、このバリバリの車社会であるローマの中心部の道が、なんとここ数年で自転車のために結構なスピードで再開発されて、バイクレーンやバイク用の信号が整備されているのです。ローマ人の皆様の意識と行動はまだそれに追いついていなくてバイクレーンに立ちはだかって数人で楽しそうにおしゃべりしているおじさま方や、バイクレーンを塞ぐ形で違法駐車している車なんかも時々見かけますが、それでもこのバイクレーンがローマの中心の通りに普通に作られるなんて、本当に大きな変化です。感動です。信号停車中の写真が下の写真。

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そしてやっぱり、というところですがチャリライフは「経済的」。もちろん家庭内の経済の話ですが。明らかに私、貯金が前よりできています。もともと貯金は苦手ですが、車だとやっぱり毎日の(出先の)駐車場代とか、ガソリン代(2022年3月現在、イタリアでのペトロールは高騰しまくりで、なんと1リットル2ユーロになっています)、に加えて定期的なメンテナンス代、車検、ものすごく高い保険代などなどを考えると結構な出費だったのでそこに当てていた費用が丸っと貯金に回っているという状態です。ただ、チャリ「ライフ」が経済的なだけであって、eバイク自身のお値段、そのほかのアクセサリのお値段というものがありますからね。まあもちろん車もそうなんですけれど。

そして「健康的、ではない」。eバイクは全くと言っていいほどエクササイズにはなりません。まあある程度の丘を登ったりすれば息も切れるし汗もかきますが、通勤くらいだったらなんの運動にもなりません。普通の自転車だったらきっと物凄い運動になるし心肺機能も鍛えられていいのかな、とも思いますが電動アシストが快適すぎてちょっとした坂道ならスルスルーと登れちゃうし、私は快適と安全と安心を買ったんだ、と思うことにしています。

あと意外にも「雨天結構」。「決行」ではありません。別に雨が降ってもそこまで私のライフスタイルだったら自転車に乗っちゃいます。これは多分デンマークで買ったヤコブセンの可愛くて機能的なレインウェアのおかげであって、自転車のおかげではないのかもしれません。家から職場までザーザーと雨が降っていても普通に全く濡れることなく、パニアのおかげでランチも濡れず、今の所特に雨が影響することはありません。私の通勤時間が他人より早い(朝7時くらい)というのももしかしたらよくて、あまり人がいないのでスイスイ行けるので今の所問題ありません。

もう一つ驚いたのが「意外にも安全」です。ローマの荒ぶる運転の皆様のことをよく知っている私には本当に意外ですが、自転車でちゃんとヘルメットを被って、きちんとルールを守って走っていると、皆さんちゃんと、なんというか尊重(?)してくださいます。環境のことをちゃんと考えている人みたいに見えるんでしょうか?その辺は分かりませんが。この前友達とレストランに行った時には、小雨が降っていたからかもしれませんが、レストランのオーナーさんがちょっと内側に呼んでくれて、ここにとめていいよ、自転車で移動しててえらいね、と言ってくれました。

そういった意味で本当にくだらなくてすみませんという感じですが、自転車生活は「褒められる」ことも結構あります。イタリアの人って、ほとんどの皆様が基本的に直感で生きてらっしゃるので(失礼)、一瞬でも「いいな」と思ったことは言葉にしてくれるんですね。それで本当に大袈裟じゃなくて、私の自転車やヘルメットはもちろん、はたまたそのヘルメットから出ている髪の毛(!)、パニア、上記のレインウェア、などなど、私が自転車で信号待ちをしていると次々に車の窓からバイクから、褒めてくださる方々がいらっしゃいます。なんという良い文化でしょうか。私の1日が朝っぱらから非常に高まります。先日も、職場の駐輪場の横の喫煙所で電子タバコを吸っていた美人な金髪の女性が「あなたのバイクとっても素敵」と何度も言ってくださって非常に照れました。

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スリやちょい泥棒の多いローマなので街角で自転車をとめるときは結構緊張して場所を選んでロックをしっかりかけますが、電子ロックと物理ロックの他にもAppleのFindMyに登録できるSIMが入っているのが安心です。買ってから3年の盗難保険も付けたので(盗まれたら新しいのをくれる仕組み)3年は心に余裕があります。皆様にもeバイクライフをお勧めしつつ、私のこの生活、あと何ヶ月続くか、頑張ってみようかと思っています。

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