ビンジ・ウォッチング

私がアメリカに住んでいた頃は(遠い目になりますがなんと15年ほど前になります)確か、「マラソン」という言葉を使って、例えば「マラソン・ビューイング」のような言い方をしていたと思いますが、テレビの前に延々と座ってテレビシリーズ、連続ドラマだとか一話完結のソープオペラだとかそういうのを何話もひたすら見るわけですね。かなり中毒性のある行動になると思います。当時はケーブルテレビの局側がそういう企画をやっていました。例えば「『M★A★S★H』のマラソン放映やるよ」というような感じです。そしていそいそとカウチに座って延々とそのシリーズを次から次に見る。「ビンジ(binge)」はなんとなくですけど、英語的にはアルコールに強く結びついている感じの単語で「ビンジ・ドリンキング」だと短い時間にアルコール飲料を大量に摂取することですね。摂食障害の過食の時もビンジ・イーティングと言ったりします。多分ちょっとだけ異常性がある感じもこの言葉にニュアンスで入っているのではないでしょうか。「ビンジ」だと名詞ですけど「ビンジング」のように動詞で使うこともあると思います。で、今日の話は「ビンジ・ウォッチング」。

今の時代だとケーブルテレビが用意するまでもなく、YouTubeの映像をビンジ・ウォッチングすることもできるし、ネットフリックスやフールーなんかがあるので「今夜はこのシリーズをシーズン3まで全部みよう!」と数時間携帯やタブレットなんかに釘付けになることもできるわけです。もちろんそんなに健康的な趣味とはいえませんが、これは確実に私の好きなGuilty Pleasure(背徳の喜び)の一つと言えます。75%のチョコのトリュフの2つ目を食べるのと同じレベルで。だから私がそれに染まるのも時間の問題と思っていたのでiTunesの映画を時々買ったり借りたりして観ることはあっても、テレビドラマはHouse of CardsとかUgly Bettyとか限られたものだけにしていたんですね。そしたら11月からの突然のアップルTVプラスですよ。皆さん観てます?

アップルの新製品を最近買った人だと1年間無料になります。私はつい最近iPhoneを新しくしたのでご丁寧にも1年間無料よというメールがたくさん、多方向からきて解禁当日に目玉商品であるジェニファーアニストンとリースウィザースプーンのダブル主演のThe Morning Showを観てしまいました。こういうのって一回見てしまうと最後なんですよね。結局延々と見てしまいます。私はジェニファーアニストンはフレンズのレイチェルのイメージとブラッドピットとのなんとも言い難い微妙な感じからイメージが固定してしまっていて好きな女優さんとは言い難いんですが、リースウィザースプーンは明らかにとても好きな女優さんです。最近完全にガツンときた映画だと”Wild”があります。あれは原作ももちろん良いんですが、明らかに彼女の演技が私をガツンとこさせたところがあるので本当に好きです。コロンビアをでた秀才でもあります。

他のドラマ、例えばシックススセンスで有名になったMナイトシャマランの、Servantも相変わらずクリーピーでさすがです。Truth be toldもよくある犯罪解明のドラマかと思いきやアメリカの危うさと強さを同時に感じる本気のドラマでハマりそうです。が、やっぱり最初に書いたThe Morning Showのシャロウ(うわっつら)な感じが時々ゾッとして今の私に響きます。例えていうなら、何かちょっとした心配事があるときに、どんな楽しいことをしていても、嬉しいことがあっても、うっすらとその心配事が霧のような感じで心を覆っていることってありませんか?ないかな、私はあります。それと同じ感じでこのドラマにはあの”Me Too”の第2波のモヤッとしたグレイな感じの霧がずっとかかっていてなんとも嫌で、それでいてどうなるのか気になる感じなのです。

そしてこれとは全然関係ないんですが、そのThe Morning Showで朝3時半に起きる皆様。そして起きていきなり自宅のトレッドミルでガンガン走るジェニファーアニストン。私も毎朝4時起きで「ジムに行く時間なんかないよ」といつも思っているのでそんなシーンを見るたびにガンガンきます。いやあ朝イチにバリバリ運動なんかしたら体に悪そう、と思ってしまう私は言い訳がましいんでしょうか。アメリカのエンターテイメント、くだらないのかすごいのかよくわかりませんが、自分の健康のために、ビンジだけはしないように、スケジュール振り分けて時間を区切って楽しもうと思います。

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