賢者たちのガレット

ガレット・デ・ロワ・マッチャ・アズキ

遅くなりましたがみなさま明けましておめでとうございます。今年も細々とブログ続けていけたらいいなと思います。写真は今年のガレット・デ・ロワです。本来はアーモンドペーストクリームたっぷりのガレットなのですが、私は今日本にいるのでマッチャ・アズキのガレット・デ・ロワを選んでみました。でも味としてはアーモンドやアマレット(アーモンドのお酒)の味や香りもしてバターたっぷりで、日仏の融合といった感じでした。いわゆるアンコ系ではない味です。

私はたまたま最近フランス文化圏の友達と仲良くしているせいか、新年にガレットデロワをいただく機会がちょこちょこあるんですが、イタリアではガレットではなくトッローネというお菓子(粒アーモンドが大量に入っていて、非常に粘度の高い真っ白なヌガーという非常に食べづらいお菓子)が「新年のお菓子」的な立場にあるかなと思います。トッローネにはピスタチオバージョンや、チョコレートコーティングバージョンなどいろいろなバージョンがあって、年末にパネットーネやパンドーロなどと一緒に大量に贈り合うのでイタリア中トッローネだらけになります。「新年のお菓子」と書きましたが正確にはクリスマスから新年にかけて、といったところでしょうか。フランスのガレットデロワはだいたい新年明けてから売り出されることが多いと思います。家で作る人も多いし、ガレットデロワを新年に食べないフランス文化圏の人は結構少ないんじゃないかな。イタリアのパスティッチェリア(パティスリー)でも、普段マカロンなんかを売るお店ではガレットが新年売られます。でも売ってある期間がすごく短いので、うっかり逃さないように新年のパスティッチェリア巡りは頻繁にすべきです。2月のカルネヴァーレのお菓子もしかり。

ガレットデロワはエピファニー(英、仏読み)という、日本語だと公現祭、イタリア語だとエピファニアと呼ばれる祭日(イタリアでは休日ではありません)の1月6日に食べるのが伝統です。エピファニーは、私の幼稚園(カソリック系)のころの記憶によると、「おさなごジェズさまは、うまれてからむいかめに、ながれぼしをみてひがしからはるばるやってきた、さんにんのけんじゃからおくりものをいただいたのでした」とお遊戯会でナレーションをしたイベントだと思われます。私の幼稚園(聖母愛児幼稚園というところでした)では「イエスさま」は「イェスさま」と急いで言う感じか、「ジェズさま」と言っていて、基本的にお祈りはマリアさまに対して行っていました。なにせ「聖母」愛児幼稚園なので。幼稚園で園長先生(女性)が飼っていた九官鳥も毎日「マリアさま」と園長先生そっくりの声でお祈りしてました。こんなこと本当にどうでもいいことですが、今記憶がよみがえって来たので書き留めておきたくなっちゃいました。すみません。

なぜ幼い頃の記憶がほとんどない私がこんなことを鮮明におぼえているかというと、とても単純な理由ですが、私1月6日が誕生日だからなんです。それまでお遊戯会でマリアさま役になれずにべそをかいていたわたし(じゃんけんで長い髪がきれいで美人なあゆみちゃんに負けた)は、「ナレーションというとくべつな役(幼稚園の先生の涙の説得)」をいただいてさらに「1月6日はとくべつな日(さらに涙の説得)」と説明してもらってケロっと機嫌をなおしてナレーターとして文章の暗記にはげんだのでした。

ガレット・デ・ロワ・マッチャ・アズキ

ガレットデロワの話に戻りますが、Wikipediaによると「フランスの地方ごとに少しずつ異なるが、最も一般的なものは紙の王冠がのった折りパイにフランジパーヌ(アーモンドクリーム)が入ったパイ菓子で、中にフェーヴ(fève、ソラマメの意)と呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っている。公現節(1月6日)に家族で切り分けて食べ、フェーヴが当たった人は王冠を被り、祝福を受け、幸運が1年間継続するといわれる。名称の「ロワ」(王たち)とはフランス語で「ロワ・マージュ」(rois mages)と呼ばれる東方の三博士のことである。」だそうです。今年私たちがガレットデロワを購入したサダハル・アオキさんではさすがにフェーヴを焼き込むことはしておらず別添えになっていて(知らない人が食べたら大変ですものね)、それは何とも嬉しい黒のミニカーのフェーヴ(写真)でした。

そしてガレットにはフェーヴの代わりに大きなアーモンドがひとつぶ。私たちは8つに切り分けて数日に分けていただいたのですが、なんと最後のひとつに入っていました。いくつ食べても出てこないので「サダハルさん入れるの忘れたんじゃない?」なんていって食べていたんですが(そんなわけないし、サダハルさんがつくっているわけではない)、最後のサプライズはAさんが探し当て、そして彼の中での葛藤のあと、やっぱり誕生日の私がフェーヴを手に入れるべきだという結論に達したらしく、私のおさらにアーモンドをちょこんと載せてくれました。ミニカーはよーく見るとチンクエチェント(イタリア車)でとってもかわいらしいです。サダハル・アオキさんは銀色の紙の王冠もつけてくれたし、ガレットデロワの説明もつけてくれたし、至れり尽くせりでした。日本でもフランス系のパティスリーやブーランジェリーではだいたいガレットデロワ売ってると思うんですが(バターで有名なエシレにもありました)すごく美味しかったので来年もサダハル・アオキさんにしようかな。

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