ビンボーな心

オフィスで仕事をしていたら、初めてとなりのオフィスの先生にランチに誘っていただいたので、Aewはペチャブンに帰っていていないし、ひとりでランチをしてもつまんないし、と思って、嬉しくご一緒させていただくことにしました。その先生は最近結婚されたばかりという若い男の先生で、実は微生物分析学者なんだそうです。つまり、微生物のコロニーなどを瞬時に何なのか判断する学者さんで、もっぱら新種、亜種の発見の研究に力をいれているんだそうです。おもしろーい。
それでお食事中なのに二人してしばらくバイ菌の話で楽しく大盛り上がりをしたあと、普通に、文化比較論になりました。実は、もうこればかりは、出身の違う国のひとと一緒にいると、必ず出てくるトピックだったりします。「タイではこうだけど、日本ではどう?」とかそういう単純な話題からだいたい始まりますね。


それでひとつ聞かれたのが、日本人観光客について。彼はどうして日本人観光客が2、3日とかしか旅行の期間をとらないのかがとても不思議なんだそうです。うーん。それはいろんな理由があるんだろうけど、多分、私の中では

  1. 海外旅行に行きたい!
  2. でもなかなかお休みがとれない
  3. 連休を利用するならなんとかなるかも!
  4. 3日間かー。じゃあ近場はどうだろう?
  5. ハワイは遠いし、タイなんてどうかしら?

というようなココロの動きになる人が結構いるんじゃないかと思うんですが、もしかしたら全然違うかもしれません。それか、誰かタイに一人暮らししている知り合い(ハイ、私です)が「あーさみしいよーあそびにきてよー」とうるさいので「仕方ないなー」と無理にお休みをとって遊びに来てくれるというケースでしょうか。
そして「じゃあどうして1週間などの比較的長い休みをとらないのか?」と聞かれました。知りません。多分会社の雰囲気などでそんな休みとれないよ〜というのが本音じゃないかしらと答えておきました。
そしたら意外なことを言われました。「じゃあ、日本人はリッチだリッチだと思っていたけれど、会社の『雰囲気』が1週間の休暇も『暗に』否定的に見るなんて、それは実は『プアーな心』じゃないか」だそうです。うーんそうかもしれないけど、うーんうーん。
でも、いつもこういう話をして思うんですけど、日本人が休暇をとるのに慣れていないとかそういうのは、つまり日本人がどんなに経済力を持っても心からリッチになれないっていうようなことではなくて、本当に、単純に、文化の違いという一言につきると思うんですよね。
実は先日まで私の友人のMちゃんが遊びにきてくれていたんですが、わりと高級デパートなんかでふたりして靴のショッピング(それ以外にショッピングがあります?)をしていたときに、まわりを見渡すとマダム風な白人の旅行客が優雅に座って、「あ、あれをとって」なんて指差して自分は座ったまんま店員にいろいろもってこさせているんですね。そんな中、私は珍しく座ってMちゃんのお買い物を待っていたんですが、Mちゃんはくまなく店内を歩き回って靴を手に取って、履いてみて、と、いわゆる「セルフサービス」でした。でもそれは、別にMちゃんの心がビンボーっていうわけじゃなくて、だって日本ってそういう文化でしょう。あまり人の手を煩わせないというのが美徳というかなんというか。
バンコクは驚くほど国際都市だったりするので、こういうことを考えさせられるきっかけというのがよくよくあります。一流ホテルなんかだと、従業員は英語がペラペラだったりするので、いくら日本人がお金持ちでも英語ができなかったりすると、「おハイソ」の必須要素である「教育」水準が低いと思われたりして内心バカにされたりするのかもしれません(人に寄るだろうけれど)。うちの近くのカフェのバリスタくんは他のタイ人に比べてもかなり上手に英語が話せるので「どこで勉強したの?」といったらUKはサセックスだと言ってました。おー一流だ!と思っていると「ニホンゴモスコシ、デキマス」と言われてさらにおー!となりました。私も5つくらい言えるセンテンスのうちのひとつ、「チャンプーパーサータイダイニックノイ(タイ語を少しだけ話せます)」と答えて彼を「おー!」と言わせるのは忘れませんでしたが(正確には「おい〜!」と言われた)。でも他に何が言えるって、「アーンタイマイダーイ(タイ語読めません)」とかそういうのばっかりなんですけどね。情けないことに。
やっぱり日本ってなんだか表面的なところが西洋化してしまったので、みんなブランドとかいろいろ詳しすぎて怖いほど知ってるし、高くて良いものを簡単に若い子が持ってるしで、「一見リッチ」に見えてしまう分、そういった比較的コアの部分の文化は日本のまま残っていて、それが傍目からみると「ビンボ−な心」に写ってしまうのかしら、と複雑な気持になりました。私個人としては、日本のかわいい女の子たちがキャピキャピ集まっているのなんか見ると、ビンボーな心なんかとはほど遠いくらいに平和で幸せでリッチでカワイイなーと思ってしまうんですが、やっぱりいくら東京とはいえ、バンコクのように分かりやすい「おハイソ」の基準がないためか、それかみんなの「中流」なレベルが同じなためか、そこまで「国際都市」にはなってないのかも、と思ってしまいますね。でもそんな私、東京に住んだこともないのでエラそうなことは言えないんですけど。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *