私は自他ともに認める、カフェインアディクトですが、やっぱりなんでもかんでも、やりすぎというのはダメらしく、New York Timesで、”Jittery? Peevish? Can’t Sleep? What Are You Drinking?“という記事を見つけました。つまり、普通のストレスや不眠症のように見えても、それは実は急激に増えたカフェイン摂取による、急性中毒かもしれない、というお医者さんからのケーススタディの報告です。
私は栄養学の勉強をはじめてから、もう13年になりますが、この間にだんだんと、クッキリハッキリ見えてきたひとつのことがあります。それは、つまり、「中間点」というものの大事さ。世の中には、「健康に悪い」食べ物はないのです。「健康に良い」食べ物もない。ただひとつ言えるのは、「健康に悪い(あるいは良い)」「食べ方」というものがあるだけなのです。私はカフェインは嫌いではないので、擁護するように見えるかもしれませんが、今までの研究結果を見る限り、カフェインは悪者ではないと思っています。要は、「どれだけ」「いつ」「どんな頻度で」カフェインを摂るか、が問題なのです。
家庭でできる食中毒予防:温度計を使ってみませんか
たまに、「どんな研究をしているのですか?」と質問のメールを受け取ることがあります。私、いろいろな質問メールの中で、実はそれが一番好きです。本当にありがとうございます。好きでやっていることに興味を持っていただけるのって本当に嬉しいです。ヘンな話、嬉しくてぞくぞくします。
それで、答えは、いろいろやってるんですが、まず、一番のテーマは、「食品安全」です。食品安全の中でも、農家が頑張る部分、政府が頑張る部分、食品会社が頑張る部分、消費者が頑張る部分、といろいろあると思うのですが、私は、「消費者が頑張る部分」というのに力を入れたいと思っています。結局最後の砦ですからね。自分と大切な人の命は自分で守りましょう、というテーマです。
アルコールとタバコの関係
最近、アルコール話続きですが、LA Timesに載っていておもしろいと思いました。どうやら、アルコールを飲めば飲むほど、タバコの量が増える、というなんとなく、当たり前のような偶然のようなそんな話が科学的に証明されたということです。ボニーとクライドみたいにきって切れぬ悪の関係という感じでしょうか。
最初読んだときは、行動科学かな、と思ったんです。観察して、人が普通のときのタバコの量と、アルコールを飲むときのタバコの量を同じ人で比較したのかな、と。まぁ、そういう感じなんでしょうけど(少なくとも人間の体の中のニコチンのレセプターとかを生化学的に調べたわけではなさそう)、実は、プラシボ研究なんですね。ひとつのグループにはまるでアルコールかと思うようなドリンクを与え、もうひとつのグループにはそっくりな、本物のアルコールドリンクを与え、そのときのタバコの量をみて比較したときに、実際のアルコールを与えられたグループのほうがタバコの量が多かった、というそういう結論。
高血圧とアルコール
NY Timesで新しい研究結果がリポートされていました。混乱するといけないので、結論から書きます。
もしあなたが高血圧(Hypertension)と診断された患者さんだとします。これから食事などもかえていかなければ行けないとお医者さんにも言われました。そこで、アルコールはどうすればいいか。栄養相談をする側として、教科書通りの助言は以下の通りになります。
予防食にもなる治療食:痛風食
私たち栄養士にとって、単語帳のウラオモテにかならず出現する「痛風」と「プリン体」ですが、一般向けにスッキリ説明すると、病院では痛風のある方には、乳製品を多めに、たんぱく質(肉、魚など)を少なめに、という食事処方が出るのですね。どうやらNY Timesの記事によると、この食事は治療食としてだけではなく、予防食にもなるみたいです。
これは一般には当たり前のように感じることかもしれませんが、実はそうでもないのです。たとえば高血圧などの予防には塩分を控えめに、といわれていますが、なんと、驚きなことに最近の研究ではこれは治療食にはならない傾向にあることが分かってきています。つまり、もう高血圧になってしまった人が頑張って減塩しても、効果はほんのわずかということ。ただし、減塩でなく、無塩にすると(ほぼ無理ですが)効果があるという研究結果がでています。
NY Timesの記事では、同じたんぱく質でも、動物性ではない植物性のもの(豆類など)を食べるのは、治療食にはなりませんが(避けなさいという先生もいるくらい)、予防食にはなるそうです。レッドミート、つまり牛肉などや魚介類が大好きな人はそのプリン体という物質をたくさん摂取しているので、将来、痛風にならないように乳製品(牛乳、ヨーグルトなど)や豆類を意識的にたくさん摂っていると、年を取ってから大好きな魚介類やお肉を我慢しなければいけないなんて悲しいことにならないかもしれません。