小六月

昨日ローマでは12月だというのに、さんさんと太陽が照って数々の遺跡や教会に反射してとても美しい1日でした。そこで思い出したのが、この秋にちょっとだけ訪れた小諸(写真)。
私の愛読書である「千曲川のスケッチ」は、日本の山国の田舎での暮らし、厳しい冬の日々、ひたすら歩いて移動する修学旅行、などを先生から「君」と呼ばれながらなぞるような感覚で読んでいく本で、その細かい描写はまるで絵画のようで、人生の中で一度も訪れたことのなかった小諸という場所を文章から画像に変換し脳裏に焼き付けることすら可能にさせるものでした。
ちょっとだけ興奮しながら訪れた小諸からは千曲川という名称はなくなり、川にはダムもできていて半近代的な低いビルもあったりして私の想像とは残念ながら違ったものになっていましたが、秋深くなってきていたその時期のちょっとだけ不思議なあたたかな気候が記憶にのこりました。「小六月(ころくがつ)」という言葉を覚えたのはその「千曲川のスケッチ」を初めて読んだ13歳の時です。春の心浮き立つ気持ちとは少しだけ違っても、なんとなく嬉しい気持ちになる秋のあたたかな1日でした。

1キロの松茸

10月に、職場でとある大きめの会議があって、ブータンのカウンターパートの皆様とお仕事する機会があったのですが、そのときにお土産でいただいたものがこれです。ブータンでは松茸の需要はほとんどなく、ものすごく安いものだということで恐縮されていましたが、日本だと1キロって5万円を下らないのではないかと思って非常に驚き、こちらが逆に強烈に恐縮しました。国産のものだともしかしたら10万円くらいになってしまうようなものですよね。
そこでそのときにローマにいた日本人のみなさまにせっせと「松茸あります」とお知らせし、おひとりさま2本ずつお持ち帰りいただいて、私にも2本残ったので松茸ごはんに松茸のお吸い物に、はたまたパスタにもしたりして秋の味覚を楽しみました。ありがたいことです。
それでそのときに「こんな大量の松茸にお目にかかる事は滅多に無いはず」と思って記念撮影しておいたものが今日アルバムから出て来たのでこうしてフリッカーに載せることにしました。そのまま焼いてお醤油でいただいたりもしましたが、個人的には松茸ごはんが一番美味しかったです。香りの良いごはん、といったところ。
ローマはもうすっかり冬です。最近ちょっと不運が続いてちょっとストレス多めになっていますが、私自身は健康そのものなので不満をいえる立場ではありません。再来週の専門家会議のためにラストスパートをかけたら、そのあとは年末年始の休暇です。そのときたっぷり楽しむためにも、今はお仕事頑張ります。

秋の雨

最近ちょっとお天気の悪いローマですが、今日は久しぶりに晴れました。職場であるFAOで世界の要人を集めたサミットが行われているため、私は家で仕事をするTeleworkingのオプションを選んで久しぶりに何の電話もかかってこない、誰も訪ねてくることのない静かな仕事環境をかなり楽しみながら(いつでも美味しいお茶を煎れて飲めるしね)充実の1日を送りました。たった1日でかなりいろいろと終わった気がする。これがありがたいことに水曜日まで続きます。たまっている読み物やレポート書きなどに取り組みたいと思っています。
さて写真は実はローマにある日本の大使公邸のお庭。2週間ほど前にここで天皇誕生日祝賀パーティが行われ、200名ほどの大使やパーマネントレップのみなさんが招待される中、現大使の温かいお心遣いで、国際機関の1職員である私のような者も招待していただき、久しぶりにお寿司や天ぷらなど日本食を楽しみました。抹茶ティラミスも美味しかった。
でも見渡してみると明らかに減ってきている邦人職員の数にちょっと寂しい気分がしたのも確か。その少ない日本職員の中でも、実は日本の省庁からの出向の方々が大半で、実際に日本政府に関わりなく仕事をしている日本人はかなり少ないです。ローマで日本語をしゃべる機会はほとんどといっていいほどないので、こういう機会はとても楽しく、もっと日本人が増えればいいなぁと心の底から思ってしまいますね。
ところで先週の金曜日はスウェーデン人のAと、私たちお気に入りの彼女の家のすぐ近くのトラットリア(この記事の一番下の方にかいている、Domenicoというところ)にまた行ってきました。おいしいバカラのフリットをアンティパストにプリモはリコッタとカルチョーフィのラビオリ、セコンドはパスしてドルチェにトルタディメーレ(アップルケーキ)とカッフェ、そしてディジェスティーヴォにアマロをいただいて帰りました。いつ行っても美味しくて素敵なお料理。
面白かったのが食事中にオーナーが私の席にやってきて、「日本人らしい人から電話がかかっているのだけれど、話が通じないので通訳してほしい」と言われ、電話に出てみたところ日本からの予約のお電話でした!お店の人のいうままに、日時(12月11日という遠い日付にちょっとびっくり)、名前、人数などを聞いて電話をきりましたが、この小さなトラットリア、日本にも知られているとは思えないのですが、とても不思議。最後に「会えるのが楽しみ」って伝えて!とオーナーにいわれて思わず「お待ちしております」って言ってしまいました。ここに常時日本人がいると思われちゃったらどうしよう。それにしてもこのトラットリア、メニューがないのでイタリア語ができないとちょっと厳しいかなと思わないでもないですが、まぁきっとなんとかなるんでしょうね。しかも私が思うにハズレのないところなので、「おすすめを」という注文でも満足できるお食事ができるでしょう。それにしても面白い体験でした。

秋のボルゲーゼ公園

今日は良いお天気に恵まれた土曜日となったので、午前中にちょっと用事を済ませたあと、お気に入りのバール+パスティチェリアでイチゴとカスタードのパイを買って、ブランケットとクッションと本を持ってボルゲーゼ公園にでかけてきました。ボルゲーゼはひたすら芝生の広場が広がっているのですが、美術館近くの噴水のあたりにちょうどフラットになっていてお日様があたっている部分を見つけたので、お気に入りのチェックのブランケットを広げて太陽の下で本を広げました。

おりしも近くの散歩道でサックスの演奏を始めてくれたので思いついてiPod nanoでビデオをとってみたら意外に素敵にできたので(撮影の腕はダメダメですが、ライブ音楽と落ち葉の音がなんだかいいかなと思って)嬉しがりでこうして載せているところです。こうして落ち葉を見ながらいい音楽につつまれて、ギャレリアボルゲーゼのバールで買ってきた温かいコーヒーを飲みながらの読書は本当に幸せな気分。落ち葉をしっかり見るにはフルスクリーンにして(右下のアイコン)見てみてくださいね。

日曜日の明日は雨が降るとの予報が出ているので家でのんびり本の続きを読もうかな。読んでいるのはJonathan Safran FoerのExtremely Loud and Incredibly Closeというわりと斬新なペーパーバックです。

ローマ在住4年目にしてコロッセオの内部へ。

今日はAさんと話し合って、今までなんだかんだと理由をつけて、中に入った事のなかったコロッセオに入ってみました。
私がローマに来た2006年には無料だったフォロロマーノが去年から有料になって、このコロッセオとパラティーノの丘の遺跡と3つでセットで12ユーロという驚くべき価格(はっきり言って高い)にかなり不満はあったものの、今回入ってみて、二人でやっぱりすごいねぇと合唱してしまいました。すべてがアーチ型になったコロッセオ。四角だとやはり崩れやすいということがこれを建築する以前に分かっていて、技術的には大変であってもすべてのものをアーチ型にする気合い。そしていたるところにゴロゴロしている豪華な大理石。
思わず地球科学者であるAさんに「ねえ、大理石ってどうやってできるんだっけ」と聞いたのは、実はそれを知りたかったからではなく、大理石になったあとはそれはどうなるんだっけと思ったからです。イタリアの水はかなりカルシウムが多いのですが、大理石になったあとのあの白い物体はどうやって水に溶けるようなカルシウムに戻るんだっけとふと思ったのでした。
Aさんはまず「火山活動なんかの熱で溶けたりはするよね」と答えてくれてそれからいろいろいろいろと難しい説明をしてくれたのですが、私の頭がぼーっとしているのか何なのか、今はっきり分かっていることは、地球にとって2千年というのは大した年月ではないとAさんが言ったこと。貝殻のかけらやいろいろなものが海の底で堆積してそれに何らかの力で熱と圧力がかかり、プレートテクトニクスでどかーんと持ち上げられて(造山活動)山になってそれを切り崩してやっと出てくる大理石、という状態に、それこそ少なくとも何千万年という時間がかかっているので(近年日本やイタリアで出てくる大理石はだいたい1億年前くらいのものらしいです)、それを切り出して像や柱を作ってそれが2千年かかって崩れていったとしても、それはそのまま普通に大理石として残っているでしょうということでした。
でもなんだかんだいっても、こうして紀元前の遺跡を見ながらも「まだまだ」と思っている地球科学者をよそに、やっぱり私はこういう遺跡をみると寒気がするほど知識のあった当時のローマ帝国に感動せざるを得ないのです。