チュロスとゲルニカ

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Full Album is available at Madrid Aug 2022 | Flickr

マドリード生まれでマドリード育ちの友人、Lが1ヶ月もしたらローマに引っ越してくることになって、引っ越しまでにマドリードに遊びにきてよ、と言ってくれたのでお言葉に甘えてマドリードまで8月の最初の週末に行ってきました。上の写真はチョコラテリア(ホットチョコの老舗)であるサンヒネス(San Ginés)のチュロスとポラス(太い方)です。朝食にお腹を空かせて1キロほど歩いて行ったにもかかわらず、私にはチュロス1本半、ポラス1本、チョコラーテは半分が限界でした。残りは左隣にいたメキシコ人の母娘の旅行客と左隣に座ったイタリアはナポリから来た二人の青年がもらってくれました。こういう時におひとり様はちょっと困りますね。でも味はとても素朴で美味しかったです。ポラスは初めて食べたのですが、チュロスよりもカリカリ感が少なく、フワッとしていて、チョコラーテに浸した時の満足感がチョコドーナツの満足感だったので、ああ、これを好きな人はいるだろうなぁと納得しました。ちなみにバルセロナではチョコラーテにホイップクリームたっぷりのものをスイソと言っていましたが、マドリードでは普通にイタリア語(チョコラータ)に似ている(というより複数形そのもの)チョコラーテ、と言っていました。フランス語だとショコラショゥというので同じラテン語系でもそこそこ難しいですよね。

そもそもLに会っておしゃべりする、というのが旅行の主な目的ではあったんですけど、私は実はマドリードは初めてだったので、ちょっと色々と詰め込んできました。イタリアに住んでいるためスタバ難民な私は金曜日の夜にホテルに到着するなり、すぐに近いスタバを探して歩いて入店。こんなのちょっと、ヨーロッパでマクドナルドに行列するアメリカ人観光客みたいでちょっと恥ずかしいのですが、スタバ生誕のワシントン州で9年を過ごした私にとってスタバはいわば故郷みたいなものです(強引)。もちろんイタリアのコーヒーは美味しいのですが(私のイタリア人の友達のほとんどは基本的にドリップコーヒーや、スタバの飲み物全般が嫌いで悲しいです)、スタバのドリンクはそれとは違う種類の飲み物だと思っているので時々懐かしくなるのです。基本的に私が好きなのはトールサイズのショットを増やした(合計2ショット)ラテです。豆乳にすることもあります(甘くなる)。これは世界中どこでも頼めます。持ち帰りの時はエクストラショットでエクストラホットにしてください、と混乱するようなことを頼むこともあります。あとは日本限定だと思うんですが、これに近いトリプルエスプレッソラテがいい感じです。これは私が頼むエクストラショットにさらにもう1ショット追加という感じ(そしてお値段がお得)なので、どれだけカフェイン(ドラッグ)で目覚めたいんですか、というような濃さになります。これはスキニー(無脂肪乳)カスタムがおすすめです。夫のAさんがよく頼んでいるのを見かける気がします。スタバのコーヒー(ラテなど)って結局コーヒーを飲んでいるというよりは牛乳飲んでますよね。あ、すごく脱線しましたがマドリードでもトールラテにありついてそこでしばらく観光のプランを練りました(遅い)。このご時世、ソフィア王妃芸術センターでゲルニカをどうしてもこの目でみたい、と思ったので、土曜日にLと待ち合わせをしているランチの場所に行くまでに午前中に急いで見てこよう、ということにしたのでした。

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昔は病院だった、という古い建物ではあるんですが、入り口に近代的なエレベーターが付いていて、そこに大きくReina Sofiaと書いてあるので迷わない親切な感じです。開館とほぼ同時という到着だったので、周りに観光客の姿がなく、思わず閉まっているのかと勘違いするほどでしたが、入館するとすぐに親切な係員のお嬢さんが、今すぐ205号室にいけばゲルニカ独り占めかもよ、と教えてくれたので慌てて行ってきたら本当でした。あまりに人がいないので偽物かと思いましたが同じ部屋に四人も館員の方がいたので大丈夫です。そして私はそこで30分ほど時間をかけて隅から隅まで眺めることにしました。芸術は何もわかりませんが、数年ほど前から、私は美術品を見るときは、予備知識を入れずにじっくり自分の心で見ることを心がけているので、名画としての基礎情報はあっても、自分でどんなふうに思ったかを大事にしました。そういう意味で、実際に行って、3メートルくらい離れたところからでしたが絵の隅々まで鑑賞できて、時にはその部屋には私しか客がおらず、なんとも贅沢をさせていただきました。

ちなみにスペインは中庭文化が素晴らしいのでどんなところに行ってもとりあえず中庭を見せていただくのですが、ここにも素敵な中庭があって、ミロの彫刻があって、緑もあって、すごく気持ちよかったのですが、それより何より今年亡くなってしまったコンセプトアーティストのDan GrahamのDhaka Pavilionがあったので基本的にそれを満喫してきました。彼のパヴィリオンシリーズのポイントは「参加型」だと聞いたので、私も違う角度から参加したのが下の写真です。

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ゲルニカを見た直後だったので、高揚するような悲しいような気持ちでこれを見て、歩いてみて、お天気も良かったので訪れて良かったなと思いました。

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さて、朝に行ったサンヒネスではお土産チョコレートも買ってきました。私はミルクフォーマーを買ってから、週末は一人でたっぷりカプチーノを楽しんでいるので、その上にかけるカカオが必要(そう、「必要」)なのです。でも思った以上にたくさんあるので一つは誰か家族にあげようかなとも思っています。日曜日には1日をかけてプラド美術館にも行ったし、マドリードの大きな公園でゆったりできたし、Lとマドリードを見渡せるルーフトップのバルで飲んだりできたし、良い週末でした。スペインは道路も綺麗だし(イタリアやフランスと違って)、人々も優しいし、いいところです。また行きたいな。

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