ローマの下町、トラステヴェレ(テヴェレ川の向こう側、という意味)のエリアは、ローマっ子たちの地元とはいえ、今やアメリカ人が大量に住んでいる、ちょっとした外国人エリア化している場所でもあります。全体的に、黒いサンピエトリーニと呼ばれる石畳に覆われていて、狭い道にたくさんのショップ、バール、オステリアやリストランテが立ち並んでいて、夕方から夜明けまで平日でもとても活気のあるエリアです。私が住むガルバテッラというエリアも完全にローマの下町なんですが、外国人はまだそこまで多くないので、毎回トラステヴェレに行くたびに、英語が普通に通じることに驚いてしまったりします。で、トラステヴェレにはアメリカ人の好むものがたくさんあるわけです。映画館もその一つ。
一番最初の写真ではわかりづらいかも知れませんが、この蔦の絡まる建物(実は私の同僚のJがここの最上階に住んでいます)のすぐ目の前の小道にこの映画館があるんですね。一応シネプレックス的な作りになっていて、3シアターあります。上の写真は昼までの時間で映画館が閉まっている状態。イタリアではハリウッド映画は基本的に吹き替え版が大人気です。人気の俳優さんには固定の声優さんが声を当てているので、イタリア人は実際に本人の声を聞いてびっくりすることもあるとか。別にイタリア語で見てもいいんですけど、やっぱりアメリカの映画はアメリカ英語で見たいですよね。ということでイタリア生活でのサバイバル単語として覚えておきたいのが、Vergione Originale(ベルジオーネ・オリジナーレ)、つまりオリジナルバージョン。V.O.と書かれていれば原語での上映ということになります。そこによく付け加えられているのが、V.O. Sott.で、最後のSottは”sottotitoli italiano”の略で、イタリア語字幕、という意味ですね。そしてこのV.O.が意外にも、ローマ市内のたくさんある映画館にも全然なくて、私は自転車なのでそんなに遠くまで行きたくないし、というときに便利なのがこのトラステヴェレの映画館なのです。
上の写真の木のドアが開くと意外にもモダンな作りのチケット売り場が出現し、左側でチケットを買い、右側から入場する、という合理的な作りになっています。入場した後の柱の向こうには簡易バールもあって、飲み物やおやつなども買えます。ここはオンラインで座席指定もできるし、チケットレスでアップルのウォレット対応しているため、私はそれを利用しています。ただ、初めてオンラインで座席を指定しようとしたときにかなり悩む羽目になりました。というのも、私は割と乗り物酔いというか、モーションシックネスにかかりやすいので、映画は大体自分の視野にスクリーンがおさまる状態で観ないととても具合が悪くなってしまうので、座席がとても大事なんですね。ですから日本の映画館では必ず最後部の座席を指定します。それでここでも最後部座席にしよう、とオンラインで座席を見てみると、後ろの席はなぜかポツンと2つ真ん中に並んでいます。しかもその前に席がない。イタリアでこういうのはかなりマズい結果になりがちなので私の頭の中でアラームが鳴り響きました。そしてしばらく考えて、その席の前の、さらに前の列のスクリーン真ん中の席を取ったんですね。
で、行ってみて答え合わせをしたところ、大正解でした。ご覧くださいこの最悪な最後部座席。柱があるのになぜ席を作るんでしょうか。しかもこの2つの席、席の横から入ることすらできません。前の列を通らないと座れないという、謎の座席。柱の間よりも座席のサイズの方が大きかったからこうしたのでしょうか。しかもここは前の列より低い位置にあるのです!なんということでしょうか。同じお金を払う座席に思えないのに、オンラインでは普通に同じ値段で売っているのでみなさんお気をつけてください。ちなみにここはシアター1(Sala 1)です。そのほかの2つのシアターはどちらもものすごく狭く、ホームシアターレベルなので結構びっくりします。
私が取った座席からは結構いい感じでした。スクリーンにはミニオンが映ってますが、この日はここでトップガン・マーヴェリックを観ました。ちなみにあの映画本当によかったですよね。最初っから笑えたし、アメリカ人がいっぱいいたこのシアターではアメリカに住んでいた時のことを思い出すような映画鑑賞でした。みんな大声でリアクションしたり笑ったり感想を述べ合ったりして自由なのです。懐かしい感じでした。私も思わず声を出して吹き出しちゃうシーンもたくさんあって、映画自体が本当によかったです。
ここで買える、缶に入ったポップコーンも見た目ほど悪くないです。ここのバールに限らず、今はイタリア中のどんなお店でも非接触決済できるので、私は携帯一つでチケットもスナックも全部お支払いできて、荷物が少なくできて嬉しかったです。
私の愛車も近くの教会の前に停めさせてもらって、サクッときてサクッと映画を楽しんでサクッと帰るといういい感じのおひとり様エンターテイメントのパターンができました。とはいえ、つい先日は日本人の友人と一緒に来たのでいつでもおひとりさまというわけではないのですが。でもこの時のトップガンが良すぎて、その後観たジュラシックワールドがパンチが効かなくて残念でした。ジュラシックパークだって、クリスプラットはかっこいいし、レジェンドがたくさん出ていてすごく良かったし、そのほかにも色々思うことはたくさんあるのに(科学的に間違ってるところがたくさんある、とか、今になってCo-existingを説く意味とか色々)、トップガンのインパクトの方が強くてトップガンのかっこいい話ばっかりしている、という状態になっています。トップガンまだ観てない方いらしたら、ぜひ。例のジャケットもちゃんと日章旗ついてましたよ(多分台湾旗も)。ちゃんと最初に出てきたので安心して映画を全部観ることができました。変な三角に変えられた、とコロナ前の噂で聞いていたけれど、また変更し直したんですね。こうやって上映が遅れて良いこともあるんですね。
毎日暑いですけどこうやって日々色々試行錯誤しながら過ごしています。ローマ観光も15年前に集中して行ったので、また改めて色々なところに行きたいなと思っているところです。