バンコクでも一緒に数年仕事をして、今もリモートで一緒に仕事をしているイタリア人のIがモデナに住んでいるので、9月にパルマに行った帰りに、近いのでモデナに寄ってIと一緒にランチをしたのがすごく楽しかったので書き留めておこうと思います。ちなみに「モデナ」はイタリア語にしては珍しく第一母音である「モ」の部分にアクセントがあります。分かりやすくカタカナで書くと「モーデナ」となります。上の写真は世界遺産であるグランデ広場。左側が大聖堂の側面で、塔が見えていますがそれも世界遺産のギルランディーナ。
こちらが近くから見上げたギルランディーナの塔です。上の方には鐘があって鐘楼になっているのが分かる(?)かと思いますが、昔はどの家にも時計があるわけではなかっただろうと思われるのでこうして街の中心地から鐘の音が聞こえてきてそれでみんなが動いていたんだろうなと思います。イタリア人の時間へのルーズさには私もすっかり慣れていますが、逆に、昔からこうしてシステムがあって、公に時間を知らされてから動くという形が確立されていたからこそ、みんな「10時に会議ね」となってもオフィスを10時に出たりするのかなとちょっと考察してみました。いや、でも江戸時代でも多分、今博物館なんかに飾ってある美しい和時計は高級品だったと思われるので、庶民はきっとお城やお寺の鐘の音で時間を知っていたはずですよね。ということはイタリア人も日本人も同じ。じゃあなんでこんなにイタリア人は時間に対しておおらかであり続けているんでしょうか。ある意味すごいです。
大聖堂の正面はこんな感じです。このサイズ感でなんとなくわかっていただけるかもしれませんが、モデナは小さな町です。周辺地域をいれて18万人くらいの人口だそうです。
街をぷらぷらと歩いて、Iが「ここが老舗のレストランだから」と立ち止まったのですが、そんなこと言われてもレストランがどこか分からなくてキョロキョロしました。と、このビルの2階(イタリア式だとプリモピアーノ、つまり1階になりますが)に申し訳程度に「トラットリア(食堂)」というサイン(黄色地に赤い文字)が見えます。階段を上がって入るタイプの、たまたま訪れた観光客には別の意味で敷居が高過ぎるレストランです。Trattoria Aldinaというのがこのトラットリアの名前です。Iいわく、モデナらしいものを食べたかったら、ここで選ぶべきはTortellini in brodo(シンプルなスープに入った小さな詰め物パスタ)かGramigna e salsiccia(グラミーニャという穴あきのショートパスタにイタリアンソーセージのソース)ということでした。この日はIが最初のを、私はグラミーニャを頂きましたが本当に美味しかったです。
こちらがグラミーニャとイタリアンソーセージ。本当はチーズをかける食べ物ではないらしいのですが、「ザ・観光客」にしか見えない私には、なぜかウェイターさんがチーズをかけてくれたので上の写真はパルミッジャーノ・レッジャーノがかかっています。イタリアンソーセージのことをサルシッチャというのですが、いわゆる腸詰にして保存を効かせたものを、料理するときは惜しげもなく開いて中身だけを出して料理をする、という、ちょっと驚きの方法なんですね。アメリカでイタリアン風味のピザを頼んだりしていた時に、イタリアンソーセージのトッピングとしてひき肉っぽい塩辛いものが載っていたことを思い出しますが、あれなんですね。もちろんサルシッチャはそのままグリルしたり茹でたりして食べても美味しいです。ここのサルシッチャは塩味控えめで、全体的に甘い味でした。
レストランはこのモデナの市場のすぐ目の前にあるので、帰りに市場をブラブラして帰りました。そして、モデナといえばバルサミコ酢。モデナ以外のバルサミコ酢を使うと北イタリアの出身者にため息をつかれてしまうのでイタリア在住者は気をつけなければいけません。
市場ではこうして一つ一つテイスティングをさせてくれて、美味しいバルサミコ酢を選んで持ち帰ることができたのでとても満足なのでした。あまり時間がなくて、観光らしい観光はできなかったのですが、Iの故郷を訪れることができて、ゆっくり仕事以外の話もできたし、美味しいものを食べることができたし、いいことばかりでした。また暖かい時期にモデナに遊びにいけたらと思います。