終わりゆくローマの夏

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2009年という実は果てしなく過去のエントリーに同じようなタイトルで同じようなことを書いているのですが、2021年版ということで更新的な意味でまたテベレ川沿いのローマの夏の風物詩のことを書こうかと思います。8月の夏のヴァカンツァ(バケーション)というのはその言葉からして「空っぽ」という意味なので皆さん1ヶ月ほど完全に家を空けてどこかにすっぽりと出かけてしまうんですね。自転車やペット、はたまたお手伝いさんも連れてビーチ沿いの素敵な町のヴィラに長期滞在するという方もいれば、山の方に行ってトレッキングや湖でのボート遊びを楽しむ、というような家族もいます。私はなぜかこの空っぽのローマがとても好きで、それは私が外から来た人だからなんだろうなと思います。そして、フェラゴストと言われる8月15日前後の国家的なお休み(アウグストゥスの頃からなので結構な歴史です)に合わせて、このブログにも2016年まではよく登場していたルクセンブルグ人の大親友のCがローマに遊びに来てくれて楽しい日々を過ごしました。Cは私も仲良しな旦那様のGと、双子のお嬢さんZとAと、大型犬のポピー(女の子)と全員で大きな四駆に自転車を3台とキックスクーターを2台乗せて1ヶ月以上南イタリアでのバカンツァを楽しんでいたのでした。そして最後にルクセンブルグに発つ前に、ローマに数日遊びに来てくれたのでした。

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ルンゴテベレ(テベレ川沿いのこと)にはこうしてたくさんの出店が出て、夜8時半くらいから本当に皆さんそれぞれに楽しみます。バール、レストランはもちろん、タパスバル、占い、ビーチウェアショップ、子供用の射的コーナー、お花屋さん、アクセサリー屋さん、キャンディーやさんなどなどたくさんのお店が出て、下町のお祭り的な雰囲気で楽しめます。一番上の写真にはバチカンのサンピエトロ大聖堂のキューポラが見えていますが、この写真を見せたら私の母が「ローマの休日でアン皇女が酔っ払って大暴れしたところでしょ、まるで映画の世界ね」と言ってました。確かに。

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テベレ川下流にはティベルティーナ島という小さな中洲があって、そのあたりに位置するところのタパスバルに一度お友達に連れて行ってもらって気に入ったので、写真の景色のところにC一家をお連れしました。というのも、その前々日にC家族とモンテベルデにあるお洒落なレストランに行って、本当に美味しいお食事とワインですっかり楽しんだのに、全部おご馳走になってしまい、双子ちゃんたちは大人のいつまで続くかわからない長い談笑や議論に疲れ果てていたので、次は子供でも楽しめるところにしようと思っていたのでした。

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ちなみにこれがその素敵レストランでいただいた、美味しかったサーモンの前菜。この辺りは静かな丘の上なのでローマの大きな庭園型の公園があったりして綺麗なところなんですが、そこにたくさんお花が咲いていたらしく、双子ちゃんたちが最後にお別れするときに、「マサミー、プレゼントを受け取って欲しいの!」と言ってお花をくれました。

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家に帰ってからGROMのアイスクリームの空き瓶に生けていて恥ずかしいですが、こうしてかわいい二人からもらったお花が数日私をにっこりさせてくれました。もう8月も終わりで、先日オフィスに行った時に、ソーシャルディスタンスのために一度に二人しか乗れないエレベーターで一緒になった陽気なイタリア人の50代か、もしかしたら60代くらいのオフィサー(多分、だってマスクしているからよくわからないのです)に「今朝はかなりフレッシュな気温(低めということ)だったね」と話しかけたら「ほんとだねー、でも僕にとってはこれは寂しいことだよ、だって夏が終わっちゃう!」と大袈裟に悲劇的に返されました。イタリア人(ローマ人か?)はこうやって結構かなりな頻度で普通の社交的挨拶をネガティブにするのが得意です。これには実は、私は割と良い印象を持っていて、私のセオリーだと、イタリア人はみんな結構毎日気分良く暮らしているので、挨拶の時にそれを自慢しすぎないようにするために、「チャオー、元気?」とやると「いやー今日は頭痛がひどいんだよ、週末に友人と飲みすぎちゃってさ」というような、なんというかイタリア(ローマ)的な謙遜?のような返しが帰ってきます。僕の人生パラダイスのように素晴らしいよ、というのもアレですからね。そしてそのエレベーターの彼がエラいな、さすがイタリア人だな、と思うのは、その悲劇的返答をした後、「ほら、君の素敵なワンピースを見てごらん(私は赤いドットのついた夏らしいワンピースを着ていました)、夏が終わったら君はこれは着なくなっちゃうんでしょう?」と言って私が返事をする前に彼の階に到着し、「チャオー、ブォナジョルナーター(またねーいい1日をねー)」と去って行きました。去り際といいなんといい、さすが、としか言いようがないです。

いつものようにか、いつものようではないか、よく分からない感じではありますが、今年もこうやってローマの夏が終わっていきます。完全に涼しくなる前に秋のファッション考えなきゃな、とそのおじさまに影響されたのでこれからオンラインショッピングに勤しもうかと思います。

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