クック諸島上陸

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Full album is available at Cook Islands May 2019 | Flickr

私が現在出向している地域事務所はアジア太平洋地域事務所で、一応アジア全域と太平洋諸島をカバーすることになっています。が、太平洋のサモアに副地域事務所があるため、大体の仕事はその事務所が担当することになるので私個人がどこか太平洋の国々を特別に対象としてプロジェクトをやることは滅多にありません。ですから2017年にバンコクに来てから太平洋に行くことは今までありませんでした。このままこうしてアジア担当かな、と思っていたところ2019年の今年にたまたま、とあるちょっとだけ独創的なプロジェクトのパイロット(試行)をやることとなったんですね。その時にアジアの国3カ国に加えて1カ国、太平洋の国を入れることとなり、そこでクック諸島の政府が手をあげてくださったのでめでたく私のプロジェクト国の一つとなりました。

クック諸島は首都のあるラロトンガという島がメインの島になり、そこ以外に15の小さな島々が国を成しています。国民の全員がニュージーランド国籍を持っているというちょっとだけ政治的に特殊なところで(詳しくはウィキをどうぞ)元首はなんとエリザベス女王。5月に初めて訪れてみた時の第一印象は一瞬ロビンソンクルーソーとかトムソーヤーとかハックルベリーとかそういう物語が頭をよぎるんですけど、結局オーストラリアやニュージーランドにしっかり影響を受けているので、全体的に洗練された田舎、というイメージです。

まず到着して、最初に驚いたのが、空港の検疫官の女性に見覚えがあったこと。なんと私のカウンターパートの公衆衛生省の担当官が検疫までやっていました。スカイプでいつも会議をしていた親密さがあったので二人でキャッキャと出会いを喜んだ後、サモアから来た同僚と落ち合い、二人で空港でタクシーに乗ろうと行き先を告げたら、タクシーのおじさんが「歩いたほうが早いよ」というんですね。夜中だし、と思って歩き始めるのを渋っていたら、その運転手さん、なんと一緒に歩いてくれました(無料で)。そして本当に歩いて3分でついて驚愕しました。ホテルはビーチハウスのようで可愛らしく、夜中に到着したので真っ暗の中部屋に入ってすぐ眠りました。

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朝起きると快晴、朝食会場はずばりビーチそのものでその海水はありえない透明度です。さすがクック諸島!この日は午後から会議の予定だったので午前中時間があるということで、プレ会議をしておいたほうがいいと思ってナイジェリア出身のカナダ人である同僚に、ちょっと会議を、と言ったら「えー眠いよ」とやる気がないので、どうにかしてやる気を出させなければ、と思い、「そうだ、ビーチでプレ会議するのはどう?」と言ってみたんですね。そしたら「えー僕水着持ってないよ」とつまらないことを理由になんとか会議を避けようとするので「水着なんていらないじゃん、ビーチこんなに綺麗なんだよ?」と説得を続けたら「じゃあ水着を買ってから行く」ということになりました。はぁぁ。そして政府の人が「車を手配してくれる」というので待っていたら、届けられたのはドライバーさんではなく、なんとレンタカー。つまり自分で運転するのです。国際免許のあった同僚が結局ずっと運転してくれましたが。

そして無事に短パンをゲットした彼と一緒にビーチへ。それが最初の写真ですね。タイの素敵リゾートだと、海岸もビーチも完全にお掃除をしてくれるし、何もかもが至れり尽くせりだし、ということでいつも快適にビーチ時間を過ごせるのですが、ここは全てがセルフサービス。タオルも水も何もかも持っていく必要があります(当たり前)。だから海岸は虫や鳥のふんなどは自然のままにあるので、そういうのに慣れてない方は要注意です。私はどっちもありです。小学生の時に入っていたYMCAのインディアンズクラブ(ボーイスカウトのようなもの)での活動は、本当にシビアな自然そのものだったので、今は私は汚いものとか気持ち悪いものとかほとんどどうってことありません。虫の中で直床で一緒に眠ったことすらあります。最初はギョッとしますが慣れるので別に平気です。クック諸島ではなくアジアの国での話ですが、ホテルで3匹のネズミと一緒にシャワーしたこともあります。さすがに触わりはしませんが、まあ遠くを走っていくくらいだったら特に気にしません。そのネズミは滞在中、多分ずっとルームメイトでした。話がそれましたがその透明度の高い水がこちら。

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本当に綺麗ですよね。綺麗といえば、クック諸島に住むほとんどの人がマオリ族、あとはポリネシア系で、体型は大体巨大ですが(失礼)じっくりお顔立ちを観察させていただくと、麗しい方が多いです。特に男性。ちょっと失礼を承知で書きますが、例えば日本で「かなり太っているな」と思われるであろう人の2、3倍くらいの体型がザラなのですね。ですから体型と美醜をごっちゃにしてはいけませんが、やはり横に大きな方はちょっと「イケメン」というイメージは持ちづらいですよね、日本人だと特に。でも数日滞在してその大きめの体型に目が慣れてくると、ふと横に座った人なんかをよく見て、その方のお顔がものすごく整った目鼻立ちだったりして「うわ!イケメンがいる!」と思ってしまうので不思議です。イケメンパラダイスかもしれません。いずれにせよイケメンの部分は置いておいて、パラダイスであることは確かです。お食事も洗練されていておいしいです。

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こちらマグロのサラダ。これは前菜らしいんですが、私にとってはフルのランチとなりました。こういう日本人も好みそうなお魚中心のお食事がたくさんあって幸せです。ハワイのお料理なんかも多いです。ポキとか。他に特筆すべきなのは皆さん歌を歌うのが大好きです。基本的には賛美歌です。会議などで集まるとすぐみんな大声で歌い出すのでびっくりしますが、ハモったりして上手なので最終的には感動します。一体感が良い影響を仕事にも与えていると思われます。

で、ここまではクック諸島のサワリを書いただけですが、私が今日本当に書きたかったのは、プレ会議のこと。プレ会議とは、私の中で本会議の前にちょっと開催者同士で最後の詰めをすることですが、私はこのプレ会議をすごく重視しているんですね。大体開催者が全員会ったことがある人々ということはまれで、その時初めましての人が何人もいることがよくあるので、まず最初の目的は「お互いを知る」ことです。まずは性格、そして能力などをパパッと把握します。この判断の基準が難しいので、私の中で系統立てて基準作りをしているのでそれをご紹介しようかと。以下のような部分をプレ会議でみます。

  1. 社交的なのか、シャイか(どっちでもいいんですが、当然社交的なほうがやりやすい)
  2. 真面目なのか、ジョークが通じるか(どっちでもいいんですが、ジョークばっかりいうタイプではなくジョークが分かるタイプ、難しいことをジョークでうまく捌けるタイプが好ましい)
  3. 細かいタイプか、おおらかなタイプか(これは開催者グループのなかにどちらもバランスよく必要)」
  4. 会議進行において頭脳明晰で今何をみんなが喋っていて何が大事なポイントで、というのを瞬時に把握してディスカッションをきちんと目的の場所に持っていけるか(瞬間IQ、これができない人はかなり使えない)
  5. 本会議での役割分担の適材適所を探すため、何に長けていて何が苦手か(得意、不得意分野は人それぞれです)
  6. 会議のトピック自体にどれくらいの興味やパッションを持っているか(持ってない人にはそれなりのお仕事があるのでそっちをやってもらい、今後はチームから外す方向で)
  7. この小さなアクティビティである会議が大きな目的(FAOの目的や国連の目的など)にどのように関連するか理解しているか(分かってなさそうな人でかつ分かる気もなさそうな人は今後はチームから外す方向で)

1に関していえば普通に会話すればわかります。2も話の流れでこっちがジョークを言ってみれば大丈夫。3はあまりよくないことですが出身国で大体わかるのと、時間を守るかとか書類をきちんと管理しているかとかそういうのをみたり、小さなことを気にする人か、まあそれはその場でなんとかしよう、と言ってくれる人なのか、とかある程度の細かさとおおらかさをみます。どっちも必要なので良し悪しはないです。4はお互いに目的チェックをするとすぐわかります。「ねえ、私はこの会議でこういうことが起こって最終的にこう言ったものが上がってきたら成功、と思っているんだけど、あなたにとってみて何が成功のインディケーター?」と聞いた時に割とピンポイントでその人の役割に応じたことを言ってくれば、瞬間IQがわかります。「えーっと」と困る人は瞬間IQが低いか、あるいは6のポイントが低いかです。5は大学や院での専門分野や、今やっているプロジェクトのトピック、何が一番楽しい仕事で何が一番楽しくない仕事か、というような話を軽くするとわかります。6はプレ会議しよう、といってその場所に会議のアジェンダ(紙でも携帯内でもなんでも良い)を持ってこなかったら私の頭の中でアラートが鳴り響き、「何か質問とかある?」と言った時に「何もない」というとさらにアラートが大きくなる、と言った感じです。7は難しいんですが、「この会議のレポートは1ヶ月後には出ると思うんだけど、どういう人にレポートを回したらいいかな」と聞くと大体何を考えているかわかるのでそれで判断します。

国際機関だと文化が多種多様に分かれるので、一概にどんなタイプが一番良い、とは言えないんですね。私は準備、計画、まとめ、簡素化、システム化のような部分が非常に日本人的で得意だし、極端な例を言えばファイル名の付け方からからこだわってシステム化しているため、何千もあるフォルダーとファイルの中から探し物は一瞬で見つかるので、何かファイルを探して何十分、とかやっている人を見るとため息が出るタイプです。でもだからってそんなことが最も仕事ができるという証明ではないですよね。やっぱりいろんなタイプをまんべんなくチームに入れて、特徴を引き出しながら、衝突なくうまくやって仕事もクオリティを上げてちゃんと時間内にやっていくタイプが実は一番「仕事ができる」タイプなんですね。この「衝突なく」というところがポイントですね。どんなにやりづらい相手でも、良いところを探して、その特徴を引き出して、うまくチームに、仕事に貢献できるようにする。これは別に単なるチームメイトであってもできることであって、チームリーダーでなければできないというようなことではないですよね。ラロトンガの美しい海辺で、あまりにも性格も、仕事に関する考え方も、性別も、人種も何もかも違う同僚とプレ会議をしながらそのことを一生懸命考えたのでした。まあ、そのためには下の写真のようにそれなりのドリンクも必要でしたけどね!

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2 Replies to “クック諸島上陸”

  1. 7つの判断基準点、とても勉強になりましたし、いろいろと自分のことで反省点も見つかりました!最後の”特徴を引き出しながら、衝突なくうまくやって仕事もクオリティを上げてちゃんと時間内にやっていく”というのは、課題になりそうです。私は衝突はしないけれど、しそうな相手を見つけると、踏み込まないようにやんわり避けてしまいます。そうなるとやはりチーム編成が一辺倒になりがちです。

    いろいろな国と文化の方々とチームを組む仕事となると、まとめる側も大変ですね。だからこそ達成感も大きくなるのかな、と思いました!

    1. 絵美さん、すっかりお返事遅れました!判断基準、勝手な物ですが毎回なんとなく使えるので書き留めておきました。チームをまとめるのは大変ですよね。同じ国籍で同じ文化でも十分大変ですしね。絵美さんも何かコツとかあったらぜひ教えてくださいね。

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