築地にて

日本で10日間の夏休み中です。とはいえ、今年は私は大量の夏休みをいただいていて、まずはスコットランドのエディンバーグで5日(と週末)、日本で4日(と2週末とフェラゴストの休みを混ぜるとトータルで10日間)、あと8月の最終週にフィレンツェで5日間、9月の半ばに5日、と休みまくりです。今回の日本では、バケーションで遊びにきてくれた友人のイタリア人とアルゼンチン人のカップルのおもてなしに2日間つかったんですがその一環で築地に行ってきました。こんなこともなければ早朝の築地になんて滅多にいかないと思うんですが、すごく楽しかった。まず、私は外国人観光客を甘くみていて、5時に受付開始というまぐろの競り卸売りの無料ツアーは4時に行けばまあ大丈夫だろう、と思っていて、もしかしたら4時半でも大丈夫と思っていたんですが、同行してくれたAさんが、「いやぁ週明けだし、お盆の週だし、3時半でしょ」と言うんですね。3時半って朝じゃなくて夜じゃん、と思ってみんなで話し合った結果、間をとって3時45分ということになりました。それでも「早すぎだよー」と私は個人的に考えていたんですが、最終的には遅過ぎるよりはいいでしょうということになりました。

で、準備万端に築地にホテルまでとって待機。受付場所であるおさかな普及センター(築地市場の勝ちどき門近く)までホテルから徒歩5分以内という素晴らしい場所だったんですが、茅場町あたりに泊まっていた友人カップルがやってきたのが3時45分ちょうど。歩き始めてから気づきました。歩道に次々に現れる外国人観光客たち。横道からポツポツと現れて、まるでビデオゲームのようです。ついつられて無言で早歩きになる私たち4人。横断歩道を渡っておさかな普及センターに入ると、なんと、1日120人しか受け付けないというツアーなのに中にはすでに100人くらいいました。許可証代わりに蛍光色のベストを配ってくれるのですが、第一グループの緑色のベストはすべて終わっていて、第二グループの青ももう何十人ももらっていたので、もしや間に合わないかも!と焦ったのですが、無事に受付してもらえました。

Tsukiji

ベストを受け取って中にはいって、ほっとして座ってから後ろを振り返ると、私たちが到着した3時50分から5分後の3時55分には積んであったベストもなくなり、受付終了。いやぁかなり冷や汗ものでした。友達もイタリアとアルゼンチンからはるばる来てくれたのに(あ、ウソつきました、確かにふたりの出身はその2カ国ですが、ふたりともスペインに住んでいます)朝3時起きなのにツアーに入れなかったら本当にがっかりするところでした。実際私たちが入ったあとに、断られる観光客、少なく見積もっても200人はいました。こんなに大人気なんですね。築地周辺に宿をとってない人は、電車のない時間なのでみなさんタクシーで来るしかないと思うんですが、タクシーで来て、断られ、またタクシーで帰るしか無いという悲しいことになっていました。これに懲りずに翌日もうちょっと早めに来てトライしてくれたらいいな。

ツアーに入れてほっとしたのはいいんですが、それから第2グループのツアーの始まる6時15分まで2時間以上あります。だらだらとおしゃべりしたり、センターの建物の目の前にある自販機でコーヒーを飲んだり、断られてがっかりして帰って行く観光客を眺めたり(かなり性格悪いですが、この行動が一番人気でした)などして過ごしました。一組イタリア人のカップル(45歳から50歳くらい)が5時頃やってきて、入れないと知るや警備員の人にしつこく話しかけて1時間くらいねばっていて、それが待っている人々にはかなり良いエンターテイメントとなっていました。イタリアではあのやり方で結局そのしつこさに観念して「じゃああなたも入って良いよ、1時間もがんばったし」と非常に不公平な結果になったりすることもよくあることなのですが、ここは日本。警備員のみなさんも「あのイタリア人は論外」ときっぱりとことわっていました。正義と正直が往々にして勝つ日本、好きです。良い国です。でもあのイタリア人は今頃「あーバカ正直な日本人はつまんないな」と懲りずに文句を言っていることでしょう。

その後、第一グループのツアーが終わるとともに第2グループの私たちも場内に行って、競りを見学しました。全体的な迫力ももちろんあるんですが、競りに参加されているみなさんの個々の迫力もあって、日本人の私としてはちょっとだけ怖じ気づきました。外国人にはこの怖さは分かるまい。一番上の映像が競りの一部です。はっきりいって何を言っているのかさっぱりわかりません。バックグラウンドに鳴り響いているのは、手前のまぐろの競りが始まる直前だったので、その「いまから競りを始めますよ」という合図の鈴の音です。昔は競りのエリアにも観光客が自由に入れたということで、まぐろにだきついたり、横に寝そべったりして、観光客がやりたい放題だったみたいですね。現在は1日120人という限定もあるし、見学エリアも決まっているし、配られるガイドにも「ここは仕事の場ですので観光客は優先されません」とはっきり書いてあってまったくウェルカムな雰囲気はありません。それでも早朝に並んでみる価値はあるか、といわれると、あるような気がするので不思議です。映像でちらっと映ってますが、尾の辺りの赤い肉を手に取って、こすって脂ののりを確かめている人がたくさんいて、なるほどこうやって質を見定めるのかと知ったり、見所もいろいろでした。

Tukiji

もちろんこのあと場内のお店で新鮮なお寿司での朝食を堪能しました。これで友人カップルもさらに大満足でした。間違いなく今まで食べたお寿司の中で一番美味しかったと言ってました。よく口の中でとろける、という言い方をすると思いますが、とろけるどころか、食べた瞬間にスっとなくなっちゃうような感覚ですよね。焼津のまぐろも美味しかったけれど、築地のまぐろもなかなかでした。強いて違いをあげるとすると、焼津はまさに「生・新鮮」、築地は「質・伝統」といったイメージでしょうか。焼津のような水揚げ港となると、まぐろも黒光りしているし、築地の凍ったまぐろとは違いますよね。でもまぐろの中でも質の良いものが築地まで来るのかなと思うとそういった意味では選ばれたまぐろのある築地、といったところでしょうか。ということで暑い日本ですが満喫しています。もうすぐローマに帰ります。

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