山下清さんの見たヨーロッパ

千葉県立美術館週末はぎりぎり雨が降らないでいてくれたので、Aさんと山下清展を観に千葉県立美術館までドライブしてきました。途中葛西周辺が、ディズニーランドへの渋滞があって少しゆっくりでしたが、朝の9時半頃到着。180点ほどの充実展覧会で、かなり感銘を受けました。私たちは実はエッフェル塔の絵がメインになったこの展覧会のポスターを見たので、なんとなく行きたい気分になったのですが、こうして入り口からイタリアはヴェネチアのサンマルコ広場の絵で、到着早々かなり気分が上がって興奮しました。これは美術館の説明の受け売りですが、山下清さんは、彼が有名でなかった頃は、その場で景色をスケッチすることはほとんどなく、強烈な記憶力でその景色と、それを貼り絵(ちぎり絵)にした状態の絵という2つのイメージを脳裏に焼き付けて、家(や学園)に帰ってからせっせと創作活動をしていたそうなんですね。人間の脳ってほとんど使われてないそうですけど、多くの人間が使わない脳の一部がとてもアクティブだったということなんでしょうか。感動します。
この写真の看板にはちょうど使われていなくて残念ですが、このドゥカーレ宮殿の紋章が抜き型になって上にずらっと何十個も並んでその穴からさらに海側の壁に並んだその抜き型の紋章が見えるところをこの絵では山下清さんは描いているんですが、それはまさに心のフォトグラフといった感じで、本当に感動します。「そうそう、そこが感動ポイントよね!」と思わず絵に向かって話しかけたくなってしまうのです。真ん中に立っているのは山下さん本人でしょうか。サンマルコ広場はいろいろな画家に描かれていますが、私は間違いなくこの絵が一番すきだと思いました。「日本人が見た外国の風景」というのを一括りにしてしまうのはちょっと乱暴かもしれないとは思うんですけれど、うまく説明できないそういった感覚が私にもあって、イタリア人が見たヴェネチアよりも、ずっと近い感覚だと思えたんです。
ほかにもロンドンタワーやタワーブリッジなどのイギリスの風景や、スイスの山間の町の風景など、とてもいやされる絵がたくさんあってかなり充実だったし、千葉県立美術館の、静かで素朴なたたずまいも良かったです。もちろん、彼のシグニチャーアートとも言える細かいちぎり絵(紙をこより状にして立体感を出していたりして驚きです)も必見です。

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