今年中にあと4つのミッションをこなさなければならないというのに、日頃の準備不足などで現在ローマ滞在時間の記録を更新中です。すっかり定時に出社して定時に帰るOLさんです。12月の半分はミッションなんかに行っている場合ではないことを考えるとちょっと冷や汗が出ますが。さて、実は10月6日にほぼ私のためだけに働いてくれていたイタリア人のインターンの女の子のCちゃんが任期終了して無事お仕事が終わったんですけど、彼女を指導する上でいろいろと考えたことをちょっと書き留めておきたいなと思って。
まず、彼女は27歳なので、若いといってもそんなに若くはないんですが、イタリアでは大学卒業がだいたいそれくらいの年齢になるらしく、仕事上の精神年齢的には日本の19歳くらいだったなぁと思います。私生活上での精神年齢は年齢相応で、やはり同じ年くらいの日本人の女の子たちよりは大人の雰囲気。ただ、これはCちゃんだけのことではなく、私の見るイタリア人の半分くらいはそういう雰囲気なので、何が悪いとか良いとかそういうことではないんですが。私は隠すこともないので書きますけれど年齢は35歳で彼女とは8歳ほどの開きがありますが、27の時は何をしていたかというとアメリカンフットボールに夢中で必死でPhDのコースを取っていた頃なので、実は私もCちゃんと同じかそれ以下の精神年齢(仕事上も私生活上も)だったんですね。でも、最近私の同僚のIと話していてものすごく同意し合ったこと。
それは仕事上、人間にはとにかく2種類しかいなくて、ひとつは自分でどんどん切り開くタイプ(やってみよう、というタイプ)、もうひとつは、ワンクッション置いて様子を見るタイプ(受け身のタイプ)。当然前者は大きなミスをしてしまうリスクなどありますが、指導者という立場の人にとっては非常に「指導しやすい」タイプで、もしその人が「人の意見を聞く」タイプであれば、非常に「伸びる」タイプですね。実は重要なのはその「人の意見を聞ける」かどうか、というところでもあるんですが。そして後者は指導者にとっては非常に「重荷」というとアレですが、努力家タイプであれば、一度道が定まるとコツコツできるタイプですね。ですが指導者という立場にとってはとにかく難しいタイプです。何も言わないで放っておくと、何もしないタイプ。Cちゃんは良くも悪くも後者のタイプで、指導をすべて任せられていた私としてはちょっと苦労しました。このことをうまく説明しようと思っていろいろサーチしてみたら、まさにど真ん中ストライクのブログがあったので、管理人さんには許可を得ていないのですがリンクさせていただきます。
習ってないからできません(machikoさんのブログgotchaより)『小学生のころ、先生が黒板に知らない漢字を書くと、「先生!それ習ってないよ!」と責めるような口調で、教えてもいないのに読ませるな、ということを主張する子供がいたと思う。今、仕事でトレーニング講師などをやることがあって、「習ってないからできません」は大人になっても健在であることを知る。そんなことを言うと、まるで自分がずいぶん大人のようだが、私自身も「誰も教えてくれなかった・・・」と愕然とすることは、日常だ。必要なことはきっと誰かが教えてくれるはず、というのは、よっぽど重要人物にならないと無理な話なのかもしれない。』
全文クォートしてしまいましたが、このmachikoさんのブログ、あまりに面白すぎて私ほぼ全部この週末で読破してしまいました。文章もすごく引き込まれるような文章で、本当に才能がある方なんだろうなと思います。2004-2006あたりが特にとても素敵で、もちろん全部素敵なんですが、また読ませていただきたいと思っています(最近更新がないようですが)。ホント、人種に寄らずこのタイプの人は健在です。Cちゃんはボローニャ大学出身の優等生でイタリア語はもちろん、スペイン語、英語、ドイツ語などが流暢でそれはもう本当に立派な大人の女性で、美人だし物腰は丁寧だし私とすぐに打ち解けてくれていろいろなところに一緒に遊びにいってくれたし、お料理も上手だし、本当に言うことないのですが、まるで呪文のように、「あ、それは教えてもらってません」と言ってました。
「これを持ってプリンティングオフィスのこの人に渡しておいてね」「あ、その人のオフィスの場所を教えてもらっていません」(FAOには立派なオンラインディレクトリがあります)「このパラグラフのSouthern blotについての説明が大まかに正しいかどうかちょっとチェックしてくれる?』「Southern blotについて教えてもらっていません」(FAOには大きなライブラリーがあります、しかもS. blotについてはネットに情報がいっぱいあります)「このファイルをフォーマットしてインデックスつけといてくれる?」「インデックスの作り方を教えてもらっていません」(多分みなさん教えてもらったことはありませんが、みなさんいつのまにかできるようになっています)などなど。お嬢さん、世の中のことは全部教えてもらえることばかりではないのですよ。
なるほどー。
私は数年前に実験を習っていて研究のまねごとをしていたとき、やったことのない解析を、休日に教科書を見ながら「勝手に」やってすんごいおこられたことがあるよ。
「教えてもらってからやれ!」って。
たいして高い試薬を使ったわけでもなく、ひとりで初めてだったけど実験もちゃんとうまくいったのに!
Cちゃんのサイドにもふたとおりあるけど、まみのサイドにもふたとおりのタイプがあるんじゃない?
私もくるくると巡ってくる研修医ちゃんたちをみて、考えさせられることがたくさんあります。
あと数年で、「ゆとり教育」を受けてきた人たちが職場に現れます。噂では(その子たちを部活の後輩としてみてきた人たちがいうには)すごいらしいけど。
それにしてもまみがんばれー。大変だねえ。
お姉さま:そうねそうね。指導者側もいろいろあるよね。私が良い指導者かどうかは分からないけれど、「教えてもらってからやれ」っていうのも、もしかしたら正しいのかもしれないけれど、その本当の理由をちゃんと指導者は言うべきよね。たとえば実験室だったらちゃんとプロトコルがあるからそういう目に見えない手順を知る前にやってはいけないとか、実験器具の順番があるとか、いろいろあるよね。
私はオフィス番号まで丁寧に書いて教えてあげなきゃいけないのかと思って愕然としたのよ。でもそこで、どうやってディレクトリを見るかを代わりに教えてあげたら、Thank you so much!って感動してたからいいのかな。素直な子なんだけどね。