このエントリーのコンセプトについては「はじめに」をお読みください。
今回のお題(Economist誌より):
Novartis, a Swiss pharmaceuticals group, said it would buy Hexal, a German drugs company, in a merger that will see Novartis become the world’s biggest maker of generic drugs (through its Sandoz division). The deal, worth $8.3 billion in total, includes provisions for Novartis eventually to take control of Eon Laboratories, Hexel’s American affiliate.
A子さんからのメール。
BTW
スイスの製薬グループであるノヴァルティズはドイツの製薬会社であるヘクセルの買収を発表した。それによってノヴァルティズは、サンド社を越えて一般的薬品に関する市場において世界最大のシェアを得ることになるだろう。総額83億ドルに及ぶ取り引きはノヴァルティズがヘクセルのアメリカ支部であるEon Laboratoriesの支配を得ることも意味している。
私のメール。H先生の回答含む。
全体の意味としては良いと思います。細かいことを言うようですが、Pharmaceuticalsとあるので「製薬グループ」ではなくて「製薬品グループ」だと思うのですが、このあたり専門見解がある方はお教えいただけると幸いです。「スイス製薬品グループのNovartis社はドイツの薬品会社、Hexal社を買収することを発表した」ですね。said it wouldですので未来のことを発表「した」(過去)なわけです。あと、これは質問ですが(H先生)buysで「買収」とはなりますが、そのあとに a mergerとあるということは、経済学的には「統合」とかそういった言葉は入りますか?「合併」とはどう違うのかしら。このあたりバックグラウンド明るい方教えてください。
H先生より:mergerは永らく「合併」が定訳でしたが、最近日本では「経営統合」というのが出てきました。
これは法律が改正されて、純粋持株会社holding companyの設置が許されるようになった(それまでは財閥の再生を防ぐというGHQ以来の方針で認められていなかった)ことも大きく影響していると思います。この法改正によって、A社とB社が以前のように単に合併mergeするパターンに加えて、AとBの上位にX社を作って、それがAとBの株を持ち、従来の一般株主にはX社の株を持ってもらう。そうしてX社がAとB全体を統括する立場(グループ本社機能)になるというパターンが可能になり、それが流行っているんですね。例えばメガバンクはいずれも「ホールディングス」(ホールディングズだと思うんですがぁ<笑>)というのを持っていますが、それがX社に当たります。
この英文の訳としては、NovartisがX社にあたるようなので、経営統合でもいいですけど、単に合併でもいいと思います。
あと、カッコ内のthrough its Sandoz divisionとあるということは、つまりSandozが傘下にあるという意味で、Hexalをその傘下のSandozを統合させた結果、Novartisが世界最大となった、という風に考えるのは読み過ぎですか(H先生)?
いや、僕もそういう風に読みましたよ。いちおう関連記事を調べてみてください>A子さん。
Generic Drugsというのは一般「的」薬品ではなくて、一般「名」医薬品ですね。どう違うかというと、ジェネリックドラッグというのはつまり、新薬の特許期間終了と共に、一般市場に一般名をつけて出すことができる医薬品だからgeneric drugsと呼ばれるわけです。一般的薬品と言いたい時はgeneral drugsとなるでしょう。このあたり経済というよりは薬学に近いので間違うのも無理はないと思います。一般には「ジェネリック医薬品」というふうにカタカナで書いてしまっても大丈夫なはずです。
ふむふむ この辺は武内さんのご専門に若干?うんと?近いんですよね
最後の文、worthの訳し方としては「相当」を使うほうが「及ぶ」よりもスッキリするかもしれません。また、includesが落っこちてしまったため、最後の文章はちょっと意味が違ってますね。
「総額83億ドル相当の(あるいは「に値する」)取引には、Novartis社がHexel社のアメリカ国内での提携社、Eon 研究所を買収する(コントロールを得る)という条件(条項)も含まれている。」
といった感じで良いのではないでしょうか。単に”to take control of”となっているところを「買収」とまで訳するのはちょっとやりすぎな感もありますが、そのあたりはA子さん、もう一度バックグラウンドを調べて、一体NovartisはEon Labをどうする(した)のか、教えていただけるとうれしいです。
その後A子さんよりメール。
先日オーストラリアから帰国しました。3週間という期間は本当に一 瞬の出来事でしたがとても良い経験になりました。留学にあたってアドバイスいただ き、本当にありがとうございました。
【背景】やはりNovartisはドイツのHexalを買収しHexalと提携関係にある Eon Labsを傘下に収める、つまり買収するということを発表したようです。前回の訳 で私はNovartisとSandoz社は競争の立場にあると思っていたのですが全くの勘違いで あり、Novartisは1996年にスイスの三大企業のうちの二社Ciba社とSandoz社が合併し 設立したものでした。そして、HexalとEon Labsを買収することでNovartis内のジェ ネリック医療品部門のSandozがそのメーカーとしては世界最大手になるだろうという ことでした。
