ミニ読書録

20050225_minami.jpg以下、著者敬称略です(すみません)。
1. 南君の金融日誌(日向野幹也):このサイトでもリンクさせていただいている日向野先生にちゃっかりいただいてしまいました。先生どうもありがとうございます。オートグラフ入りです(サインの画像はこちらですが、ちょっと暗いところで撮影したので画像が目の覚めるような黄色になってます、ごめんなさい)。金融のこと、経済の事、銀行のことなんて全然勉強したことない私がスラスラと読めて、出てくる新しい専門用語(私にとっては)もすぐに解説があったり、出てくるお料理のレシピが巻末にあったりなど、盛りだくさんの内容で、楽しかったです。これを読んで居酒屋やってみたくなる人はいるはず。お酒屋さんと共同の洋風立ち飲み屋さん!行きたい!なんて思いながら楽しく読みました。かなりオススメです。


2. パリ 遊歩者のまなざし(エドマンド・ホワイト):過去の偉大なるフレンチ作家の愛したパリをまとめ書きといった感じのエッセイともなんともつかない本。装丁がキレイなのと、スッキリとしたページレイアウトで読みやすかったです。でもよくよく読んでみると、さすがゲイ作家、ゲイの話題だらけです。びっくり。後半はパリのゲイ事情になっていてわりと唖然としました。それでも前半は私の愛するボードレールやベンヤミン、コクトーなどのパリでの生活がしっかりと書かれていてそれはそれですてきでした。私がとてもいいなと思ったのは56ページの以下の部分。

わたしはアメリカ流のフェミニズムのせいで、男たちは女性に色目を使うことを控えるようになったのだと説明しなければならなかった。というよりも、歩道がフランス人にとっては舞台そのものなのに対し、アメリカ人にとってはただのつまらない背景にすぎないのだと。出勤途中のアメリカのOLは、自分がどう見えるか気にかけたりはしない。彼女たちがスニーカーをはきかえるのはオフィスに入ってからである。それに対してフランス人女性は、道路に出た瞬間からそこが舞台になる。衣服も、髪も、メーキャップも完璧でなければならない。

日本はある意味この場合はフランス的といえばそうかもしれませんね。出かけるとき、ちゃんとしなきゃ!と緊張するという意味で。ただ、この部分では、このパリの旧オペラ座のあたりでは、男性がぶらぶらと歩いていて、いいなと思った女性に声をかけたりする、というのが当然というか、ある意味それが礼儀だったりする文化があるようなことが書いてあるので、そのあたりは日本の文化とは重なりませんが。まあ、電車でアイメイクがんばっちゃったりするような日本人女性にはこのどれも当てはまりはしないんでしょうけれど。原題はWriter & City PARIS The Flaneur by Edmund Whiteだそうです。
3. ふしぎな図書館(村上春樹・佐々木マキ):ぎゃーと叫びたくなるほどドーナツが食べたくなること間違いなしです。あと、ホラー的要素が思いっきりつまっているにもかかわらず、その感覚としてはThe Curious Incident of the Dog in the Night-Timeを読んだときの感覚にそっくり。まあ主人公のバックグラウンドが似通っているのでそういう感じなのでしょう。最後にお母さんびっくりしなかったし。とにかく装丁が美しすぎで、ぷわぷわした表紙&裏表紙が気持ち良くて、一生ものです。「カンガルー日和」に入っている短編の絵本版ということなので、経済的にはもしかしたら「カンガルー日和」を購入したほうがお得といえばお得。でも個人的には、この佐々木マキさんの絵と一緒にドーナツ食べながら読むのがベストではあるはず。10分くらいで読み終わるんですが、ん?と気になっていろいろ読み返すので3回連続して読みました。ので合計30分。
4. 泳ぐのに、安全でも適切でもありません(江國香織):短編集です。山本周五郎賞受賞作ということで、直木賞受賞作の「号泣する準備はできていた」のとどっちを読むかな、と考えたんですが、文庫だったのであっさりこちらを選んでみました。表題の短編がベストでしたね。短編ってつづきを知りたいって思っちゃいけないのかもしれませんが、やっぱり知りたいですよね。でもこうしてバラバラであるはずのそれぞれの物語を読んでいくと、やっぱり著者の趣向というか目指す道というかそういうものがうっすら見えてくるのが面白いといえば面白いかもしれません。個人的には「まただ。まただまただまただ。」がいいなと思いました。非常に分かりやすいという意味で。
5. ミリオネーゼの手帳術(佐々木かをり):いや、これは半分シャレで買いました。というのも、うちの姉が母から送られてきたという手帳を使っていて、それがどうやらすっごい売れた手帳らしく、それを私もつかいたーいと思って本屋さんでいろいろ探していて、「ミリオネーゼ手帳」みたいなおこづかい帳っぽい手帳があったので、それと一緒にこの本も購入したというわけ。これでもうすでにミリオネーゼかもしれない著者の方をさらにミリオネーゼにする手助けをしてみました。えへへ。手帳術としては、私がiCalを使ってすでに実行しているようなことがズラズラと書いてあったので、どちらかというとリビューといった感じでした。が、その中に、「かわいいカードやハガキなど、切手を貼った状態で手帳に2、3枚挟んでいた時期があった」というようなことが書いてあったんですね。何でも、忙しい中でも15分ほど時間があればお礼状などを書くのに、パっと手帳を開いて、挟んであるハガキやカードを使っていたというのです。これはいいなぁと思って私もマネすることにしました。アメリカの社会、カード社会ですから、お礼状非常に大事だと思うんです。カワイイカードを探したりするの楽しいはず!カード買いに行きたい(あ、単なる物欲になってる)!!あといいな、と思ったのは113ページにあった「先約優先」というコラム。自分にルールを作って決断に使うっていうのは意外に大事なのではないかと思った次第です。興味がある方は是非、本屋さんで立ち読みか、あるいはこの佐々木さんをミリオネーゼにする手助けをしてみては(購入するということです)いかがでしょうか。

2 Replies to “ミニ読書録”

  1. どもども〜 「南君の金融日誌」著者です
    ご紹介ありがとうございます
    こちらのサイトにはパスタつながりで
    お邪魔して以来、いつも楽しく読ませてもらっています
    学生たちにも薦めたところすごく興味をもった子たちが
    何人もいたので、過密日程の中をお願いして先日
    学生たちともどもご対面できて楽しい一時をすごさせて
    いただきました
    この本について
    僕自身は、料理は趣味ですけど
    居酒屋を開業したことはないので
    親しい友人に居酒屋・スナック経営経験者や
    イタリア料理店チェーンの食材買い付け担当者が居たり
    したので原稿を見せてコメントをもらいながら書きました。
    あと、主人公(南君)の事業の変化・発展に応じて
    いろんな店のタイプを登場させなくてはいけないんで
    執筆中はかなりいろいろな店に「取材」に行き、それも
    楽しめました。(って単に飲み食べし歩いただけですが)
    金融の話としては、南君の店・会社が小さい頃の説明は
    資金繰りにいつも苦労する中小企業金融の話になって
    いますし、大きく成長してからは大企業の金融が分かる
    という仕掛けにしてあります。
    これは実は東京のとある大学の非常勤講師を頼まれて
    金融論を教えに行ったものの授業中の私語がやまないので、
    何とか聞いてもらおうと居酒屋開業物語を思いついたのが
    きっかけです。
    この本では脱サラ(って死語?)から
    居酒屋開業→有限会社→株式会社→上場
    というあたりで終わっているので、
    この後、ホリエモンのような合併・買収合戦とか
    MBOなどが登場する続篇も書く予定です
    なお、署名が英語なのは、漢字で書くと字が下手なのが
    バレるので苦肉の策のつもりだったのですが、
    それでもやっぱり下手ですね・・

  2. ひがのさん:おお、著者ご自身からのコメント、本当にありがとうございます!合併・買収合戦も含む続編だなんて、かなりワクワクしますね。やっぱり若いのにすでに会長、南君が活躍するんでしょうか?意外だった、というとヘンなのかもしれませんが、ちょっぴり恋物語(?)もあったりしてとても面白かったです。続編期待してますね!

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