お約束(?)通り、先日3ドルで買ったローフ型で初めて焼いたのはこのパウンドケーキ。かなり創作入ってますが、基本の生地は私が敬うベイキングの聖書、How to Bake(日本版)に載っている分量を使っています。この本のレシピはどちらかというと、素朴系ですが、かなり、ディテールにこだわっているのが分かります。
たとえば、このパウンドケーキの生地、3つボウルを使うんですよ。バター(2スティック)、砂糖(1カップ)を相変わらず白くふわふわになるまでまぜて、それに全卵3つを、ひとつづつ入れる。これがボウル1。2こめのボウルには液体系。
レシピには牛乳を1/3カップと書いてありますが、私には強いこだわりがあり、ケーキやパンなどを焼くときの液体系の分量は絶対レシピ通りの定量は使いません。かならず、生地のやわらかさをみながら調整した量を加えますが、今回は牛乳(1/4カップ)、クァントロゥ(1テーブルスプーン)、卵(1コ)、オレンジの絞り汁(2テーブルスプーン)を混ぜておきました。3こめのボウルにはオールパーパスの小麦粉(2カップ)とベーキングパウダー(1ティースプーン)を入れておきます。
粉はふるっておく、というのはケーキ作りの基本のように言われますが、私はこういうシンプルなバターを使ったケーキに使う場合は、意識的にふるわないようにします。というのも、きめこまかいスポンジケーキを作るわけじゃないので、食べるときに、ちゃんとボロボロとこぼれる、いわゆる「クラム」というものが出来る方が、なんとなく美味しそうに見えるような気がするんですね。何度も同じことを書きますが、人が「美味しい」と感じるのは、1に見た目、2に香り、3に感触で4にやっと味がくるんですよ。これは科学的に証明されていうことでもあるんです。だから「美味しそうにみえる」というのは私にとっては最重要項目。
でも、粉がかたまって粉っぽくなるのはイヤなので、ボウルに入れたら乾いた泡立て器でぐりぐりと真剣な眼差しで混ぜまくる、ということはやります。そしてこの本のコダワリ、「どうやってその3つのボウルの中身をまぜるか」という場面がやってきます。わたしは普通のパウンドケーキレシピをオレンジケーキにしようとしているので、ひとつめのボウルにオレンジの皮をちいさくちいさくみじん切りにしたものをクァントロゥで殺菌してホイップして、準備ができたところでおもむろにレシピを見ると、まず、粉のボウルの1/3を最初のボウルにいれる、と書いてあります。そしてグルテンを作ってしまわないように意識して混ぜた後、液体系のボウルから1/2を入れます。そして粉系からさらに1/3、そして液体系の残り1/2全部、そして最後の粉系から残りの1/3を全部。
これ、本当にレシピに書いてあるんですよ。原文は以下の通り。
最後の文なんて、「バカにしてんの?」と思うような親切さです。粉から入れ始めて粉でおわるのよ、という。あたりまえじゃん。まぁそんなこんなで325Fのオーブンで1時間、と書いてありましたがウチのオーブンはちょっと弱めなので1時間半くらいかかりました。写真がそのオーブン中でだんだんふくらんでくる様子。焼けた、という感触は、私はこうやって、上部が割れてきたらだんだん分かってくると思っています。こうやって裂け目ができて、その裂け目をじっとみると、なんとなくわかるのです。
焼けたらとりだし、型に入れたまましばらく放置。手で触っても全然熱くなくなったら型から出します。最後に、これは私の好みですが、クァントロゥとオレンジの絞り汁を混ぜた液体をさらに全体にハケで塗ってしっとりさせ、ラップにくるんで寝かせます。こういうパウンドケーキは、カレーじゃないですけど2日目が一番おいしいんですよねぇ。
それにしてもオレンジケーキには、私にとって、母との深い想い出があります。思い出すたびに泣いちゃう。
これはついでですけれど、昨日の残り物のスティールヘッドをつかってパスタにしました。スパゲティはパルメザンとパセリで和えてあります。ケーキにオレンジをいっぱい使おうとおもって勢い込んで大きなオレンジを3コもがんがん切ったんですが、そんなにたくさんケーキに使うわけもなく、こうして食卓に出てきてしまっています。それにしてもやっぱりお魚は久しぶりに食べるとおいしい気がしますねぇ。
紹介したHow to Bake(日本版)という本ですが、私はなんと、この本を1ドルで手に入れたんですよ!よくある、クックブッククラブのようなもので、4冊、1ドルづつで最初に買えて、そのあとの2年間で、2冊買えばあとはクラブから脱退できる、というあやしいものですが、その2冊のうち1冊は、「初回特典」という感じで70%オフ。最後の1冊も、キャンペーンで75%オフだったので、トータル28ドルで私、立派なクックブックを6冊も買うことができました。しかもそのうち4冊は、雑誌、Real Simpleのクックブック特集号でそれぞれの分野の堂々1位を飾る超ベストセラー。見た目もクラシックでかわいくてかなり気に入ってます。アメリカにお住まいで、クックブック好きな方は、是非ためしてみてくださいね!いろいろなクラブがありますが、私が利用したのはThe Good Cookです。