内なる敵

昨日ぼけっとテレビを見ていたら、サイファイチャンネルで”Event Horizon“をやっていたんですが、前半のほとんどは見逃したものの、後半は結構見ました。ちょっと、怖すぎたので(というよりグロテスクで痛すぎる)ビデオを借りて見たりはしないとは思うのですが、一言でいえば、宇宙のスプラッターお化け話。見ていた途中でも、うわっと思ってチャンネルを変えなければいけないシーンなどもあったので、あまりオススメな映画ではありません。少しB級だし。
とはいえ、その裏にはなんだかいろいろと隠されているようで、ジョージクルーニのソラリスを見たときと同じようなことを考えました。つまり、また物理の話なんですが、存在のプロバビリティの話。


全部見たわけじゃないので話の因果関係が今イチ不明ですが、私の推測だと、主人公の一人で、宇宙物理学者(サムニールが演じています。ジュラシックパークの人)は、あまりに仕事に没頭しすぎて、奥さんが自殺してしまうのですね。それでその奥さんの亡霊に悩まされる(亡霊というよりは、自分で勝手に作り出した虚像という感じか)。もうひとりの女の人は死んだ我が子の虚像に悩まされる。「ソラリス」では亡霊はそんなに恐ろしい存在ではなかったけどこのイベントホライゾンでは亡霊を追いかけていると、自分の死に近づいていく。
Event Horizonというのは、聞いた感じ、蜃気楼とかそういうのかな、と思ったんですけど、どうやら調べてみたら物理用語で、要はブラックホールの外縁、あるいはブラックホールそのものを指すみたいです。
この宇宙物理学者、「イベントホライゾン」という装置を(作って)使って、人工的にブラックホールを作成して入り口と出口を作り(なんかドラえもんみたいだ)、いわゆる「ワープ」というものを可能にしようとしたわけです。こういうテクニカルなところは現実味がないので、「はぁ」という感じですが、おりしもNASAがマッハ7の飛行テスト成功させた日だったので、「人の体にかかるGとその影響」というものについて興味を持っていたので思わずいろいろ考えました。
マイケルクライトンが撮ったダメダメ映画、「スフィア」とコンセプトはほぼ同じですが、要は「存在のプロバビリティ」が高いところでの人の「想像」というものの恐ろしさというところでしょうか。現実社会でも(プロバビリティが比較的安定しているところでも)、「あいつが死んだら自分の状況が良くなる」「あいつのお金がほしい」とか、普通の人には考えられないレベルの「想像」が現実に人をダメにし、殺人やその他の犯罪をうながしてしまっていることを考えるとわりと納得できますね。一番恐ろしい敵はあなたの中にいる、という結論。
このコンセプトは、気づいたときには誰もが、おお!と思ってしまうコンセプトだということはすっごく分かるので、こうやってスフィアといい、ソラリス(ロシアのものも、最近のものも)といい、映画化したくなる気持ちはわかるものの、どうしても、哲学的な部分を切り離さずには語れないトピックでもあるので、エンターテイメントにするにはかなり難しいのでしょう。こうやってスプラッターホラーにするのも一つの手かも。ホントはこの映画ちゃんと全部見てから感想でも書きたいところでしたけど、あまりにも血が出過ぎ、人が死に過ぎなので無理です。どなたか見た方がいたら教えてくださいね。

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