左巻き

昔の日本では、つむじが左に巻いているひとのことを「左巻き」と「あたまがおかしい人」という意味合いにして呼んでいたことがあったのはみなさんご存じなことだと思いますが(いわゆる、『くるくるぱー』は、人さし指は左にまわすものらしいですよ)、今日はその左巻きではなく、別の左巻きのお話。つい先日かの有名なネイチャーに掲載されたらしいですが、日本語の記事もありました。実は、そっちをちゃんと見ていただいたほうがいろいろと嬉しいのですが、リンクが切れると悲しいので無許可ですが勝手に下の方に転載しておきます。すみません。クレジットは信州大学浅見先生、東京大学上島先生 et al.です。
ミラーイメージ、LとRの関係は遺伝子学を語るに外せないトピックですがまぁLは劣性ということを証明するにはRを優勢にしてHoをリジェクトするしかないんでしょうね。でも右に右に、といく感じは面白いですよね。現実に突然変異でできた左巻きがその種を存続していくということもあるというのも面白いし、実際に交尾が物理的に難しいというのが繁殖のブレーキになっているというのも面白いです。
が、これを大きなピクチャーで見てみると、つまり全ての生きとし生けるものにミラーイメージがあるとしたら、ユニバースにミラーイメージがないのはヘンではないですか。少なくとも確率の問題で考えても、劣性であったとしても、あるはず。でもそこで矛盾が生まれるわけです。
左巻きなユニバースでははたして左巻きは劣性なのか、ということ。普通に考えたら違うだろうなあと思います。多分右巻きのほうが劣性に違いない。
全然違う話ですが、北半球で水がくるくると左に渦を巻いていく(つまり渦を物体に見立てると右巻き)のが南半球で逆になるのはコリオリの力でしょうが、これも含め、結局なんていうか上からみるか下から見るかの違いな気もしますよね。ツル系の植物とか、上から見ると右巻きですけど実際は左へのびていってるわけだし。つまり観測者の位置が問題なワケです。
あと、右巻きは収縮、左巻きは拡散、といって私は解剖生理学で勉強しましたけど、なんと説明すればいいのか、あ、そうだ、右利きの方、自分の右手の手のひらを自分の頭の上に置いてみてください。指が自分の背後に向くように。そして自分の頭をぐりっと右にまわしてみてください。あんまり力いれると首が痛くなるのでゆっくりね。そしてそれを左にぐりっと戻してみてください。自分の首の力は使わないでくださいね。どうですか?戻すの難しくないですか?つまり基本的に右まわしのほうがパワーがあるということなんですね。ペットボトルのキャップの開閉にもそういうのって利用されてるっぽいですね。でもこれも左利きの人はどうなんだろう、って思います。
しかも今ちょっとしらべたら、つむじの左巻きの率は国ごとに違うらしく、
ヨーロッパ人  15〜20%
中国人     30〜35%
韓国人     40%
日本人     48%
だそうですわよ奥様!日本人の半数じゃないですか!日本人は世界平均に比べ、つむじ曲がってるのか。
なんだか、同じ[左巻き」なトピックぽいのにミラーイメージ、コリオリ、などなど全然違う話(そうなんです、全然関係ない理由でそれぞれは左と右に分かれているんです)になってきましたけど、つまり、あたしが「!」と思ったのは、実際「生きづらい世の中だぜ」とヒラヒダリマキマイマイ(っていう種が左巻きのカタツムリにはいるらしいですよ)は思って生きているかもしれないけれど彼らも強く生きていけるし、どこかには彼らのほうが強く生きていけるところがあるのでは?という部分と、あと、結局観点の違いでそれぞれのものごとは同じだったり逆だったりするなぁという部分(実際カタツムリでもなんでも、何を左として何を右とするかの定義は見る人によって違いますからね)と、そのすべてのメタファーの行き先が面白いなぁ、という部分だったりします。
いやぁいろいろ欲張りすぎてわけわかんなくなりましたけどわたしの「!」をシェアできたら嬉しいなと思いました。  

記事転載:
日本で進化したグループのカタツムリ20種には、4種の左巻と16種の右巻が含まれているなど、巻貝には左巻と右巻のものが存在する。巻貝の多くでは雌雄同体であり、生殖は2個体が一度の交尾で互いに精子を交換することでおこなわれる。左巻と右巻の巻貝は交尾器が左右反対の位置にあるため、この雌雄同体の交尾が物理的に難しい。そのため、右巻の集団に突然変異で左巻の個体が出現しても、左巻は交尾相手に恵まれず、繁殖上不利なため、淘汰されることになる。したがって、体の左右を逆転する遺伝子を持つ個体が現われても、それだけでは、左右逆の個体ばかりの集団が新種として進化することはできないと考えられてきた。さらに、これまでの進化生物学では、生物の種類にかかわらず、単一の遺伝子の効果だけで新しい種が進化することは、理論的にありえないことと考えられてきた。
本研究ではこれらの学問的な常識に反し、カタツムリでは、単一の遺伝子が原因で、内臓をふくめ体中の左右がすべて反対の、いわば鏡に映った形をした鏡像の種が、新たに何度も進化、存続したことを、分子系統と行動生態の手法により立証した。
上記の日本で進化したグループの左巻4種はすべて、単一の右巻祖先から進化したことが判明した。この場合、右巻の一祖先種が左巻の種に進化した後、4種が左巻のまま分かれただけなので、左右が反転する進化は、右巻の種から左巻の種へ一回だけ起きたことになる。ところが、その新しくできた左巻の系統からは、右巻の種がくり返し進化したことを発見した。これは、同じ左右反転体(鏡像体)の進化でも、左巻への進化は起こりにくく、右巻への進化は起こりやすいことを示している。
そこで、このカタツムリのグループで右巻と左巻の遺伝様式を調べたところ、右巻が遺伝的に優性であった。この遺伝的に優性であることは、左右巻型の遺伝様式(遅滞遺伝)から判断して、交尾相手となる同じ巻型の個体を集団内に増やす上で有利であると理論的に予測されていた。左巻よりも右巻に進化しやすいという本研究成果は、この理論的予測が正しいことを立証するものである。

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