Munich

20060106_munich.jpgMunich (2005), (A-)
かの有名なミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手団人質殺害テロ事件とその後の暗殺事件の映画化ですね。私は映画が終わってからしばらく胸が苦しくて立てませんでした。真面目な話。だってあのラストシーンの風景はないでしょう。ぎゅうぎゅう締め付けられる感じ。途中くらいから、”This world is in a huge mess right now.” と言ったバンコクでのカシミール人(イスラム系)の友達の言葉を思い出して、その言葉がグルグルと頭の中をまわって苦しくなりました。私がもしバンコクで彼らに出会わなかったら、そして真面目に、常に彼らの中での重大トピックである議論に実際に居合わせて、一緒に考えることをしなかったら、この映画の受け取り方は全く違っていただろうなと思います。いつも思い出す度に私をドキリとさせてしまう、私の友達が言ったセリフは、”Do you know that we actually like Americans? What makes them look bad is, the Jews.” “You want to take my hometown (Kashmir)? Okay, you can take it away. But Jerusalem? No. We’ll fight like hell if you try.”と、本気の顔で言ってました。普通に会話しているはずのこちらがひるむほどのシリアスさです。お金持ちでお気楽な人生を送っているはずの彼ら(実際カシミールの人々はお金持ちではありませんが、彼らはいわゆる「一握り」の人々で、バンコクでゴージャスな生活を送っている人たちでした)をあんなに真剣に怒らせるってどんなことだ、と思っていたんですが、知れば知るほど、理解すればするほど、途方にくれてしまうのはどうしてなんでしょうか。邦題は「ミュンヘン」みたいですね。考えさせられる、という意味で、そしてSyrianaをオススメするのと同じような意味で、良い映画だと思いました。スピルバーグのストーリーテリング、やはり上手です。
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