今日のNY Timesに”Some Extra Heft May Be Helpful, New Study Says“という記事があったので紹介します(リンク先を見るには無料の登録が必要です)。どうやら、疫学的に調べたところ、健康的な体重の人、ちょっと太り気味の人、肥満の人と3種類比べたときに、なんと、ちょっと太り気味の人のほうが寿命が長かったということなのです。
えー、じゃあ太ったほうがいいの?という結論ではありません。なぜかというと、このリサーチでは、単純に「死」だけを数えているからです。障害が出たり、歩けなくなったり、糖尿病や心臓病、ガンなどにかかったりするのは無視です。単純に死んだ年齢などを見ているだけなのです。
心臓に良いものは脳にも良い?
22日付けのニューヨークタイムスの記事ですが、ハワイやストックホルム、ノートルデームなどでの長年の研究結果が出て、どうやら心臓病の予防になることは、物忘れや認知症(痴呆)の予防になるかもしれないということです。アメリカでもDASHダイエットとかいって、まあ基本的には減塩のダイエットなんですが、よーく見るといわゆる「バランスをとる」ダイエットが心臓病予防ダイエットとして有名なんですね。私もDASHはおすすめします。結局「いろんな物をちょっとずつ、控えめの味付けで」というような、「そんなことできれば苦労しないよ」なんて思われてしまいそうなダイエットなんですけどね。
それにしても認知症ってネーミング、まあ他に無いからしょうがないんでしょう。けど、人にお話するときとか、こうしてウェブに書くときに、「ボケ」とか「痴呆」とか、書かないとピンとこないことって多いのに、「認知症」って書かなきゃいけないのってわりと誰に気を使っているのか?という感じがしないでもないですねぇ。まあ決まりなので従うしかないですけど。
ノロウィルスと集団の関係
ノロウィルス、どうやら日本ではホットトピックみたいなので久しぶりに専門的見解なんて書いてみようかと思います。まず、「ノロウィルスなんて初めて聞いた!」と思う人も少なくないんじゃないかと思います。でも、実はこれ、別に新しいウィルスなんかじゃありません。昔からいるウィルスです。ただ、名前が統一されていなくて混乱のもとだったのでした。
顕微鏡で覗くと、小さい丸い形をしたウィルスなので、このような形をしたウィルスのことをSRSVs (Small Round Structured Viruses) と呼びますが、その種類のひとつ、カルシウィルス(Calciviruses)の仲間かな、と思われ、調べ始められました。が、どうやら科は同じだけれども、最終的に全然違う属だ、ということだけが分かったので、統一されないまま、そのウィルスが発見された場所、あるいは集団感染した場所の名前を付け始めたら、収拾がつかなくなってしまったんです。
赤身のお肉を食べ過ぎると関節炎になる?
今日付けのBBC NewsにRed meat link to arthritis riskという記事がありました。イギリスっぽい、というとアレですけれど、なぜかBBCの健康関連記事には「赤身の肉、危険」といった記事が多いような気がします。他にもRed meat risk for endometriosis(赤身の肉で子宮内膜症のリスク)とかRed meat ‘cancer threat’(赤身の肉はガンの恐れ)とかLess meat ‘means a longer life’(肉少なめだと長生きする)とかいうような記事があります。で、今回のは、関節炎へのリスク、ということらしいです。冬になると、関節が痛くなる人も多いんじゃないかと思いますが、私も昔バイクの事故で痛めた膝が痛むことがあります。赤身のお肉もよく食べるし、と思ってゆっくり読んでみました。
抗菌製品のばかばかしさ
あんまり栄養に関係はありませんが、私の専門である食品安全にはちょっとだけかぶっているので興味深く読んだんですが、1ヶ月前くらいのNY TimesにGerms, Germs Everywhere. Are you Worried? Get Over It.という記事がありました。つまり、「バイ菌はどこにでもいるんです。心配ですか?心配するのはやめましょう」という感じでしょうか。ホントだなーと思いました。
というのも、数週間前に読んだ本、Fast Food Nationという数年前のベストセラードキュメンタリー本の内容がばかばかしかったからです。