ニューヨークタイムズの”Really?”というコラム欄は、簡潔で分かりやすくてキャッチーなので(でもときどき大げさ)、私は好きなんですが、新年のそのコラムに”Really? The Claim: Fish is Brain Food”(魚は脳に良い食品だという主張は本当か?)というのがあってフムフムと読んだのでご紹介です。まあ、日本人にとってみたら、そういうふうに聞かされてここ十数年過ごしてるから、「そうそう、そうだと思って生きてきたけれど、本当のところ、どうなの?」という人も多いでしょう。また”The-know-it-all”タイプの人は、「そうだよねーマグロの目のまわりのドコサヘキサエン酸ってやつが脳にいいんだよ」なんて言うかもしれません。そういうふうに聞かされてますよね。でもはたして本当なのか、というレポートです。
まず、ちょっと関係ないんですが私の目をひいたのは最初のところで、THE FACTS Some old bromides – like the one that holds that chocolate causes acne – were just plain wrong.と書いてあるんですが、そうなんですよ。「一部の、常識のように思われている「言い伝え」は単純に間違いであることも多いのです。たとえば、チョコレートはにきびの元になる、などは単純に間違いです」ということ。これって本当にそう思い込んでいる人多いですよね。科学的根拠はまったくないのに。ちょっと話がそれましたが、魚と脳の関係の話。
完全調理された鶏肉や鶏卵からは、鳥インフルエンザになりません。
今月の17日付けで、国連の専門機関であるWHO(世界健康機関)とFAO(食糧農業機関)の共同の研究結果として、現在一番問題になっている鳥インフルエンザの恐ろしいウィルス、H5N1型のものについて、食品安全の観点で見た文書が発表されました。要約は以下のようになっています。
- 一般の調理方法で摂氏70度(華氏160度)まで食品が加熱されると、H5N1ウィルスは壊滅する。ゆえに、適切な方法で調理された鶏肉は安全である。
- もし鶏肉にH5N1ウィルスがついていた場合、冷蔵や冷凍ではウィルスは死滅しない。
- 家庭で、病気の鳥類、あるいは死亡した鳥類を処理したり調理したりするのは非常に危険である。これはただちにやめなければならない。
- 鶏卵については理論上、H5N1ウィルスは卵殻の外側(殻のまわり)にも、内側(卵白や卵黄)にも潜む可能性がある。H5N1ウィルスが確認された地域での生卵や半熟卵の摂取はやめるべきである。基本的に熱処理をしないのであれば、どの地域であっても、生卵、半熟卵(卵黄が流れる状態)を食品に使うべきではない。
- 適切に調理された(摂氏70度まで)鶏肉や鶏卵を食べて人が鳥インフルエンザに感染した例はない。
- 鳥インフルエンザに感染するリスクが最も高いのは、感染した鳥類に直接接触したり、屠殺に関わった場合である。生肉への接触、2次的汚染(クロスコンタミネーション)などのリスクを最小限に押さえるには、屠殺と屠殺後の確実な衛生管理が不可欠である。
確実な特効薬がない状態で(タミフルは微妙だしね)、H5N1ウィルスを使って熱処理実験をするなんてバイオハザードの頂点みたいな実験ですが、それを行った科学者の皆さん尊敬します。で、結果、70度まで熱処理すれば全てウィルスは死滅したということで、鶏肉も鶏卵も確実に70度まで調理すれば万一H5N1ウィルスが入っていても(そんな事絶対ありませんが)、鳥インフルエンザにはかからない、というありがたい結論になっていますね。そろそろみなさん温度計使いませんかー?使うのは思ったよりもずっと楽ですよ。安心な上に、ちょうどおいしいジューシーなチキン焼けます。70度でウィルスやバクテリアは死滅しますが、鶏肉に関しては、美味しさのためには、私はだいたい80度くらいまで焼きますけれどね。
ゼロ・トラランスの落とし穴
非常に無責任なことをこれから書きますが、最近考えていることです。まだ結論はでていないので、「無責任」なわけですが、考えることは大事なことのはずなので、ちょっと書いてみます。
といってもトピックは非常に単純で、BSEに関する日本政府へのアメリカの牛肉輸入をうながすプレッシャーと、それに対する日本国民の反応についてなんですけど。私はアメリカに10年近く住んでいたし、ちょうど自分のキャリアの大事な部分が育つ時期にアメリカにいたので、考え方や表現の仕方だけでなく、さまざまなトピックに関して「アメリカ寄り」の意見になっているのかもしれません。でも、それでも私は日本人だし、日本に不利なことは絶対に起こってほしくないと思っているので、アメリカの回し者というわけでもなんでもないんです。
まず一見関係ない話ですが、数年前、アメリカのFDA(Food and Drug Administration、食品や薬品に関するポリシー、規制などを決める機関)は、食中毒の原因の微生物のひとつ、リステリア菌という菌に関する法律の中にあった、
「食品販売店で、リステリア菌が1細胞でも見つかった場合はその食品を全て廃棄し、その店舗に営業再開許可が出るまで一時的に閉鎖させる」
という規律(通称でリステリアのゼロトラランス法と言われました)を「なくす」ことで合意しました。「え?なんで?」と思う人も多いでしょう。
それでもやっぱり妊婦さんは禁煙しましょう
昨日付けのBBCニュースに、Vitamin ‘cuts smoke harm to baby’という記事が(また)あったので書いておきます。ビタミンCの摂取によって、タバコの胎児への害が少なくなる、という研究結果なんですけれど、原文リンクに行くと、右肩に”See Also”という欄があって、そこにもいくつも似たような記事があるように、これは今までも何度も何度も研究されて同じような結果が出ていることなんですよね。コンビニなんかで「喫煙者はビタミンCを」みたいなキャッチコピーで粒状のサプリメントが売ってあったりすることも多いので、ご存知の人も多いでしょう。
ここで私の喫煙に関する見解をハッキリ書きます。ずばり、「喫煙する」ということは「イグノラントである」ということの証明だと思います。
ドライフルーツ(赤いベリー類)はストレスとエネルギー増強に効くか
「XXXがYYYに効く」とかいうのには、そろそろみんな辟易しても良い頃かと思うんですけど、まだまだ続きますね。LA Timesに”Dried red berries may reduce stress and boost energy levels“という記事があったので紹介します(原文を読むには無料の登録が必要です)。
日本にもサプリメントなどで売られていることもある、シザンドラという中国産のベリーのことなんですけど、名前といい、「中国」という響きといい、もう、「ヒーリングパワー!」という気配マンマンですね。何でもいいから効きそうな気すらしてきます。私の見解はというと、以下の通り。