ブリティッシュ・ユーモアとストーンヘンジ

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わざわざ極寒の2月に行くこともないだろうに、とスコットランドの友人に言われつつもイギリスに週末に一人で旅行に行った時のことを書き留めておきます。写真でわかるようにストーンヘンジにどうしても行きたかったのです。寒そうに真ん中に後ろ姿で立っているのが私。この時は帰る時間だったのですが最後にどうしても心残りで、このストーンヘンジのガイドツアーで知り合ったアメリカ人の女の子Sに撮ってもらいました。本来はストーンヘンジはこんなに近づけないのですが、このツアーは開園時間前に入ることができて、こうして石の間にも入ることができるものです。せっかくここまで行くならそういうツアーが絶対いいと思うので興味がある方はぜひ探してみてください。色々なツアー会社があると思いますが私はEnglish HeritageのサイトからStone Circle Experienceというのを選びました。

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Emma. (2020)

Emma. (2020) Official Trailer

成田からドーハまでのカタール航空内で、まずは6時間ノンストップで爆睡したあと、朝食のお供にしようと思ってこの映画を見ました。実は私が中学生になったばかりの頃、母が異常に分厚い(幅が3センチはあったと思うので本棚で結構目立ってました)中公文庫のエマを買ってくれて、女子中学生にはピタっとくるオースティンの話に本当に夢中になったのをよく覚えています。今までエマは何度か映像化されていると思うのですが、今、とにかく旬の女優さん、アーニャテイラージョイさんがそれはもう光り輝いているのと、映画の中の建物やお部屋、家具の色、テキスタイル、髪型、ボンネット、馬車の内装、そして胸のすぐ下で切り替えがあるタイプの当時のドレススタイルにとにかく瞬きを忘れて、食事も忘れて、終わった時には目と口が乾き切っていました。そして外せないのがミスター・ナイトリーとのあのダンス。いわゆるボールルームダンスをただただ踊っているだけなのに、目線を交わしているだけのあのシーンだけで、お互いに恋愛感情がこれ以上ないくらいに燃え上がるのを他の何よりはっきりと表現できている、というのが衝撃的でした。あのダンスの間、結構長いこと息を止めて観てました。映画全体の私の評価はA-です。フランクチャーチルの役の人が私が中学生の時から育ててきたイメージと全然違った!というどうでもいい理由でマイナスがついています。とはいえ、ミスター・ナイトリーも出てきた瞬間は、ん?という気持ちにならなかったというと嘘になりますが、シニカルで批判的だけれども、いつも紳士で、エマとも対等で温かいミスター・ナイトリーをまるで本人の素のように見せていただけたので、だんだん彼がミスター・ナイトリーにしか見えなくなってきて、それで充分満足なのでした。

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ヨークより

Yorkイギリスはヨークに来ています。一番近い空港はLeeds空港で、Yorkまではそこそこ距離があります。みんなはどうやってヨークまで行くのかなと思って秘書さんに聞いてみると、空港からバスで電車のリーズの駅へ行って、そこから電車でヨークの駅までいって、そこからはタクシーでホテルまで、という感じじゃない?というので大丈夫かしらとかすかに不安に思いながら旅立ったのですが、いざ空港に着いて入国審査などをしていたら(イギリスはシェンゲン加盟国ではないのです)、ふたりの知った顔に出会いました。会議の主催者のひとり、Fと彼の機関の顧問弁護士のGです。どうやってヨークまで行くの?ときいたら車をチャーターするというので、えーお邪魔してもいいですか?とちゃっかり乗り込みました。結局一人22ポンドだったので、電車は17ポンドと聞いていたことを考えたり、いろいろ待ったりする時間や、ドアトゥードアの便利さなどを考えたりすると、結局ベストな行き方でした。持つべき物はやっぱりお友達ですね。
ヨークの街並みですが、写真のように古き良きイングランドそのもので、すごく好きになりました。写真はお城の近くです。左側に見えているのはレストランで到着した日の夜に仕事仲間のみんなで行ってお食事しました。古き良きと書きましたが、その旧市街にもちゃんとモダンなショッピング街もあって、もしもう少し長く滞在できたらもっともっと楽しめたのになと思いました。ものすごくガラガラに空いているビルズもかわいらしくあったりして、数人がせっせとパンケーキを食べているのどかな状況をみて、なんとなく羨ましくなったりしました。
ヨーク出身の親友がいるというアイルランド人の同僚が、ヨークにいったら絶対行かなきゃだめよといっていたチョコレート屋さんというか、ココアハウスというチョコレート専門レストラン・カフェがあったので、お腹はすいていなかったのですがトリュフチョコを買おうと思って入りました。とっても親切でかわいらしいショコラティエの女の子が出て来て、美味しいのはこれよ、といろいろ教えてくれたので珍しいものをいろいろ買いました。スミレ味(バイオレット)のチョコというのがあったので、スミレ味って?と聞いたら、一つ食べてみたら?とあっけなく商品のひとつをサンプルさせてくれて大感激です。スミレ味のチョコすごく美味しかったです。幸せ。
仕事でもなければ滅多に来る事もないであろうヨークの滞在も今日でおしまいです。あと1時間もしないうちに空港に向けて出発しなければなりません。また来れたらいいなぁと後ろ髪引かれまくりですが、週末のうちにローマにしっかり帰ろうと思います。

エディンバーグ(エジンバラ)より

Edinburghスコットランドはエディンバーグに来ています。どうして日本語ではエジンバラって言うんでしょうね。どこの言葉になって伝来したのでしょうか。最高気温は高くても20度前後、最低気温は10度近くになるこの季節はどうやらこの地方では真夏のようです。連日のように雨が降るのも仕方のないことのようですが、昨日と一昨日はさわやかに晴れてくれました。一時的なシャワーは時々あります。写真は初日に撮ったホテルの窓からシリーズです。外観は歴史的な建物ですが、中はかなりモダンな作りになっていてコンテンポラリーとすら言えそうな内装です。部屋も広く朝食もイギリスらしくしっかりめの朝食がたっぷり出てきます。
今回は日本から夫のAさんが国際会議で発表をすることになって、せっかくヨーロッパに来るというので、私も休暇をとって合流することにしたのでした。とはいえ、毎日朝の8時過ぎには会議会場へ行ってしまうAさんに取り残されてしまう私。月曜日は近くのフィルムハウスに行って映画を見て(ソフィアコッポラの「ブリングリング」観ました)、火曜日は朝から公園を散歩して湖でくつろいだ後、シェラトンに入っているワンスパで全身&フェイシャルのトリートメントを受けて(ESPAブランドでした)、夜には会議のレセプション会場となっているエディンバーグ城でグラス片手にいろいろと見てまわりました。エディンバーグ三種の神器もしっかり見ましたよ。水曜日の昨日は中心地にある作家博物館でエディンバーグ出身の作家やイギリスを代表する作家の生い立ちや遺品などを興味深く見て過ごしました。午後に時間ができたAさんと合流してカールトンヒルというエディンバーグ全体を見下ろすことができる丘に登ったりもできました。とっても感動。今日はちょっとショッピングをしたあと、ミシュラン星つきのレストランのランチの予約を入れたので楽しんでくるつもりです。そのあとはまたAさんは会議に戻るので博物館にでも行こうかな、と思っているところ。
はじめてのスコットランドは思った以上に中世っぽさが全面に出ていてちょっと戸惑います。イタリアの田舎町、とくにトスカーナの田舎町も中世そのものといった気配があるのですが、気温がまったく違うせいか、明るいイタリアの中世の雰囲気と比べて、スコットランドのその雰囲気はどちらかというと「裏」といった感じで、なんとも説明しがたいのですが、同じ中世でも陰謀や暗殺、魔女裁判や権力争いのような暗いイメージのほうが先行してしまうのです。ごめんなさいスコットランド。スティーブンソンの子供文学にしても、原文はあまり子供に読ませたくないようなドロドロした部分が多いし、街並みだって夜には今にもお化けが出そうです。ここでゴーストツアーのようなものが観光の目玉になっているのもよくわかります。
今回はエディンバーグに行くことが分かってからすぐ、ここを舞台にしたアランナ・ナイトの推理小説を読んだのですが、それもきっとこの印象に影響を与えていると思います。いきなり崖から突き落とされる主人公の警部補。最後に待つ、強烈に衝撃的なドンデン返し。この作家はこのあと誰かに命を狙われたりしないのか、とハラハラする最後でした。実は意外に近年であることに驚かされるUKの歴史なのです。
さてあと数日、この歴史的な街を楽しんでローマに帰る予定です。ローマに帰ったらもう少し写真などもフリッカーに載せようと思っていますので私の家族のみなさんお楽しみにね。ポストカードも数枚送りました。無事に届きますように。

ウィンブルドン初参戦

もうとっくの昔に男子はロジャーフェデラーが、女子はセレーナウィリアムスが優勝して幕を閉じた2009年のウィンブルドンですが、今年はなんとチケットを手に入れて、母と一緒に行ってきました。しかも、初日の6月22日。
ウィンブルドンは早朝から並んでもセンターコートの当日券が手に入る可能性のある唯一のグランドスラムで、そういった意味でとてもフェアーな伝統のある大会なのですが、その他のチケットは宝くじのようなシステムで当てなければいけないこともあって非常にとるのが難しいとされています。フットボールやサッカーなどと違って会場がそんなに広くないのもチケットをとるのを難しくしますね。
そんな中で、チケットの譲渡というのは厳しくコントロールされており、ダフ屋を完全に退けるためにチケットには名前と身分証の提示が必要で、唯一売買できるチケットというのはウィンブルドンのディベンチャーホルダーという投資家の方が毎年受け取る専用のチケットのみ。これが今まで、高値で取引される「お金でモノをいわせる」チケットとして出回っていたのでした。つまり、ツアーパッケージを扱う会社などがさらに金額をつり上げて売ったりする結果になっていたんですね。
でも去年から、このディベンチャーホルダーの有志が集まって、ちょっとした組織をつくって「仲買」の人を介さないオンラインのシステムをつくったら、ディベンチャーのみなさんにとってはいらないチケットが簡単に高く売れるし、買うほうも簡単に安く買えるし、というすばらしいことになったのでした。それで今回は母も来るということで私はそこからパッケージのチケットを奮発して購入したというわけでした。
それにしても我ながら良い選択だったなーと思います。前の日に泊まっているホテルにディベンチャーの方そのものが夫婦でやってきてくれて直接手渡してくれるし、値段は良心的だし、しかもディベンチャーのパスが一緒についてきて、特権であるセンターコートの専用施設(おハイソなレストランやラウンジやバーなどがいくつもはいっている)に入れるわ自由にくつろげるわ、しかも、みんなが長い列を作って待っている初日にゲートが開いた瞬間、「どうぞ」と招き入れられる強烈なVIP待遇でした。あれはなんだったんでしょうか。しかもセンターコートで行われた試合のすべてを見れたし、それ以外のコートも席さえあれば入りたい放題。
初日に、結局最後に優勝することになった男女二人を見て、私が大ファンなジョコヴィッチ選手も見て(彼からはローマ大会のときにサインまでもらっちゃいました)、大満足でした。ロンドンというだけで楽しいのに美しいウィンブルドンと楽しい穏やかで上品なお祭りな雰囲気を丸一日味わえて、本当に本当に楽しかった。母と二人の忘れられない思い出になりそうです。