皆様、明けましておめでとうございます。
相変わらず日本を満喫しております。旦那様のAさんとふたりで年末は29日から昨日(1月5日)まで私の愛すべき故郷の熊本に行って(帰って)きました。いろいろと楽しいことがあった年末年始でしたが、ハイライトは2009年の暮れにも行った黒川温泉。リピートしまくっている「山みず木」さんにまた泊まってきました。年末年始の予約はほとんど埋まってしまっていた9月の末に思い立って探してみて、1月3日にやっと一部屋空いていたのですかさずその日にしたんですが、写真の通り、お部屋にわりと大きめの岩風呂がついていて大感激(写真はAさん撮影)。10畳の部屋がふたつに8畳の洋室のリビングルームがある広々としたお部屋で、私たち夫婦と私の両親とですっかりのんびりできました。
2週間ほど前から旅館の方にお電話をいただいていて、「チェーンのご用意を」とアドバイスいただいていたので、母が手配してくれてチェーンもしっかり積んで出かけたのですが、特に積もった道もなく、一番雪の深いエリアにある「山みず木」の前もすっかり乾いていたのでチェーンは使うことなく到着しました。とはいっても到着後すぐに細かい雪が降り始めましたが。
「山みず木」は奥黒川にある、クラシックな佇まいの旅館ですが、床暖房完備で部屋の中はあたたかだし、温泉に行くときに履き替える草履はフカフカな上に下駄箱の中でしっかりと暖めてあるし、それぞれのお部屋にはイタリア製のエスプレッソマシンがあるし、ものすごく快適です。しかも今回は到着して数時間後に部屋に電話があり、このまま雪が降り続く場合は駐車場でチェーンをかけておいたほうがいいかもしれないと言われ、車の鍵をフロントに預けておいたら翌日30センチ弱積もった状態での出発の時にはしっかりとチェーンが巻いてあるという、至れり尽くせりのサービスをしていただきました。
今回、お風呂付きのお部屋だったおかげで私たちそれぞれ最低4回は温泉に入ったと思います。到着してすぐお風呂、お食事してお風呂、朝起きてお風呂、出発前にお風呂、という感じ。今までは暮れに行くことの多かった黒川ですが、今回は初めて年始ということで、お食事がお正月仕様となっていてそれも新しい感じで嬉しかった。とにかく阿蘇はお水が美味しいのでそのお水で育てて炊いたお米も、ぴかぴかで美味しくて、滅多にお代わりなんてしない父がご飯をお代わりしていたくらい。その他のお食事もすべて細やかに美しく美味しく作ってあって、いちいち歓声をあげました。
出発前にはしんしんと降りしきる雪の中、母とふたりで女性用露天風呂にも行ってきました。山みず木の女性露天風呂には最初のお風呂から次の露天風呂まで続く「裸の散歩道」というのがあってそれがいつも開放的で素敵で気に入っているのですが、今回はさすがに、母と無言でそこを滑らないように気をつけて歩き、温泉に辿り着いてから「修行のようだったね」と大笑いしました。
出発時にはさらに車全体の雪と氷を圧蒸気ホースで払っていただいたので、かなり積雪があったけれど安心して出かけることができました。運転はもちろんAさんでしたけど。帰りには小国で「林檎の樹」でアップルパイをいただいて、武蔵塚の「武蔵うどん」でお餅入りの美味しい熊本の平べったいおうどんをいただいて帰ってきました。非日常な2日間があまりにも楽しすぎて、家に着いてからすぐみんなで「また行きたいね」「今度いつ行く?」という話を真剣にしました。過去ずっと予約が取りづらかった黒川ですが、最近は近辺の温泉郷でも秘湯ブームで観光客が散り始めた感もあるので、今年も早めに予定を組めばなんとかなるかもしれません。黒川はもはや「メジャー」な温泉郷なので。
今はつくばに帰ってきています。あと数日、たっぷりと日本を楽しんでからローマに帰ろうと思います。
ヴィンテージクリスタルと美肌温泉
日本に一時帰国中です。週末に主人のAさんと那須に行ってきました。那須のご用邸の近くのおそばやさんでおいしい山菜(きのこ)の御膳+2色おそばをいただいたり、紅葉しかかった自然の中を散歩したり、温泉に入ったり。その温泉が、何が入っているのか知りませんが、1日中お肌つるつるになるような美肌温泉でかなり驚きです。行ったのは那須の大丸温泉旅館。かなり標高の高いところにある温泉で、川に沿って温泉が出ています。混浴でもバスタオル付きで入っていいので女性もグリーンのバスタオルを借りてどんどん露天に出て行きます。が、私は最上流にある女性だけの露天で楽しみました。私が入ったときは何故か誰も入っておらず、ひとりじめで超満喫できました。
ところで那須はやっぱりバブルの時の脱サラビジネスのようなイメージのお店がたくさんあって軽井沢や日光のような雰囲気になっていますが、唯一気に入ったのはエミールガレ美術館。ヨーロッパによくあるような、ちょっとした教会や修道院を改築したような作りになっていて、個人所有のコレクションが並べてあります。もともとガラス芸術は大好きなので、ちょっと高めの入館料も払って入ったのですが想像以上に良かったです。「もの言う花瓶」で有名な詩入りのさまざまなガレの花器ですが、今のフランスになかなかないようなアールヌーヴォーな文字で書かれていて素敵。パリのメトロの入り口のMetroの文字っぽいと言えば分かっていただける方もいるのではないかしら。
ところでそこのショップでひとめ惚れしたのが、ヴィンテージスワロフスキー。実はイタリアでは密かにブームで、いろいろなクリスタル屋さんにちょこちょこあって見たりしていたんですが、だいたい2センチくらいのひとつぶが300ユーロから500ユーロ程度。でも日本では安いんですねぇ。需要がないのでしょうか。裏側にミラーマスクがしてある状態の不規則なカットの約100年前のダニエル・スワロフスキーがいくつかころころと転がっていました。このころの大量生産のスワロフスキーは価値がピンキリでひとつぶ100円くらいからあるんですが、私が探し出したものはイタリアでは確実に500ユーロはするもの。それに小さなリングを施してもらってペンダントヘッドにして2つぶ買いました。古いものなので傷もあるんですが、それもまた良しということで、普段使いのアクセサリーにしようと思います。どちらも2センチ程度の大粒です。他にもネックレスなどありましたが、本当に価値はバラバラで、アンティーク物というものは、「掘り出して」いく努力と、「ひとめ惚れ」の力が必要だと思います。自分がハっとしたものはそれ自身に絶対的あるいは相対的な価値があってもなくても、結局自分にとって大事なものになるに違いないのです。
帰りには那須のお土産ナンバー1で天皇陛下の那須御用邸用命という、扇屋さんの「御用饅頭」と「みそきん」という味噌入りきんつばを買ってかえりました。楽しい那須旅行でした。週末だったので高速1000円だったしね!
ついに踏みも見た美しい砂嘴
砂嘴というよりは砂州なのかもしれませんが、大阪の義父母に甘えて先週末、京都の鬼の山(大江山)の先にあるかの有名な天橋立に連れていっていただいてきました。私は今、日本に一時帰国中です。
義父母と夫のAさんはすでに何度か訪れたことのあるこの場所ですが、私にとっては当然初めての土地だし、九州出身の私にとって、本州の日本海側という場所自体、かなり思い切って行こうとしなければ行かない場所だったので、今回こうして大阪から気軽にドライブできる距離で行けることにびっくりしました。もともと大阪の両親はとてもフットワークが軽く、いろいろなところに(アメリカでも)車でどんどん出かけて行くタイプなんですけどね。
今でこそたくさんの家や建物があってロープウェイやリフトなどの設備もあって簡単にちょっと高みに登ってこうして絶景を見下ろすことができるけれど、昔の人は森の中林の中を一歩一歩登りつめてからのこの景色だったのかなぁなんて思って勝手にさらに感動してしまいました。こんなふうに細い自然の松林がぽっかり浮いているなんて当時はかなり浮世離れして見えたことでしょう。
それにしても何がすごいって天橋立というネーミングがすばらしいですね。意味ももちろんそうなんですが、漢字で書いた見た目や発音してみたときの7音の座りの良さなど、これ以外にこの場所を一番良くあらわす言葉があると思えない完璧さです。環境の変化や自然の潮の流れなどの影響でこの場所が少しずつ変化することはあるのかもしれませんが、私が生まれるずっとずっと前も、私が日本やアメリカやタイやイタリアに住んでいる時も、私の世代のずっとずっと後も、天橋立は天橋立としてこうしていつのときも訪れる人の心を癒したり、感動させたり、驚かせたり、敬われたり、と不変の美しさを保つのかなぁとも思います。素敵なところでした。
馬タン
1月4日の仕事始めにはローマに戻ってきている私ですが、多少の時差ボケは感じつつも仕事に復帰しています。ローマは東京よりつくばより熊本より暖かくて快適です。でも雨が降ってますけど。
クリスマス以降は夫のAさんと熊本に行ってきました。義理の両親も大阪から熊本に遊びにきてくれて(なんと車で!)、楽しい黒川温泉での年末となりました。宿は私たちお気に入りの山みず木(2008年3月と2002年12月のエントリー参照)。本当に「いたれりつくせり」とはこのことだなぁと思える、隅々まで行き渡ったサービスとおいしいお料理(真横で作ってくれるのでできたてのおいしいお料理です)にまた再感激しました。お部屋のテラス側にはお年寄りに気を使ってか、低いテーブル+椅子タイプのくつろぎスペースがあって、膝を痛めて以来、正座のできない母は大感激していました。各部屋にあるイタリアンブランドのSaecoのエスプレッソマシンも、冷蔵庫にすでに冷えているおいしい阿蘇のわき水もなにもかもよかった。ちょっとお部屋を出ている間にささっとコーヒーカップやお湯のみが洗ってあったり、浴衣の上に羽織るブランケットがお部屋にもお食事のところにも用意されていたり、本当に細かい部分が嬉しいですね。
写真は夕食の最初に出て来た馬のタン刺。他にも熊本の絶品名産、辛しレンコンなどものってます。ここに乗ってるものすべてが強烈に美味しかったです。四角い器に入っていたのは白子の葛寄せ。デリケートでほんのり甘くて美味しかったです。
黒川にある旅館の予約は、6ヶ月前にならないととれないのですが(今回はAさんが真夏の7月中にとってくれていた)最後にお会計のところで別のお客さんが「どうしても来年の年末も泊まりたいけれど今予約はできないのですか?」と聞いたりしていて、気持ち分かるわー!と思いました。温泉も内湯も露天風呂もすごく素敵なところです。雪の露天風呂もかなり風流です。九州で雪?と思われるかもしれませんが、実は熊本県はかなり寒くて阿蘇周辺は冬はかなり雪がふりますよ。また素敵な年末を過ごせて本当に良かった。
申し遅れましたが、皆様あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくおねがい申し上げます。
クリスマス鮨
18日に専門家会議を終了させてから空港へダッシュし、日本にひとっとびして帰って参りました。東京で姪を必要以上に甘やかしたり、ちょうど東京に来ていた母と会ったり、姉と買い物にいそしんだり、アメリカ留学時代の友人5人で名古屋一泊旅行をしたり、とばたばたとしたあと、今はつくばで主人のAさんとのんびりしたクリスマスをすごしています。
クリスマス当日の今日は午後から用事があったのでつくばセンターへ行き、そのあとふと思いついて、バングラデッシュ人でつくばの某研究機関でお仕事をされているBさんに連絡をしてコーヒーでも一緒に、ということになりました。彼は今年の秋に1ヶ月ほどローマで私の同僚と仕事をしていたのでローマで知り合ったのですが、とにかく日本語がペラペラで感動的です。ただやっぱり英語のほうが快適らしく、私との会話は英語でした。私も食品安全に関しては英語で学んだので専門用語などを日本語で知らないことが多いため、英語のほうが楽。逆に栄養学は日本語で学んだので英語で固有名詞のあるビタミンの名前などがふと出て来なかったりします。
Bさんとかなり長時間話し込んだあと、ふと時計をみたらもうAさんとの待ち合わせの時間でした。今日はAさんが予約してくれた写真の2階のお寿司屋さん、福鮨でディナーということになっていたのでした。ここはAさん宅の最寄り駅、研究学園駅の目の前にあるホテル、ホテルベストランドの中のお寿司屋さんで、美しいカウンター席の中でどんどんおいしいお寿司を握ってくれるとても素敵なところ。ここができてから駅前を通る度に、ずっと行きたいと思っていたので今回こうして行けてすごく嬉しかった。
熱燗、真鯛のかぶら蒸しのお通し、おすすめ12貫のお寿司、かきたまのお椀、と続いたあと、最後にさっぱりした和プリンまで出てすべてが本当に美味しくて感激しました。たっぷりいただくお寿司屋さんのお番茶もなぜかすごく美味しいですよね。こんなに家から近いところにこんなに美味しくて雰囲気も素敵なところがあったなんて。一番の感動のネタは意外にもカニでした。贅沢で新鮮なかに肉がたっぷりのお寿司。そして私はもともとうにの香りが苦手なのですが、見た目があまりに美しいのでつい手に取ってみたところ何の臭みもない美しいうにで、口のなかでとろけて「ほっぺたがおちる」って何て的を射た表現なんだろうと思いました。カウンター席でいただくと、お寿司にお醤油をハケでのせてくれるので、あとは手に取って口に放り込むだけといういたれりつくせりな感じがすごくいいですね。最後に出たあぶりものもすごく美味しかった。幸せなクリスマスになりました。Aさん予約してくれてありがとう(予約必須です、たくさんのお客さんがあきらめて帰って行きました)。そしておごちそうさまでした!