ベルリンの市内には旧東ドイツのデザインの歩行者信号がちょこちょこあって、そのカワイさに釘付けになります。青信号の方もかわいいんですが、私はこの赤信号が好きです。手前が旧東ドイツのもの、奥のが西ドイツ時代から使われていて統合されたもの。近年になって旧東ドイツのデザインが見直されてベルリン市内では手前のものが多くなってきているとか。
デザインそのものもかわいいといえばかわいいのですが、私が興味を持ったのはこの描かれた人自体が歩行者なのかどうなのかという点。元の体制時代を考えるともしかしてこれって交通警察官のような人が笛をピピーっと吹きながら歩行者を止めているイメージなのかしら?と思うんですよね。青の方はサクサク歩いている感じなので歩行者のような気もするんですけど。でももしこの赤信号の人が歩行者だとしたら、状況としては、うっかり青だと思って進もうとして、おっと!止まらなきゃ!と自分の勢いを手を広げて道の端でおっとっとと止めている感じなのかもしれないといろいろと想像したら楽しくなりました。
でもまぁ、交通警察でしょうね。かぶっている帽子がそんな感じです。青信号の歩いている方の帽子はジェントルマン風のものですけど、これは頭頂部が丸い感じ。
さて昨日は、ずっと行きたかったペルガモン博物館に行ってきました。英語のファビュラス(イタリア語だとファビュローソ)という言葉はこのためにあるんじゃないかと思うほど大袈裟に素晴らしかったです。見所は私としては大きくわけて3つ。ペルガモン(ゼウス)の大祭壇(紀元前2世紀)、ミレトゥスの市場門(紀元前2世紀)、そしてなんとすばらしいイシュタール門+行列通り(紀元前6世紀)。別に特に遺跡などに興味がない人でも、ベルリンに来たらこの博物館は訪れておいたほうがよさそうですね。とにかくとてつもなく古いのに、大きくて威圧感があり、それなのに細部の芸術も素晴らしくて感動します。イシュタール門の色彩、当時からものすごく斬新だったことでしょう。日本が縄文から弥生だった時にこんなものが、と思うだけで鳥肌がたちます。
夕方はこれまた行きたかった、ウィーン風のコーヒーハウスのチェーンである、カフェアインシュタインに行ってきました。イタリアなコーヒーとはまたちがうドイツ語圏のコーヒーは、私が思うに日本人の好みに近いと思います。イタリアのはかなりラテンで濃くて強い感じですよね。それもまたいいんですけどね。カフェアインシュタインはケーキも有名らしく、おいしいチーズケーキ(スフレタイプ)をいただいて感激しました。シンプルな焼き菓子の美味しさとチーズの美味しさが合わさったようなとても家庭的な味。ドイツはそういえばパンも独特で美味しいし、食文化は決して悪くないものがありますよね。あと数日ベルリン楽しみます。
春のファルネーゼ庭園(植物園)
先週末から今週末までローマは「文化週間」というのをやっていて、信じられないことに、様々な遺跡や美術館やみどころが無料です。コロッセオも無料。フォロロマーノも無料。一年に1、2回こういうチャンスはあるんですが、イタリアはきちんと「予定」というのをあまりたてないので、数週間前(あるいは数日前)にならないと日時が発表になりません。でも偶然この週にローマにやってきた旅行客はすごくラッキーでとても嬉しいでしょうね。
それで、私は友達でローマっ子のGに連絡して、せっかく天気がいいから木曜日にパラティーノの丘でお弁当持ち寄ってランチしよう、と約束して、お気に入りのパープルのギンガムチェックのブランケットを用意して、パニーノとオレンジジュースと新鮮なイチゴをお弁当箱に詰めて持って行ってきました。通常は入場に13ユーロかかるパラティーノですが、当然無料なので行列もなくすんなり入って目指すべくは一番高いところにあるオルト(ボタニックガーデン)。Gはブルスケッタに真っ赤に熟した自家製トマトとパルミッジャーノ、そしてドライパイナップルを持ってきてくれました。私の大量のイチゴを見て「イチゴとパイナップルっていうのが私の一番好きなジェラートの組み合わせなの!」とGが目を輝かせたのでふたりでイチゴとドライパイナップルを組み合わせて食べたら本当に幸せな気分になるおいしさでした。写真は去年とったものですが、この写真の右側にお庭が広がっています。オレンジの木やレモンの木、ローマ松の木もたくさんあって気持ちの良い日なたと木陰のバランスがすごく良いところ。
このパラティーノの丘の上にあるオルトはOrti Farnese (Farnese botanic gardens)、ファルネーゼ植物園(複数形)というもので、16世紀のもの。ローマはどこでもそうなんですが、とくにこのあたりは紀元前のものに始まっていろいろな時代の建造物にかこまれているので、16世紀というと最近のような気がしますが、かなり歴史のある庭園です。有料のせいか手入れも細かくしてあってこんなふうにピクニックできてしまうのがもったいないほど。
最後に、このオルティ・ファルネーゼについての私の好きな紹介文を、私のローマ生活のオールタイム参考書であるRobert Kahn氏編集の”Rome”からクォートしておきますね。
Farnese Gardens (16th century)
Visit the upper gardens of the Palatine on a spring day – the smell of stone and freshly raked leaves and cool shade are unforgettable. by Gianne Harper (Artist and painter)
ファルネーゼ庭園(16世紀)
春の1日にパラティーノの丘の上にあるこの庭園を訪れてみてください。遺跡の石の香りや新しく芽吹いた木の葉の香り、そして涼しい木陰は忘れられない思い出になるはずです。ジャン・ハーパー(芸術家・画家)
六義園のシダレザクラ
水曜日に、横浜在住のイタリア人の友達のRが東京でランチでも、というので電車に乗って行ってきたんですが、そのときちょうど東京に住む姉のところに母が遊びに来ているというので嬉しい気持ちで会いに行ってきました。この写真は翌日の木曜日の朝に撮ったものですが、姉のマンションの目の前が六義園で、このシダレザクラの大木を見にくる人々で長蛇の列ができる、という話を聞いていたのと、オープンが9時でたまたま9時にここの前を通ったときに割と人が少なかったのとで、母と一緒に300円の入園料を払って行ってきたのです。
今年はちょっと例年より桜が遅めですが、この時期に日本に帰って来て本当に良かった、と思える迫力でした。赤い和傘の立ったお茶屋さんに寄って母とふたりで和菓子にお抹茶をいただいたり、池の周りをくるりと回りながら散策したりして、この大きな美しい庭園を満喫しました。桜はご覧の様に満開です。
旦那様のAさんの住むつくばは東京よりかなり寒くて、彼の職場(研究所)の桜通りも2分咲きといったところ。明日は土曜日なのでAさんもお休みなのでドライブでもしながら、ちょっと茨城県の西の方に行ってみて桜の具合を見てみようかなんて話もしています。
ついに踏みも見た美しい砂嘴
砂嘴というよりは砂州なのかもしれませんが、大阪の義父母に甘えて先週末、京都の鬼の山(大江山)の先にあるかの有名な天橋立に連れていっていただいてきました。私は今、日本に一時帰国中です。
義父母と夫のAさんはすでに何度か訪れたことのあるこの場所ですが、私にとっては当然初めての土地だし、九州出身の私にとって、本州の日本海側という場所自体、かなり思い切って行こうとしなければ行かない場所だったので、今回こうして大阪から気軽にドライブできる距離で行けることにびっくりしました。もともと大阪の両親はとてもフットワークが軽く、いろいろなところに(アメリカでも)車でどんどん出かけて行くタイプなんですけどね。
今でこそたくさんの家や建物があってロープウェイやリフトなどの設備もあって簡単にちょっと高みに登ってこうして絶景を見下ろすことができるけれど、昔の人は森の中林の中を一歩一歩登りつめてからのこの景色だったのかなぁなんて思って勝手にさらに感動してしまいました。こんなふうに細い自然の松林がぽっかり浮いているなんて当時はかなり浮世離れして見えたことでしょう。
それにしても何がすごいって天橋立というネーミングがすばらしいですね。意味ももちろんそうなんですが、漢字で書いた見た目や発音してみたときの7音の座りの良さなど、これ以外にこの場所を一番良くあらわす言葉があると思えない完璧さです。環境の変化や自然の潮の流れなどの影響でこの場所が少しずつ変化することはあるのかもしれませんが、私が生まれるずっとずっと前も、私が日本やアメリカやタイやイタリアに住んでいる時も、私の世代のずっとずっと後も、天橋立は天橋立としてこうしていつのときも訪れる人の心を癒したり、感動させたり、驚かせたり、敬われたり、と不変の美しさを保つのかなぁとも思います。素敵なところでした。
トライアノ市場跡再び、そして食糧サミット
6月になりました。ローマはとても蒸し暑く、毎日恐るべき湿度と戦っています。でも日本の梅雨を考えるとこれは湿度がないと言ってもいいほどなので我慢がまん。写真は「またか!」と呆れられるかもしれませんが、私の好きなトラヤヌス帝の市場遺跡での写真。先月主人のAさんがローマに来ていたときに、行こうよ、と誘って行ってきたのです。クリックするとFlickrのページでほかの写真もたくさん見れます。こういう柱や梁に使われていた大理石の飾りがごろごろと落ちているのです。
こういうのを見て私が「うわー」と思ってしまうのはなぜかというと、つまり、このゴロゴロしている大理石は紀元前のものなわけですが、そんな「古い」ものはローマには掃いて捨てるほどあるのでそこまで驚きではない。何が驚きかというと、つまり、紀元後、たとえば西暦500年にも、これがここにあって、誰かがこの辺で生活していた、という事実があるわけです。そしてヨーロッパの中世の絵画などもイタリアにはたくさん残っているわけですが、こういったゴロゴロ遺跡が転がっている中で普通の人々が洗濯物を干している絵だとか、そういうのがあるわけです。当然20世紀初期の写真にもここで生活する乞食さん(っていっていいのかしら)がこの大理石に腰掛けて休んでいたりする写真が残っている。それが私の目を遠いものにしてしまうというわけです。すごいなぁ。
さて、最近日本のニュースなどでも、福田首相が行くか行かないかということでちょっとだけ話題になっている食糧サミット、私の働くFAOがホストしているわけですが、最初は私はサミット開催の3日間のビルディングパスをいただくことになっていたのに、なんと世界中からの参加登録者が3000人を超え、もともと3000人くらいが働いているこのFAO本部のキャパシティーが足りないということで急遽、テレワーキング(自宅で仕事)しなさいという指令が出ました。ちょっとミーハー気分でちらっと覗けないかなと思っていたのに残念です(当たり前)。
でも今回のことでFAOってなあに?と言っていた友達が、「やっとわかったよ!」とメールをくれたり、日本のニュースに我がディレクタージェネラルのジャック・デューフ氏が出ていたりしてちょっと内輪ウケでした。でも突然の3日間の自宅勤務、ちょっと嬉しかったりして。
追記:福田首相のスピーチをやっとみつけたのでどうぞ。
http://link.rai.it/s/20080603_fao00_b.asx&pub_id=243814&high=1
イタリア首相のベルスコーニが議長となり会議を進めていますが、このファイルの1/3あたりから福田首相が登場します。日本語だったことに非常に驚きましたが、ベルスコーニだってぐいぐいイタリア語でやっているのでOKでしょう。