カゼルタのヴェルサイユ

CasertaAさんと一緒に週末に、日帰りでイタリア南部にあるカゼルタという街の宮殿&庭園を見に行ってきました。ユネスコの世界遺産です。ブルボン家のナポリ王によって1752年に着工され1780年に完成したそうです。フランスのヴェルサイユのようなものを造りたいということだったらしく、いろいろな意味で似ていましたが、規模としては多分カゼルタの宮殿のほうがすごそうです。でもあまりにゴージャスにゴージャスを重ねると、寒々しい大広間がうっかり出来てしまうんだなと思ってしまいました。多分天井が高すぎて、そのゴージャスさが見えないんです。個別の部屋は1400部屋あるそうです。2階の20部屋くらいが公開されているので歩いて回りましたが、もしここに泊まれるとしても、落ち着かなさすぎるね、と庶民な私たちは頷きあいました。
庭園もかなりヴェルサイユを意識してあったんですが広さがすごくて、あとで計算してみたら、合計6キロほど歩いたことに気づきました。歩くのはあまり得意でない私が!と思ってびっくりしましたが、こういうところをのんびり歩くのは嫌いじゃないです。ナポリに近いので暖かいしポカポカ陽気でコートを脱いでゆったりできました。カフェテリアも割と充実していて、ナポリ名物のスフォリアテッラやババがあって、しっかり歩いたあとだったのでゆったりと楽しめました。コーヒーもさすがナポリの水源、おいしいお水のおかげでひと味違うコーヒーをいただけました。この宮殿、映画のロケ地としても良く使われているようで、スターウォーズやミッションインポッシブルなんかが撮影されたそうですよ。
Caserta帰りにはAさんの強い希望で、そのカゼルタ宮殿に水をひくだけのために造られたという水道橋を見に行きました。写真の下の方に写っているのは私のローランギャロス号ですが、比較するとお分かりいただけるように、とにかく巨大な水道橋です。ヴァンヴィテッリの水道橋、あるいはカロリーノの水道橋という名前で知られていて、1762年の完成だそうです。どうやらカゼルタ宮殿の世界遺産登録は、この水道橋も込み(さらにサンレウチョの邸宅群も込み)での登録みたいですね。いつも思うんですが、イタリアって本当に世界遺産多いですね。すごい建築物も紀元前から結構最近までいろいろとあるし、イタリア人って本気をだすととことんすごいですね。本気をなかなか出さないっていうところもすごいです。
この水道橋を見た私たちは嬉しくて写真をとりまくり、宮殿や庭園よりもずっと大興奮しました。庭園の噴水はすごいものだったので、あれだけの水を引くにはこの水道橋が必要だろうなと思わされ、その権力を現代でも見せつけられた気分です。ローマからA1を南下するだけで到着するので、実は日帰りに最高の場所かもしれません。カゼルタ。また暖かい時期に行ってみたいです。

肥薩線冒険旅行:熊本 – 人吉 – 吉松 – 鹿児島中央 – 熊本

肥薩線冒険旅行クリスマスの一瞬休暇を終えて、今またバンコクに戻って来ています。今はローマへのフライトをぼんやり待っているところ。フットマッサージ、シャワー、仮眠、母と姉と姪との電話、などをしても搭乗時間まであと3時間もあります。
話はちょっと前後してしまいますが、写真は肥薩線の観光列車、「はやとの風」です。これはどういうことかというと、旦那様のAさんが熊本に来て週末を私と私の両親と過ごしてくれたんですが、ちょっぴり鉄がかっているAさんとしてはこの機会に熊本から行ける秘境駅に行かないと!と思ったらしく、事前に綿密なプランを練ってくれて肥薩線のデイトリップに行ったのでした。クリスマスイブだったので人も少なく快適でした。たくさん写真を撮ったのでちょこちょこ写真にリンクしてみましたので興味がある方は是非クリックしてみみてくださいね。
まずは私の実家の最寄り駅、武蔵塚駅から熊本駅への通学電車。私も高校生のときよく乗りました。熊本の人は電車のことをまだ「汽車」と言うような気がしますが、私が高校生の時はその「汽車」という名前がぴったりな電車でしたが今は普通の電車になってしまっていました。となりに立っていたうちの姉の母校の制服を着た女子高生が水前寺駅までの15分程度、3次関数のテキストブックを食い入るように読んでいたのが印象的でした。センター試験近いもんね。
そして熊本駅で予約していた指定席のチケットを全部うけとり、いざ「特急くまがわ」へ。特急くまがわは真っ赤な車体が素敵でふかふかの座席が快適な熊本人吉間を結ぶ電車です。ウッチャンナンチャンのウッチャン(最近見かけませんが)の出身地の人吉に向かいます。人吉は八代から続く球磨川下りで有名な温泉郷でもあります。ものすごく「人里離れた」感のある山奥もたくさんあって熊本県内でもこんなに雰囲気が違うんだ、といつも驚くところです。のどかな良いところです。
肥薩線冒険旅行人吉温泉駅に着くと乗り換えたのは「いさぶろう」というこれまた観光列車。同じ電車の上り線が「しんぺい」とよばれるこの電車はレトロな内装がとても趣のある、県内外からの観光客に大人気の電車です。2両編成でそれぞれの車両の中央部に展望用の大きな窓とカウンターがついていて、電車の車窓からの美しい田園風景を堪能できます。クリスマスイブはお天気にも恵まれたので本当に景色がきれいで感動しました。冬なので空気が澄んでいるのも良いですね。暖かいと思われている九州も、実は冬は毎朝零下を下回る寒さなのですが(特に山奥はもっと寒い)、観光列車なので暖房完備で快適でした。
そして吉松駅に到着して乗り換えたのが一番上の写真の「はやとの風」。これまた観光列車です。吉松から鹿児島中央まで桜島にどんどん近づきながら走るこの電車、頼もしくカッコ良かったです。途中「嘉例川駅」という美しい100年の歴史のある駅舎のある駅に到着するのですが、この駅の駅弁は九州の駅弁1位になったこともある、素朴で薄味なのに何とも言えない美味しさがたっぷりの「かれい川弁当」。数量限定なので予約がおすすめです。そして土日だけ売っているという地鶏を使った「たまごたっぷりプリン」も車内で売っています。これはたまごのやさしい味がして、あまり甘くなくて良かったですよ。とにかくお弁当がオススメです。本気で強烈においしい。「ガネ」とよばれるさつまいものかき揚げも、嘉例川駅の駅舎内で、ひとつ50円で売っていました。
鹿児島中央についてからは私たちは一息入れたあと、おみやげを買って今度は九州新幹線にのっていま4〜5時間かけてきた熊本-鹿児島中央間をたったの50分で帰ったのでした。

土曜日のブランチと展覧会

Chiostro del Bramante今日は同じ職場に勤めている数少ない日本人のうちのひとり、Mちゃんと一緒にブランチに行ってきました。場所は私がここでも何度も大好きだと言い続けている、キオストロ・デル・ブラマンテ(ブラマンテの回廊)。まずは観光客で一杯のナヴォーナ広場で待ち合わせして、てくてくと歩いてキオストロまで行って、ちょうど「Gli Orientalisti. Incanti e scoperte nella pittura dell’800 italiano」と銘打って、1800年代のイタリア人画家が描いたオリエント(今で言うアラブです)のエキシビジョンをやっていたのでまずはチケットを買って、それから花より団子でカフェテリアへ直行。おしゃれなビストロカフェでランチにしたのでした。私は温かいさやいんげんのスープとパン。Mちゃんはオムレツをいただいていました。フルッティ・ディ・ボスコがのったチーズケーキがあったので二人ともそれをデザートに、紅茶まで。このチーズケーキ甘くなくて絶品でした。最高。
お腹が満足したのでさっそく下に降りて行って、約2時間ほどかけて展覧会を見てまわりました。「よっぽどアラブにとりつかれていたんだね」というような作品や「これはどうなの?」と素人目にはうつってしまう作品もありましたが、中にはハっとするほど生き生きとアラブの女性の魅力を描いた作品もあっていろいろと考えさせられました。ひとつ、お嬢様風の女の子が素敵なドレスを着たまま、カウチに足を投げ出すように座って夢中になってなにか縫い物をしている横で、その召使いのような同じ年齢くらいの女の子がしっかりと座ってやっぱり刺繍のようなものをやっている、という絵があって、それが今にも動き出しそうで、一人の女の子が糸を引っ張って、私は終わったわ、あなたは?というような動きをする錯覚に陥りました。私は美術のことはよくわかりませんが、こういう風な自分の想像が勝手に広がる絵に出会うと本当に嬉しくなります。もしかしたら夢に出てくるかもしれない。
あと、風景画の空がすべてどれを見ても青くないので、そうだよね、と思いました。アラブの空ってヘイジーです。砂のせいでしょうね。
見終わって外に出ると、写真のようにもう真っ暗になっていました。私の大好きな回廊部分もライトアップされていて本当に美しいです。フレスコ画も残っているし、床の部分も幾何学デザインが秀逸だし、本当に素敵なところです。
このあとパンテオンの近くに用事があるというMちゃんと一緒にパンテオンまで行って、ふと思い出して私は近くのサンテウスタキオのバールに行ってコーヒー豆と「コーヒーのキス」という名前のついたコーヒー豆のお菓子を買ってきました。豆はうちの旦那様へのお土産で、お菓子はいつも家に置いておくと友達が来たときに喜ばれるのでゲスト用置き菓子として。それからルンゴテベレに停めておいた車でブーンと帰ってきました。楽しい土曜日でした。明日は何をしようかな。

軽井沢のオーベルジュ

軽井沢7月28日にAさんが青森と岩手に出張に行ってしまったので、退屈した私は母に頼み込んで熊本から来てもらって(母は飛行機は当日シルバー割引といったサービスでものすごく安く旅行ができます)、一緒に軽井沢まで行ってきました。写真は朝食に出たトマトのサラダ。うすく切ってあって芸術的でした。私たちはオーベルジュに泊まったので、朝食だけでなく夕食もすっかり堪能。コースを4時間近くかけて楽しんだので、観光という観光はとくにせずに過ごしました。
私は軽井沢はまだ2回目で初心者ですが、やっぱりすずしくていいですね。観光客向けな人工的なところも、それなりに素敵で、ハルニレテラスなんてかなりお気に入りです。到着した当日はそのハルニレテラスから散歩道を歩いてトンボの湯で星野温泉も楽しめました。Aさんへのお土産に丸山コーヒーのコーヒー豆、ハルニレテラスブレンドを買いました。このブレンドは軽めのブレンドでかなり好みです。翌日は雲場池を散策したり、ドライブで白糸の滝を観に行ったりしてのんびりできました。緑がいっぱいで木立を歩く気分はやっぱり「癒されている」という気分になるので不思議ですね。
泊まったのはオーベルジュ・ド・プリマヴェーラさん。なにもかもプロフェッショナルだし、女性はみなさんかわいらしくて素敵でした。また行きたいという気分になりましたよ。

ファルネーゼ宮殿

ローマの歴史的中心地区にある、ファルネーゼ広場のファルネーゼ宮殿は、写真の国旗で分かるようにイタリア政府がフランス政府にフランス大使館として永遠に貸している建物です。EUの国旗とトリコロールの間にある窓は、大使の執務室の窓なんですが、明るいときは光が反射して分かりづらいけれど、暗くなるとライトアップの効果もあって、中の美しい天井と、両側の壁のフレスコが垣間見えて、強烈にゴージャスです。そんな執務室で毎日働く大使ってやっぱり大使なだけありますよね。このファルネーゼ宮殿の改築の設計にはかのミケランジェロも加わったらしいですよ。そんな建物が職場だなんて、なんだか遠い目になってしまいます。
実はこのファルネーゼ広場、私は実はすごくお気に入りで、広場に2つある噴水がカラカラ浴場のバスタブを使っているのが圧巻で、それを眺めながら広場でのんびりするのがとても好きなんですね。とりたててこれということもない普通のバールが広場の入り口(カンポ・デ・フィオーリ広場側)にあるんですが、そこの外のテーブルに座ってあたたかいチョコラータを飲みながら、このファルネーゼ宮殿の控えめなライトアップを眺める冬のひとときなんて最高です。あと、もうひとつ、このファルネーゼ宮殿に向かって左側の方にあるバールがちょっとポッシュですが素敵なのでローマに来る方でファルネーゼ広場やカンポ・デ・フィオーリに立ち寄る方は是非訪れてみてくださいね。カンポネスキ・ワインバーという名前だと思います(Camponeschi Wine Bar)。夏は完全に閉まってますので「どのバール?」ということになってしまうかもしれませんが。
そういえばたしか私の両親がローマに遊びに来たときも、ファルネーゼ広場のすぐちかくにあるカンポ・デ・フィオーリ広場でおいしいピザを買って、市場でネクタリンを買って、このファルネーゼ宮殿の周りのベンチで美味しく食べました。カンポ・デ・フィオーリで市場があっているときはその広場は混雑しているのでこうしてすぐ隣のファルネーゼ広場に来ると人ごみから少し離れてゆっくりできるのでおすすめです。
さて、ローマに在住のこの5年の間、私はずっと「ファルネーゼ宮殿に一度でいいから入ってみたいな」と密かに思い続けていたんですが、先日ついに、それがかなったんです。写真の垂れ幕で分かるように、この時期、宮殿の一部を一般公開しているんですね。イタリア人の友達のMが、友達のフランス政府で働いているEに頼んで公開ツアーの予約をとってくれて、さらにあと3人プラスEのボーイフレンドと一緒に合計7人で木曜日に行って来たわけです。
いやぁ、本当に良かった!残念ながらさすがに執務室は見ることができませんでしたが、他のすばらしい彫刻や絵画、そしてファルネーゼ家の「音楽室」であったと言われるカラチギャラリーの、まさに息をのむゴージャスフレスコを見ることができて大感激。このあと、イタリア人&フランス人&日本人の私たちが集まってアペリティーボしたんですが、そのときみんなで話したのが、フランスがいかに反英語主義かということ。この展覧会、オーディオガイドこそ英語版があったものの、全ての展示はフランス語かイタリア語のみでした。さすがフランス政府。4月21日まで公開しているみたいなのでローマにいらっしゃる方は是非どうぞ。