オリバーストーンとローマ映画祭

IMG_3684

10月の半ばに、日本人のお友達のMちゃんが誘ってくれてローマ映画祭で上映されたJFK Revisited: Through the Looking Glass(2021・ドキュメンタリー)を観に行ってきました。映画祭の期間はローマ市内の色々な映画館やシアターで招待された映画が上映されていたんですが、私が住むGarbatellaという地域にもローマ第3大学のシアター(テアトロパラディウム)があり、そこでこの映画は上映されることになっていました。映画祭のチケットはかなりお安く、Mちゃんがサクッとオンラインで5ユーロでとってくれていたし(とてもフットワークが軽い素敵なお友達です)、テアトロパラディウムは私のアパートメントから徒歩10分だし、気楽な気持ちでその日を待っていたんですね。そしたらMちゃんがテキストで「オリバーストーン監督が来るらしいよ」と言うので驚いて調べてみたら、本当に彼が、ローマとはいえこんな田舎の住宅地の地域にきて舞台挨拶をしてくださると知り、行ってみたら本当に彼がすぐ目の前で熱くJFK暗殺の陰謀論について語ってくれるというシュールな状況だったのでした。

Continue reading “オリバーストーンとローマ映画祭”

Emma. (2020)

Emma. (2020) Official Trailer

成田からドーハまでのカタール航空内で、まずは6時間ノンストップで爆睡したあと、朝食のお供にしようと思ってこの映画を見ました。実は私が中学生になったばかりの頃、母が異常に分厚い(幅が3センチはあったと思うので本棚で結構目立ってました)中公文庫のエマを買ってくれて、女子中学生にはピタっとくるオースティンの話に本当に夢中になったのをよく覚えています。今までエマは何度か映像化されていると思うのですが、今、とにかく旬の女優さん、アーニャテイラージョイさんがそれはもう光り輝いているのと、映画の中の建物やお部屋、家具の色、テキスタイル、髪型、ボンネット、馬車の内装、そして胸のすぐ下で切り替えがあるタイプの当時のドレススタイルにとにかく瞬きを忘れて、食事も忘れて、終わった時には目と口が乾き切っていました。そして外せないのがミスター・ナイトリーとのあのダンス。いわゆるボールルームダンスをただただ踊っているだけなのに、目線を交わしているだけのあのシーンだけで、お互いに恋愛感情がこれ以上ないくらいに燃え上がるのを他の何よりはっきりと表現できている、というのが衝撃的でした。あのダンスの間、結構長いこと息を止めて観てました。映画全体の私の評価はA-です。フランクチャーチルの役の人が私が中学生の時から育ててきたイメージと全然違った!というどうでもいい理由でマイナスがついています。とはいえ、ミスター・ナイトリーも出てきた瞬間は、ん?という気持ちにならなかったというと嘘になりますが、シニカルで批判的だけれども、いつも紳士で、エマとも対等で温かいミスター・ナイトリーをまるで本人の素のように見せていただけたので、だんだん彼がミスター・ナイトリーにしか見えなくなってきて、それで充分満足なのでした。

Continue reading “Emma. (2020)”

Nomadland (2020)

Nomadland (2020) Official Trailer

イースターサンデーだった昨日、感染対策をしっかりしてから、夫のAさんとマティネーの時間に観にいきました。シネマコンプレックスの小さめのシアターに観客は10人いなかったと思うのですが、特大シネマスクリーンでこの映画を観ることができて本当によかったと思いました。私が1996年から2005年まで過ごしたワシントン州東部の州道26号線や州間高速(フリーウェイ)のI-90号線をドライブ中の、異常な風の強さ、雪やみぞれの惨めな匂い、夏の日照りがフロントグラス越しに顔に当たってちょっと痛い感覚、小石がはねて車の窓に当たる音、車と速度を合わせるかのように道の両側を謎にひたすら転がり続けるいくつものタンブルウィードの姿、何時間も変わらない車窓の景色、そういう超リアルな刺激が、大画面には全く描かれていないにも関わらず、私の脳から突然ぐわっと五感に伝わってきて息が詰まりそうになりました。以下ネタバレになりますが感想を書いておきますね。この映画の私の評価はAです。

Continue reading “Nomadland (2020)”

The Banker (2020)

The Banker (2020) Trailer

Apple TV+の映画です。最初から書いておきますが評価はB-です。そんなに悪くないけれど別に良くもない、と言ったところでしょうか。本当のお話をベースにしているからこそ、やっぱりバレットの息子さんのスキャンダルがこの映画を台無しにしたことに変わりはないでしょう。残念すぎます。映画の最大のポイントである黒人だからこその誇りを、本当に、あっという間に台無しにしたとしか言いようがありません。こんな奴が訳知り顔の「さもありなん」という人を増やしてしまう、と心の底から情けない気持ちと怒りの気持ちを持ってしまいました。この映画は南北戦争以前の人種問題を扱っていますが、女性のことにもスポットライトが当たります。そのあたりが、映画的にはフォーカスを曖昧にさせてしまっているなとは思いつつも、奥さんの力あってこそ、と思わせてくれるところが唯一良かったと思えるので、それはそれでいいかなとも思いました。

Continue reading “The Banker (2020)”

Silver Linings Playbook (2013)

Silver Linings Playbook (2013) Trailer

久しぶりに映画について書いておこうと思います。毎週たくさんの映画を見る私ですが、書き留めることをしなくなってしまってすっかり記録がなく、自分自身が残念に思っているのでこうして今度からはなるべく、観たら書くようにしていけたらと思います。この映画は今日観たものですが、実は2回目で、以前飛行機の中で観たことがあります。私は自分はティーンのハートを持っているんじゃないかと思うほど、ジェニファーローレンスさんが大好きで、彼女が出ている映画を飛行機で発見すると、必ず観てしまいます。顔も含め、ハリウッドの美女たちからさえも抜きん出る衝撃的な魅力、ハスキーな声、もしかしたら役の通りの性格かもしれないと錯覚させてくれる毎回全然違うキャラクター(ハッ、これがいわゆる演技力というやつですね)など、本当に好きです。170センチを超える高身長で細いのにグラマラスな体も良いですね。この映画で確かアカデミー賞を受賞されたはずです。授賞式で階段でコケたのも有名ですね。あとでインタビューで「転んだ時何を思いましたか?」と聞かれて「何が私の心に浮かんだか、ですか?悪い単語です。Fで始まるアレです。」と答えていて話題になってました。この映画はそんな彼女の天才的な才能と魅力がたっぷり真剣に詰まった良いお話です。

Continue reading “Silver Linings Playbook (2013)”