5年ぶりの雪と裏磐梯

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バンコク駐在の間(4年以上)、雪を見ることが一度もなく、急にどうしても雪が見たくなってしまって、年末に日本に帰国する予定を立てるときに、Aさんに近場で確実に雪を見るとしたらどこ?と聞いたら、豪雪地域で立ち往生の可能性をなるべく防ぐとしたら、日本海側を避けたほうがいいので裏磐梯なんていいんじゃない?というので予約をして、12月末に2泊3日で行ってきました。

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裏磐梯の雪はパウダースノーで、本当にこれ以上降ったらちょっと困る、というような雪の神様の大量のサービスでしたが、Aさんと私が好きなスカンジナビアンな家具に囲まれたホテルには温泉もあって、硫黄系の身体が本当に芯から癒されるお湯で毎日本当にゆったり過ごせました。ホテルの方も皆さん地元の方が多くて色々と話しかけてくださったり、ニコニコ何でも対応してくださったりで感動でした。

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上の写真は今回お借りしたスノーシューです。アメリカに住んでいた時に、私が住んでいたワシントン州のプルマン市は当時は冬は一番暖かい日中でも華氏30度(マイナス1、2度)くらいで、ダイアモンドダストがキラキラと見える中通学することも珍しくありませんでした。そんな極寒の何もない田舎町で、セントラルヒーティングで快適なドームやアパートから出かけることもなく、ひたすらコンピュータに向かって論文を読んでいた私を見るに見かねて、私よりも40歳近く年上の同じ大学の教授であるJとその友人のL(その人も教授)のおじさまコンビがある日誘ってくれたのがスノーシューイングだったんです。

初めての日に近くのアイダホの山の中を、古いウッドの大きなテニスラケットのように見えるスノーシュー(多分70年代のもの)で3時間ほど歩いたんですが、その時、まるで水中にいるような、世の中の音から少し離れたところで自分の上がった呼吸の音だけが大きく聞こえるような、突然自分だけと向き合っているような不思議な感覚があって、それがとっても気に入ったんですね。スノーシューは体力は意外にも結構必要だし、カーディオ系の運動になりうるんですが、スキーやスノーボードと違ってゆっくりしたペースで、いつでも立ち止まって空や木を見たり、鳥を観察したり、時にはシカに遭遇したり(2回ありました)できるのも良いし、おじさまコンビの後ろをしっかりついていってお二人の科学的なお話を聞くともなく聞いたりできるのも当時の私にとっては貴重なことでした。途中の何もない開けたところで徐にJが「ここらがいいな」と持ってきたシンプルなハムとチーズのサンドイッチと温かいコーヒーをサーモス(当時の魔法瓶)から出してくれて、それを三人で雪の上で向かい合って座っていただくときの幸福感といったら、大袈裟なんですが、これ以上の幸福ってあるかなと思うくらい素敵に感じました。

その冬のスノーシューイングはその1度きりだったんですが、あまりに良い思い出になったので、翌年から冬になると必ず私はJに「今度はいつスノーシューイングに連れて行ってくれるの?」と聞くようになりました。すると毎回、Jがこれ以上嬉しい顔はできない、という耳から耳までの笑顔で「おお、私の日本の娘よ、あなたの願いなら行くしかないよ!」と答えてくれて、この三人でワシントン州のひたすら広い小さな丘にある林の中や、見たことのない湖のある山の中にスノーシューで何度も出かけていました。一番長い時は5時間ほど歩いたこともあります。

2022年に見るスノーシューは機能もしっかりしていて、何より軽いし、水分の多い雪の上の引きずり歩きにも、ふわふわの雪の上のフローティングにもピッタリの動きをするし、脱ぎ履きも簡単で感動しますが、時々あの古い巨大テニスラケットのようなスノーシューが懐かしくなることもあります。

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今回は五色沼湖沼群と呼ばれる辺りを黙々と歩いたんですが、この青沼が雪に映えてとても綺麗でした。JやLと楽しんだあの頃からもう20年近くも経ってしまいましたが、こうして母国の日本で夫のAさんと一緒にその時のことを懐かしく思い出しながらもまた新しい経験をして美しい景色を見て楽しめることをとても幸せだと感じました。

Niigata

Aさんとは2016年にも新潟でスノーシューイングを楽しんだことがあって、その時はホテルの方が雪のテーブルを作ってくださって、素敵なピクニックをすることができたな、と今突然思い出が蘇ってきました。これからもどこかで、静かに、できれば温泉を楽しみつつ、こうしてスノーシューイングを楽しめたらと思います。雪は降りすぎると災害につながってしまうのでお気楽に「雪が好き!」と言うわけにもいきませんが、九州出身の雪を見慣れていない私にとって、雪はやっぱり憧れで、子供のようなワクワクした気持ちを呼び起こされてしまいます。今年は私の誕生日にも雪の神様が雪を関東に降らせてくれて嬉しかったです。もう春も近いですが、また今度の冬の雪を楽しみにしたいと思います。

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