The Banker (2020)

The Banker (2020) Trailer

Apple TV+の映画です。最初から書いておきますが評価はB-です。そんなに悪くないけれど別に良くもない、と言ったところでしょうか。本当のお話をベースにしているからこそ、やっぱりバレットの息子さんのスキャンダルがこの映画を台無しにしたことに変わりはないでしょう。残念すぎます。映画の最大のポイントである黒人だからこその誇りを、本当に、あっという間に台無しにしたとしか言いようがありません。こんな奴が訳知り顔の「さもありなん」という人を増やしてしまう、と心の底から情けない気持ちと怒りの気持ちを持ってしまいました。この映画は南北戦争以前の人種問題を扱っていますが、女性のことにもスポットライトが当たります。そのあたりが、映画的にはフォーカスを曖昧にさせてしまっているなとは思いつつも、奥さんの力あってこそ、と思わせてくれるところが唯一良かったと思えるので、それはそれでいいかなとも思いました。

さて映画は、靴磨きをしながらメモを取って、と賢い子演出で始まるんですが、まあ普通に「ないない」と思ってしまいますよね。あるのかもしれないですけれど。そして独学で数学があんなにできるようになるんでしょうか。なるんでしょうか(2回目)。変なところで決断力があったり、人を見る目があるようでなさそうだったり、色々と説得力を全く感じないんですけどどうしましょう。奥さんは素敵なんですがあの男性のどこが良いと思ったのか。それとも当時の女性はそういう価値観ではなかったのか。まあそうなんでしょうね。なんだか悔しいですけど。最初に親戚のところにお世話になる時の「こんなところでは終わらないぜ」「ビッグになるんだ」という熱さも、なんだか、ちょっと失礼な感じもするし(叔父さんも失礼だったけれど)色々微妙でした。

そしてアバウトアボーイのあの男の子、エックスメンにも出ているのですっかり売れっ子ですが、やっぱりすごくイケメンになりましたよね。目が青いって強いですね。そしてニア・ロングさん、美人です。アジア人みたいな目も魅力的です。この人が一人で俳優としての魅力を振りまいていました。映画ってキラっとする人が一人いるかいないかで全然印象が違いますよね。

そして最後に本当の意味で「立ち上がる」ということを当然考えさせられるわけです。キング牧師は結局暗殺されましたが世界を変えたわけですよね。世の中の世界を変える人はそういう危険に身を晒し、そして運命を受け入れて、それでも言わなければいけないこと、戦わなければいけないことを忘れずに突き進んでいくわけですよね。それが自分や家族に何をもたらさずとも、悲しみや苦しみだけしかもたらさないように見えても、それでも信念を持ってやるべきことをやる、言うべきことを言う、そんなシンプルで高尚だけれども自分に残酷な生き方ができますか、と問いかけられるわけです。ですから観た後は少しモジモジとした自分に恥ずかしい気持ちになるけれど、でも自分は自分、と言い聞かせて、私は自分を救うのか世界を救うのかと言う2択から逃げる羽目になるわけです。もう少し魅力ある主人公なら(デンゼルの若かりし頃とか)本当によかったのに、私も世界を救う派に入るのに、とちょっと言い訳がましく思いました。

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