先週はコペンハーゲンに出張でした。デンマーク工科大学 (DTU) とはここ10年ほど一緒に仕事をしているのでコペンハーゲンも何度も行きましたが、アジア太平洋地域オフィスに来てからは行くこともないと思っていたんですね。そうしたら先日、地域の一部である韓国に本部のある国際ワクチン研究所の疫学者の皆さんとお仕事することになり、そのパートナーが偶然にもDTUの、しかも私と一緒に仕事をしていた皆さんであるという事がわかって、それでプロジェクトのキックオフをコペンハーゲンですることになったのでした。世界は狭いですね。ちなみに上の写真は、会議が終わって急いでスーパーに行って買い込んだお土産の数々です。イヤマのビール、マチルダのココア、ポレーグショコレウというバタートーストにのせる為の薄い板チョコ、ヤコブセンのハニー2種、黒パンスナック、リコリッシュ(デンマーク語だとリコリスと言ってる気がする)も入っているグミ。他にはイルセヤコブセンのつるりとしたレインコート、ルーシーコースの可愛いエッグホルダー、ピーターバイヤーのチョコ、ステルトンの真っ赤な保温保冷のバキュームジャグ(卓上ピッチャー)、ホルムガードのタンブラーなども大量買いしました。デンマークは罪な国です。見るもの全て欲しくなります。
ところで本題ですが、前にアメリカのことを書いた時にもちょっと触れたんですが、こうした先進国出張の時に、先進国としての魅力を考えた時、国が国そのものとして成熟しているなぁ、と心から感心することが時々あるんですね。アメリカも、都市によってはもちろん成熟していると思うことが多いのですが、それよりさらに、そして日本や中国や韓国やイタリアにはないような成熟を、デンマークから感じることが本当によくあります。前にも書いたように、なるべく無駄のない会議を、参加者と主催者の両方が一緒に目指す姿勢というのは本当に気分が良いです。アジアやアフリカの体裁が大事な会議をたくさんやった後だと特にそのあっさりさが魅力的に感じます。
ホテルでもチェックインの時に「部屋の清掃はどうする?」と聞かれます。清掃して欲しい時は電話する、というオプションでもいいし、毎日掃除しといて、というのでもオッケー。私は隔日でお願いしました。シーツは交換しなくて良しにして、タオルはタブに入れた時は交換して、とお願いしたらニッコリオッケーでした。ちなみにどのオプションを選んでも同じ料金です。お水も水道水は十分美味しいということだったので毎日持って歩いている水筒でお水をのみました。コップもリクエストすれば出してくれはすると思います。ホテルでは自転車の貸し出しがあって、冬でなければ私も会議への通勤に使っていたかも。
お部屋をクリーニングしてくれる女性も完璧な英語を使って、いつも明るくお話ししてくれるし、2日目の夜に私の枕元にあった本を私が読了していることに気付いたらしく「ロビーのライブラリーにあった英語の本を持ってきておきました」とメモ書きのついた2冊の本があって感激しました。それがなんというか「ホテルマンはこうあるべき」とか「気づきを」とかそういった形式的な親切ではなくて、単に気づいたからやっといたよというカジュアルさが心地いいんですね。実際隔日しか掃除しないのは本当でしたから、完璧を求めるというよりは、大人の対応、という言葉が一番しっくりきます。会議中の特筆すべきことといえばやっぱりコーヒーブレイク。
さあブレイクしよう、と会議室の外に出ると、上のようなスナックが並ぶわけです。フルーツにナッツ。それが普通に美味しくてちょうど良いサイズ。ビュッフェスタイルになっていなくて清潔だし、本当に好みです。多分ヘルシーさも考えられています。非常に好みなスタイルです。コーヒーも5杯分くらいが入ったステンレスの保温ポットがいくつか会議室に配られて、コーヒーブレイクの時間問わずいつでも好きなだけいただくことができます。コップも陶器のものが配られてそれを1日中自分カップとして使います。水はデンマーク産のおしゃれピッチャーに入った水道水だし。今回のノーウェイジャン航空で飛んだのですが、飛行機の中で「この、さっき水を飲んだグラスに入れて」というと喜んで使ってくれます。
会議の懇親会であるディナーも、DTUのあるリングビーという町で人気の、あのノーマのクラウスマイヤーが作ったレストラン、Meyers Spisehusというお店で行われたんですが、お洒落で予約必須ではあるんですが、そこに流れる素敵なカジュアル感が本当に心地いいんです。肩肘張らない感じ。ウェイターさんたちも本当に自然体で、別に常にニコニコというわけではないんですが、会話し始めると本当にニッコニコでなんでも教えてくれるし素敵です。今回車に乗せてきてもらっていたのでワインはやめてレモネードにしたんですが、ちょっと変わったレモネードでバジルやジンジャーが入っていたりするのを、まるでワインのソムリエさんみたいに説明してくれるのもキュートでした。
こういう、頑張らないのにちゃんと大人で、環境や人の好みもしっかり考えていて、個人の尊重もある、というような自然の成熟社会になるには何が必要なんでしょうね。日本もなかなか成熟していますが、やっぱり電車の中吊りとか、サブカルチャー全開になってきたメインカルチャーとか、そういうのを見ているとちょっと違うな、とも時々思います。でも日本は日本らしくデンマークとは違う方向で大人になってきているとも言えるかなと最近思えてきました。どういう大人になりたいか、という質問の答え次第で国家の成熟方向も違ってくるのかもしれませんね。デンマーク本当に全然違うベクトルで攻めてくるので本気で感心します。たくさんの大国に近い小さな国であることも当然関係あるでしょう。ロイヤルファミリーがいるというのも何か素敵なイメージを作りますね。また観光で訪れてゆっくり観察してみたい国ではあります。