シンガポールに思うこと

今週はシンガポールに出張中です。シンガポール、と聞くと私を含めた一般の方が何を思い浮かべるかというと、マレー半島の端っこにある小さな常夏の国で、マーライオンがベイでガーッと水を吐いているイメージと共に、とても清潔で発展していて、というようなことがメインかと思います。去年のハリウッド映画でCrazy Rich Asiansが成功したので強烈なお金持ちがいることも知れ渡っているかも知れません。あとは英語が公用語の一つであること、金融業、豪華ホテルなどの観光産業に力を入れていること、テクノロジー産業に強いこと、などももしかしたら皆さんご存知のことでしょう。

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シンガポールに行ったことがあるよ、という方だと、中華系が70%を占めていて、英語と北京語を混ぜながら一般の人は生活していること、ホーカーセンターと言われるB級グルメなストリートフード系のフードコートが充実していること、マレーシアの影響も強くてマスリム人口もそこそこいることなどもご存知かも知れません。そこで、私がいつも目にするのがいわゆる「ポリティカルコレクトネス」を重視するあまりよく分からなくなってしまっている異様な文化の配分。ポリティカルコレクトネスってつまり政治的妥当性だとか政治的正義などと訳されると思うんですが、「こうあるべき」「こうしちゃだめ」という妥当性や正義などが入り混じった結果、よく分からない文化になってしまっているんですね。

たとえば会議で昼食が出るとします。国際会議なので様々な人がいるんですが、メニューは大体チキンと海鮮ととベジタリアン。シンガポールって中華系がほとんどなのでみんな大体何でも食べるんです。国際会議なのでヒンドゥー系は牛肉は無理って言うし、マスリム系は豚肉はダメ、と言うし色々ありはするんですが400人中そういう人は10人弱。シンガポールからの参加者でマスリムは10人程度。つまり400人中の20人弱のために牛肉と豚肉は出ないし鶏肉もハラル。スープもお出汁も全部チキン!中華系のシンガポールのお料理といえば豚肉の美味しいお料理であるラクサやバクテイなどが有名なのに。

つまりシンガポールがマレーシアにポリティカルコレクトな気を遣った結果なんですね。公の行事となるとアルコールを出すのがいきなり難しくなるそうです。豚肉は絶対出せない。食べたい方は個人で行ってきてください、という形になります。日本にだってマスリムはいますし、そういう方のためにベジタリアンやハラルを用意するのもだんだん普通になってきましたが、じゃあだからと言って突然、公の場所で出す和食が鶏肉とシーフードだけになったら私悲しいです。大多数が普通に何でも食べることができる人である場合は特にそう思うんです。まあでもシンガポールチキンライスが美味しいからいいですけどね。

ポリティカルコレクトネストいえば、ニューヨークの地下鉄がGLBTに気を使って”Ladies and Gentlemen,”の呼びかけを”Hello Passengers,”に変更したというニュースがしばらく前にありましたが、そういう部分も何だかなぁと思いますよね。まあ自分が含まれてないって思ってしまう気持ちは確かに嫌かも知れないので、こういう細かいようでいて大きな問題も含めてたくさんの人々や状況に触れるって本当に大事なことだなぁと思います。もう少し考えてみます。

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