ドチュラ峠

Untitled
Full album is available at Bhutan July 2018 | Flickr

この写真は2018年の7月にブータンのドチュラ峠で撮影したものです。バンコクに赴任してからというものご縁があってブータンの美しい景色に頻繁に触れることができています。この峠は時期と時間によって完全に霧がかかっていたり、このようにふんわりと白っぽくなっていたり、すっきりと晴れ渡っていたりと、訪れるたびに違う表情を見せてくれます。峠なので晴れているとヒマラヤ山脈が240度くらい見渡せるので素晴らしい写真ポイントでもあります。

写真を撮っている場所の背後にはお寺があって、早朝にはお坊さんたちの御経を唱える声が聞こえてきます。タイに住んでいても思うことですが、ブータンでもお経は日本で聞く時よりもずっとずっと音楽的でなぜか心にダイレクトに響いてきます。日本のお経もところどころメロディがあるような気もしますが、ブータンではまるでその比ではありません。そして今度は反対側から聞こえてくる鳥の声が、何というか鳩やカラス、スズメなどのいわゆるペスト系の鳥(失礼)の「鳴き声」ではなく、高山にいる小鳥の「唄声」なのです。そんなバックグラウンドの様々な音と相まって、爽やかな冷たい風が吹き抜けるこの峠にこれまた写真のような幻想的な風景が広がるので、感動やさんの私としてはそれこそ安易にガツンと心をやられてしまうのです。

2019年はもうすでに2回行ってきたのですが、夏過ぎにもう一度行くことになっています。ブータンに行けば行くほど、そしてその国のことを知れば知るほど素晴らしいことと同じくらい様々な問題点も見えてくるのですが、いつ行っても共通しているのが、ブータンから帰る度に私が必ずかかるうっすらとしたホームシック的なもの。あれはブータンが思い起こさせる日本を思い出した私自身のホームシックなのか、信じられないほど優しい人々に突然大量に触れてしまって心がびっくりしたホームシックなのか。結論は出ないのですが、ブータンに行って帰ってくると、魂を半ば乱暴に洗濯されて突然パッと放り出された感覚があるので、心がびっくりしているんだろうなと思います。そしてこうしてブータンの写真を見ているとなぜか落ち着いた気持ちになってくるので不思議です。

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