久しぶりのアメリカで国の成熟度について考える

アメリカはアトランタに来ています。アトランタにはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)があるので割と私の仕事との関連もあり、今回はそこの皆様と一緒に会議です。2月にデンマークの会議に行った時もそうですが、先進国で行われる会議でよく思うのが、国としての成熟度がロジスティックスに顕著に表れるということ。ロジっていうと日本語だと「物流」のような翻訳をされてしまうのでしょうか?ここでの意味は「設営」というような意味です。

うまく説明できるか分かりませんが、例えばここでの会議の開始時間は8:00で、皆さん7:30くらいには集まってワイワイしています。初日も会議開催者からのご挨拶的なものは極力最小限。今回だとたったの5分くらいでした。参加者もそれぞれの自己紹介はサックリ短く、フレンドリーに行います。大きなウォーターサーバーが会議室の入り口に置いてあって、グラスがざーっと重ねてあるので参加者は随時自分で水を入れて飲む仕組み。ミントキャンディがボウルに入っているのもウォーターサーバーの横に置いてあって、眠気のある方はどうぞ、といった感じ。コーヒーブレイクには大きなコーヒーサーバーが二つ、レギュラーとディキャフと置かれ、カップが並びます。何かつまみたい人のために、ザクザク切った野菜が並べられてディップのミニボウルが置いてあるのでそれをとって食べたい人は食べる。プリント類はほぼなく、Google DocやDropboxなどのシェアフォルダーのアドレスがメールで回ってくるだけ。いろいろとてもシンプルで、大人、というイメージです。

私が参加する会議はほとんどが途上国ですが、移行国でも会議開始は9:00か9:30です。日本やイタリア、韓国や中国、シンガポールなどの「成熟しきっていない」先進国もちょっと遅めですね。オープニングの部が必ずあって、重要人物とみられる人が部下に用意させた挨拶文を読んだり熱く語ったりと30分から1時間は本題に入るまで時間が必要になります。それぞれの席にはミネラルウォーターのボトルが並び、ペンとノートが美しく並びます。必要書類は参加登録の時にもらえる会議バッグにお土産と一緒にしっかりと入っています。コーヒーブレイクには何種類ものお菓子やセイボリースナックが並びちょっとした食事にすらなり得ます。参加者の自己紹介はひたすら長く、「時間がないので短めでお願いします」と言っておくことが非常に大事だったりします。

こうやってたまに先進国での会議に参加して、ロジは成熟するとだんミニマムになるんだ、とハッとする自分に気付いて思うのはつまり、成熟(大人になる)ということは、目的が見える、しかもサクッと見える、ということなのではないかということです。しかもみんなが平均的にそこに到達するので比較的合理的に無駄を省くことができる。何が何よりどう大事なのかという優先順位がみんなにとって分かりやすく、どの方法で何をするべきかということもどちらかというと画一化されやすくなる。こう書くと大人になるって実は強烈につまらないことのような感じすらしますね。でも私はその合理的な感じが好きです。社交は会議内ではなく会議外でするのです。自己紹介もブレイク中にゆっくり個人ベースでやる。会議に必要なものは全て用意してあるけど、個人それぞれに与える必要もない、ということですね。日本はもともと禅の精神もあるので割とミニマリズムが基本ですが、最近は成熟してきたのかこういう意味でも先進国らしくなってきたなと思います。水分取りたい人は水筒持参で、というような。

まあこういうのは結局一面でしかないですけどね。先進国だからといってその国のリーダーが成熟しているとは限らないし、途上国にも成熟した大人の考え方はたくさんあるし。文化的な面もあると思うので一概には言えないのはよくわかっているのですが、会議って無駄が多いといつも不満に思っていたこともあって、合理的な会議設営に感心した、というのが本当のところです。

もうすぐ搭乗時刻です。長いフライトですけどしっかり眠っていこうと思います!

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