おもちゃ箱みたいな中世の街

ローテンブルク週末いかがお過ごしでしょうか。私は土曜日は久しぶりにリトアニア人の友達Dと、ナポリ出身の友達Vと3人で午後1時頃集合して夜9時解散という楽しい午後をすごし、日曜日はゆったりしています。あれだけやらないようにしようと固く心に決めていたのに午後は4時間ほど仕事してしまいました。でも明日が憂鬱にならないために必要、と自分に言い聞かせています。
さて今日の写真はドイツのローテンブルクの街です。4月の最後の週に、フランクフルト空港に到着した両親と一緒に観光バスに乗って3時間半、ロマンチック街道を走って行ってきました。私は実は19歳のときに行ったことがある街なんですが、何も変わっていなくて感動です。壁に囲まれた旧市街は毎日がお祭りみたいでアメリカのオクトーバーフェストを思い出しました。お天気はいいし、泊まったホテルがすごく良かったし、お食事も何もかもすごく美味しかったし、父はドイツビールを飲めたし、全員美味しいソーセージを食べたし、本当に言うことなしでした。ところで上の写真、どこから撮ったと思いますか?
ローテンブルク実はこの市庁舎の展望台からです。展望台に登るには2ユーロ、と言われたので、なんだ安い、登っちゃおうよ、と軽い気持ちで両親に声をかけて登ったんですが、いやぁ、途中で少なくとも8回は後悔しましたがなんとなく引き返せない状況で、人間の性質って面白いのと同時にちょっと怖いなーと思いました。本能のどこかで確実なる強烈な危険を感じていても、人間ってまわりの状況で「なんとなく」流されるものなんですね。あの根拠のない「まあ大丈夫でしょう」という気持ちはなんなんでしょうか。もしこれを読んでいる方でローテンブルクに行く予定のある方、市庁舎の展望台に登るかどうかの決断は真剣に行ってください。2ユーロの価値とかそういうものではなく、命をかける価値があるかどうか、といわれると、ちょっと語尾を濁したくなります。多分、登らなくて大丈夫です。一番上の写真の景色が見えるだけです。登り始めるなら、途中で怖くなったら引き返そう、と心に決めてからのほうがおすすめです。
というのも、この展望台、ものすごく適当に建ててあるんです。写真でわかるように、ほとんどの建物の正面にはちょっとしたハリボテの壁があるんですね。頂上から危険なく雪が落ちやすいようにギザギザになっています。そこに、「あっそうだ、ここに鐘をつけよう」と誰かがふと思ったとしか思えないような適当な鐘楼なのです。しかも同じ時に登れるのは20名のみ。上の展望台にはぎりぎり8名まで、というところでしょうか。私たちがいったときはイタリアはミラノから来た観光客の家族がすでに登っていてキャーキャー怖がっていました。
もともとが適当なつくりなので、登るときの階段のつくりも、これ以上適当につくれないというような適当な階段です。階段で人とすれ違うことはできないのでところどころにつくってある「たまり場」で上から降りてくる人を待つ必要があります。階段はそれぞれはしごのように急で、全部で多分20セットくらいあったと思うんですが、それぞれが見事なほどに方向が違い、材質も違い、手すりもあったりなかったり。はしごの裏はちゃんと裏打ちされているのもあればないものも。極めつけは一番最後のはしごで、一番分かりやすいたとえは、マンホールの下から登る感覚、といえばいいんじゃないでしょうか。鐘楼の展望台にでるには穴から垂直に顔を出すのです。懸垂です。
今思えば67歳の両親が(年齢バラしてごめんね)、よくもまああの懸垂をやってのけたなぁと思って反省しきりです。そして行きはよいよいとはよく言ったもので、3人でいざ降りるときに「この穴にジャンプするわけにもいかず、どうやっておりるのだろう」としばし物思いにふけったほどです。結局は一番若いはずの私が一番最初に降りて荷物を上から落としてもらって、いざとなったら受け止める係になることで事なきを得ました。
ローテンブルクこの写真は翌日に、旧市街の壁にあるレーダー門の上から、あの展望台がどれだけ高かったのかを見たものですが、3人でこれを見て絶句しました。こんな高さだったのに、20セットほどあったあの階段(というよりはしご)のどこかで「引き返そう」という気持ちに3人のうち誰もなれなかったのは何だったんでしょうか。ここまできたんだから、という意地でしょうか?そして20人制限しているくせに、最後のマンホールはしごのところにいた料金所(?)のおじさんがどうみてもビールの飲み過ぎで150〜250キロくらいありそうだったので、もっと痩せている人に任せればあと3〜5人くらいいけるようになるんじゃないか、と母と真剣に相談しました。いつか事故になって悲しい気持ちになることがないように、ローテンブルクの市長さん、あの鐘楼の安全対策是非何か行ってくださいな。
それにしても4月だというのに異常に暑くて私たちドイツで思いもかけず日焼けしました。寒いイメージがあったので私たちが行ったこのとき、すごく快適に過ごせて本当に良かった。イタリア人にとってドイツはなかなか「バカンス」の地にはなり得ないんですが、最近ベルリンなんかも面白くなって来ているし、ドイツデザインのお洋服なんかもラテン系のものとは全然違うので私は好きです。今度はフランケンワインをしっかり楽しみに行きたいな。

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