先日、ブータンの国王陛下と妃殿下が日本にいらしてかなり素敵だったと多方面から聞いて、ブータンでのすばらしい経験をまた思い出している日々なのですが、足腰が弱く、すぐにヘタレる私にとって、かなりの苦しい山登りであったパロ(という地域、町にはこの国唯一の空港があります)のタクツァンというお寺に行った貴重な経験をここで紹介していなかったなと思って、写真を公開することにしました。
断崖絶壁にあるこのお寺、お坊さんたちがちゃんとたくさん住んでいるのでいわゆるモナストリー(僧院?)ですね。下にギャラリーを作ってみました。山がメインに写っている写真は遠すぎて分かりづらいかもしれませんが、中央右側にうっすら見える白いものがこのタクツァン僧院なのです。遠くから見ると、「絶対あんなところに行けるわけがない」というようなところにあります。トレッキングの途中、自分自身に「下を見るな、振り返るな、足のガクガクをとめろ」と何度も何度も唱えなければならない恐ろしい階段の連続の中、思い切って下の風景を撮影した命がけショット(大げさ)もあります。
私をここに案内してくれたブータン政府の高官のみなさんは、ちゃんとあのブータンの正装でハイソックスに膝小僧を出しながらも軽々と階段を上り下りしていて、本当に感心しました。私はあまりの上り下りに心臓は破裂しそうになるわ(運動不足)、周りは上を見ても横を見ても下を見ても異常に怖くて足がガクガクするわで、貴重だったとはいえ最終的には、もうこんな経験は十分でございます、と言いたくなってしまいました。でも、やっぱりこれは行ったからこそ言えることなのでしょう。
この僧院の別名はタイガーズネスト(虎の巣)。偉いお坊さんを乗せてチベットから飛んできた虎がここに巣を作り、そのお坊さんが僧院を建てたという伝説が残っています。ブータンの仏教は日本のそれとかなり違っていてチベットの密教の流れ(ダライラマの流れ)だそうです。若いお坊さんたちみなさん痩せていて大変そうなのに、すごく優しい笑顔で、それだけで癒されました。
そういえば、ブータンはあの辛いチリをお野菜として食べる国でかつ、ヤクがたくさんいるのでチーズもたくさん食べる国でもあります。ですから初めてブータンに行った10日間で私はすっかりブータンの国の食べ物のファンになってしまって、ご飯にチリのピクルス(すっごく辛いけど美味しくてクセになります、カッテージチーズも入っています)をガッツリのせてたべたり、チリのチーズ煮込みという強烈においしすぎる(でもヒーヒー言います)おかずをこんもりと一皿いただいたりできるようになりました。ブータン、足腰も、気力も、そして私の舌までもを強くしてくれた国といえるでしょう。このタクツァンに行ったのはブータン2度目の時でしたが、その時にはチリのおかずを心待ちにするほどでした。ブータン、美しく、険しく、優しく、恐ろしく魅力的な国です。