青すぎる空の下のセビリア

Seville前回のエントリーに書いた通り、週末はセビリアに遊びに行ってきました。前回行ったバルセロナや、首都のマドリッドとは全く違う文化を持つアンダルシアの都市です。ドンファン、カルメン、セビリアの理髪師、などいろいろなフィクションの舞台にもなっているのもすごく納得できる、独特なところでした。
まず、暑い。かなりドライな気候ですが、ヨーロッパの先進都市の中では1位2位を争う暑さだそうです。ちなみに写真は日曜日に行った、1929年のイベリアアメリカエクスポの会場にある噴水。空は青いし噴水には虹がかかっているしキレイでしたが、どこもかしこもジリジリと太陽が照りつけてきて、実際びっくりです。でも私が行った金曜日にはなぜかさわやかな秋風のようなものが吹いていてセビリアに住んでいる人々がびっくりしていました。土日は普通に暑くなりましたが。面白いのが、あまりにも西にある都市なので、暑さのピークが夕方5時なんです。12時くらいまでは朝のさわやかさがあって、昼を過ぎて急にどんどん暑くなり、5時6時に信じられない暑さになる、という感じ。でも木陰に入ると一気に涼しくなります。また、地面からの反射熱がすごいので、いかに日陰を町にたくさんつくるかということが大事みたいで、街角のビルとビルの間には布が張られていました。それが異常なほど涼しさを運んでくれるのもまた驚きです。
到着して友達のCのボーイフレンドのC(ややこしいので女の子の方をCl、男の子のほうをCrと書きますが、元素記号みたいになってきますね)が約束していたところまで迎えにきてくれて、そこは街のほぼ中心地だったんですが、そこから徒歩30秒くらいでClのアパートに到着しました。こんなショッピングストリートに住むとこなんてあるの?というようなところに突然ドアが出現し、そこの2階部分と3階部分がお家。3階はメインベッドルーム、バスルームと広いテラスになっていて、私には2階のサロンにある強烈に居心地の良いソファベッドが用意されていました。家につくとCrが冷たいお水を出してくれて、ベッドをつくってくれて、到着したばかりなのに家にいるようなくつろぎ気分に。でもすぐにClが仕事が終わって歩いて帰ってくるというので、中間地点で会おうということになって、テクテク街を案内してもらいながらキョロキョロして感激しながら歩いていると、Clが遠くからやってきているのが見えました。1年ちょっとぶりに会うのでつい興奮してきゃあああああといって抱き合い、すぐ横のバルへ。腰掛けるとすぐに注文を聞きにきてくれたバルマン君に、Clが、「私はクララ」といいます。何そのカワイイ名前のドリンクは!と思って聞くと、「セルベッサ・クララ」の略で、ビールの炭酸割りのことなんですね(セルベッサが「ビール」のスペイン語)。他にもレモネード割りの「クララ・コン・リモン」もあるということで、試してみたんですが、ただでさえ薄い地元のビールのCruzCampoが甘いレモネードでたっぷり薄まっていて、普通に強烈に美味しい。暑い都市ならではの飲み物ですね。私は実はアルコールがあまり得意ではなく、飲むのは好きだと思うんですが、1口飲んだだけで、酒豪のように全身真っ赤になるタイプなので、普段はあまり飲まないようにしているんですが、暑いのと、知らないところに来た興奮と、Clに久しぶりに会った嬉しさでたくさん飲んでしまいました。でも全然酔わないし、すごく美味しいのです。セビリアのCruzCampoすごくさわやかで美味しいです。
それから街をうろうろして、私は母にお土産をひとつ見つけて、それから姪のMにもカワイイものを見つけ、そのあと主人のAさんにもいい感じのものを見つけて1時間弱であっというまにショッピングを終えたので「なんて効率的!」とClとCrに大絶賛をいただきました。あとは自分のために観光に時間を使うのです。
夕方になってちょっと小腹が空いた私たちは、タパスバーに入ることにしたんですが、またクララをのみながらClが「スペインにはおいしいイベリコ豚のハムがあってね」とかなり小さな声で私に言ってくるのでなんだろうと思ったら、今思い出してもちょっと笑っちゃうんですが、イタリア人としてよその国のハムをほめるなんて、自分の国の、イタリアのハムを自慢に思っている愛国者に申し訳ない気分になってしまうみたいです。しかもClはセビリアに引っ越す前はパルマハムの誇りだけでなりたっているようなパルマに住んでいたのでその気分はなおさらでしょう。パルマにはパルミッジャーノもありますが。そしてそのタパスで出てきた小さなカナッペに淡いピンクのトマトのペースト(サルモレッホ、Salmorejo)が塗られ、薄いイベリコハム(Jamon Iberico、ハモンという地方のものが一番有名)が惜しみなく載せられています。そして一口食べてみて、絶句。激ウマです。イタリアの皆さんごめんなさい、私、イタリアのハムも好きですがこのハムのほうがあからさまに美味しいです。写真とってなくてごめんなさい。
そして夜は9時半に集合してClとCrの友人のドイツ人のTとその彼女のPと一緒に車に乗って、セビリアの隣町、「2人の姉妹」という名前の町に住んでいるスペイン人夫婦のLとPのところに行きました。Lがお誕生日ということでみんなでお祝いをすることになっていて、Clが、私が到着すると同時に「あなたにノーというオプションはないからね、あなたの席もお料理もなにもかも用意されているんだからね」と言われていたので遠慮なく参加しましたがすごく楽しかった。スペイン語とイタリア語はすごく似てるんですが、同じ言葉で全く違う意味の単語がわりとあるみたいで、その話で盛り上がりました。ちょっと下ネタで申し訳ないんですが、Clがスペインに初めて住むためにサンティアゴに行ったClは、今でこそスペイン語はネイティブ並みに流暢にできますが、その時はやっぱりたどたどしかったらしく、市場にいって、グリーンピースを買おうとして、ふと自分の家でお父さんが家庭菜園でつくっていた豆を見つけて、「ああ、この種類の豆、私の(家の)菜園にあるよ」とスペイン語で言おうとして、「菜園」や「畑」はイタリア語だとOrto(オルト)というので、同じだろうと思って使ったらしいんですね。そしたらあとで調べたらスペイン語ではオルトはお尻の穴だったそうです。「ああ、私のお尻の穴にこの種類の豆があるよ」と市場の人に言ってしまったんですね。かなり笑えます。
イタリアより食事の時間が遅いからね、と言われていたけれど、本当に遅くて、夜の10時半に始まったディナーはスペインならではのトルティージャ(具沢山のふわっふわのオムレツ)や、Lの旦那様のPが腕によりをかけてつくったスペイン北部の家庭料理(ミートパイ)までいただいて、みんなで飲んで、議論して(みんな英語ができるのでだいたい英語でしゃべってくれましたが、イタリア語、スペイン語も飛び交っていてすごいことになっていました)夜中の2時までわいわいと時間を忘れて楽しみました。帰ってからはどうやってベッドに入ったか覚えてないくらいヘトヘトになってました。
こんな感じのペースでセビリアを満喫したので週末はとにかく遊び通したという充実感でいっぱいです。ローマへ帰る飛行機が1時間半ほど遅れてしまったのでチャンピーノに駐車しておいた車で帰って(家までは20分くらいです)、家に到着してみて初めて、自分がいかに自分の年齢のことを忘れて若いときみたいに遊んでいたか思い知らされるほど全身がガクガクしてました。でも留守の間に来てくれていたGがベッドをふんわりにしておいてくれたので倒れるように眠ったら翌朝にはスッキリしましたけど。また小出しにしながらセビリアの思い出を書いてみたいと思います。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *