ピンク色の本ができた

i0110e00.jpg仕事の話で恐縮ですが、2006年にこの仕事を始めてからすぐにとりかかったプロジェクトのひとつに、遺伝子組み換え食品の安全評価に関するものがあったのですが、去年の暮れにCD-ROM付きの本をようやく出すことができたのでご報告です。フランス語版スペイン語版も出すことができました。
一度に3カ国語のとても専門的な本を出すというのは実は非常に大きな野望であったと後で気づきましたが、たくさんの良い経験(失敗も含めて)をしたので書き留めておきたくなりました。まず最初にカナダの専門家の方にアウトラインを渡して最初の文章を書いていただき、一単語一単語リビューした後、それをFAO内部のいろいろな専門家にリビューしていただき、テクニカルエディターに文章をきちんとしてもらい、今度は途上国の政府の関連部署で働く人々を集めてツールのパイロットテストをしていただき、その結果を集めてかなり大幅に書き直しをして、またエディターにまわして、内部コメントをもらって、今度は世界各国のピアリビューワーにまわして、さらに大幅に書き直して、エディターにまわして、翻訳にまわして、翻訳で問題がでたところを(英語が特殊すぎて翻訳できない部分が多々あった)をかみくだいた英語に変更して、さらに翻訳し、最終的に出来上がったものをDTPデザイナーに渡して、デザインの段階で間違いを指摘されたものを変更して、出来上がったPDFをもとに他の教育ツールと一緒にCD-ROMを作って、CD-ROMを3カ国語対応にして、CD-ROMのラベルもデザインしてもらって、スパイラルリングでまとめる形にして、プリントする紙質を選んで、お金を工面して、と、かなり気が遠くなるプロセスでした。
でもデザイナーと一緒にデザインエレメントや色を選んだりできたのはかなり楽しかったです。見ていただけるとわかりますが、麦の穂のデザイン(FAOのロゴにもなっています)がDNAのαヘリックスになっていっているデザインで、みなさんに褒められるのでかなり得意げです。私がデザインしたわけじゃないのに。そして色が、ウェブ上だとかなりパープルですが、実際の本は白いスパイラルリングのせいか、かなりショッキングピンクに近い色になっていて、みんなに「あのピンクの本」と呼ばれています。ディレクターには「20年くらいFAOにいるけれどピンクの本をつくったのは君が初めてだと思うよ」とにっこりされてしまいました。てへ。ピンクの本かわいいじゃん。
とはいえかなり内容はまじめで、途上国にとっては遺伝子組み換え食品への興味はかなりのものがあるので(いろいろな意味で)毎日どこからかリクエストをいただいているので作ってよかったなぁと心の底から思います。これでFAOに来て私が直接イニシアティブをとって作った本(ISBN付きで発行されたもの)は9冊になりますが、今のところ一番時間がかかったものなので感慨深いのでした。実はもうすぐ記念すべき10冊目が出ますが、それもデザインが気に入っているのでわくわくしているところ。出たらまたここで嬉しげに紹介しますね。

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