小六月

昨日ローマでは12月だというのに、さんさんと太陽が照って数々の遺跡や教会に反射してとても美しい1日でした。そこで思い出したのが、この秋にちょっとだけ訪れた小諸(写真)。
私の愛読書である「千曲川のスケッチ」は、日本の山国の田舎での暮らし、厳しい冬の日々、ひたすら歩いて移動する修学旅行、などを先生から「君」と呼ばれながらなぞるような感覚で読んでいく本で、その細かい描写はまるで絵画のようで、人生の中で一度も訪れたことのなかった小諸という場所を文章から画像に変換し脳裏に焼き付けることすら可能にさせるものでした。
ちょっとだけ興奮しながら訪れた小諸からは千曲川という名称はなくなり、川にはダムもできていて半近代的な低いビルもあったりして私の想像とは残念ながら違ったものになっていましたが、秋深くなってきていたその時期のちょっとだけ不思議なあたたかな気候が記憶にのこりました。「小六月(ころくがつ)」という言葉を覚えたのはその「千曲川のスケッチ」を初めて読んだ13歳の時です。春の心浮き立つ気持ちとは少しだけ違っても、なんとなく嬉しい気持ちになる秋のあたたかな1日でした。

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