地元のトラットリアと友達の結婚

私の住む地域はローマの中でもかなり下町風のところで、Garbatella(ガルバテッラ)といいます。ローマの中心地からみると南に位置しています。とにかく、なんとも愛すべき地域なので私は本当に好きなのですが、時々あまりのごちゃごちゃな雰囲気にその良さを分かっていただけないことも多く、そんなもどかしいのも含めて大好きな、私の地元です。
ところで昨日は仕事が思いのほか忙しく、帰宅が8時半を過ぎてしまったのですが(日本では珍しくもなんともないでしょうが、私のフロアで残っているのは私だけでした)、駐車場に行く前に私の携帯がなって、誰かと思ったら近所の友達のMでした。イタリア人の彼は、外国人だし言葉も不自由な私をいつも不憫に思ってくれて、何かイベントがある度に誘ってくれるのですが、1年つきあった彼女のEと、このたびなんともおめでたいことに、結婚を決めたんですね。それでこのところその結婚の準備で忙しく、招待状をいただいた数週間前から連絡がなかったのですが、どうやら昨日はふたりの教会から結婚のためのサーティフィケートをやっとのことで手に入れたということで、祝福ムードだったらしく、私も仲良しの共通の友達のM2(私より2つ年下の男の友達です。Mと同じイニシャルでややこしいのでM2にしました)と3人で一緒にいるので地元のトラットリアに食事に行こうということでした。
私のイタリア語は恥ずかしながら、やっと普段の生活にぎりぎり困らないかなくらいの程度なので、議論好きなイタリア人の友達と(しかも3人と)食事に行くのは一瞬ためらってしまうのですが、昨日はなんとなくそれもいいかなと思って行くー!と参加しました。一番仲良しのMは多少英語ができるのでなんとか意思疎通は普通にできるものの、フィアンセのEとM2は全く英語は無理。ということで、時々タバコのためにでていくMに取り残されると、私はイタリア語で会話をせざるを得ず、それなのに話題は最近イタリアで大問題の移民問題だったりして、私もそれには思うところがあるので、めちゃめちゃなイタリア語で議論に参加してそれはもう、最初はまじめだったのにだんだん大爆笑になりました。私ってイタリア語だとエンターテイナーの素質ができたかもしれません(ウソ)。


行ったトラットリアはガルバテッラの「リ・スカリーニ・デ・マリサ」というトラットリアで、当然メニューなし、入り口にも微妙な看板しかなく、知らないと行けないタイプのお店です。テーブルにつくと飲み物を聞かれ、普通はお水とワインを頼みます。昨日も大きなボトルにお水と赤のハウスワインを注文しました。そのあと「前菜から行く?プリモからいく?」ときかれます。私たちは前菜からいくことにして、私は好物のズッカの花(ズッキーニというよりはカボチャの花です)とアンチョビのフライ。これはどんなお店にもだいたいある前菜なので、レストランの味をカテゴリー分けするのに便利なのです。「見た目重視だな」とか「マンマの味だな」とか「中身が凝ってるな」とか「あっさり目だな」とかいろいろ。ローマにお越しの方は是非「フィオーリ・ディ・ズッカ」と注文してみてくださいね。
そしてかわいいウエイトレスの女の子がメモ帳を広げて、「プリモは、これとこれとこれとこれとこれとこれとこれがあります」と立て続けに言うので必死で聞いて、その中で好きなのを選びます。そしてセコンドはあとで決めるね、といってとりあえずそこで注文は一時中断。いきなりさまざまな議論がはじまるのです。
プリモを食べ終わるころにまたかわいいウエイトレスちゃんが来て、「セコンドどうする?」と聞きます。この時点で普通の日本人はもうすでにおなかいっぱい(私も)なので非常に強烈に驚かなければいけませんが、イタリア人はだいたいここで何か頼みます。案の定、スリムな体型のEが「わたしカルチョーフォ(アーティチョーク)たべる」といいはじめ、Mも「チキンある?」と聞いています。M2が「ぼくはいいや」と言ってくれたので私はほっと胸をなでおろし、「私もいりません」と済ませました。
そのあとは当然デザート。ありえないでしょう?私は最初に聞かれたのでパス。すると3人がいきりたって「ドルチェいらないの??」と叫びます。当然のように3人ともデザートを頼み、全員が、「おいしいから一口たべなよ」と言ってきかないのです。イタリアにいる限り、食べ物には本当に困りませんね。なぜか、食べ物をひたすら勧める人というのが多すぎます。
そしておしまいだと思うでしょう?当然コーヒーがあります。そのうえ、ディジェスティーヴォといって小さなショットグラスに入ったハードリカーをいただくことになるのです。それはグラッパだったりアマロだったりいろいろ。私はサルデニア産のミルトというお酒が好きなのでミルトあるかなぁと思ってきいてみたらあるということだったので頼んだら、Mも最初はグラッパにしていたのに「え!ミルトあるの?じゃあミルト!」といって、EもM2もうらやましがったうえで結局全員でミルトをいただきました。ミルトおいしいんですよ。といっても結構なハードリカーなので酔っ払いますけどね。楽しいお食事でした。しかもMがおごってくれました。ありがとう、M。といってもこんなところ一生見ないし日本語よめないでしょうけれど。
9時から始まったお食事、家に帰ったら午前1時でした。ときどきこういうのはすごく楽しいけれど、ゆっくり大量に食べるし、かえってもおなかいっぱいだしで、旅行者にはちょっと適応するのが大変かもしれませんね。私の家族や友達も時々ローマに来てくれるのですが、食事のタイミングがなかなか合わないのをよく見る気がします。イタリアはお食事がおいしいのにもったいないですね。
ところでMとEカップルの結婚式は6月7日。ハネムーンはタイに行くそうです。イタリアで結婚式にお呼ばれしていただいたのは初めてなので今からすごく楽しみ。イタリア人にしては珍しく(失礼)、美男美女のカップルなので晴れの日のふたりを見るのも楽しみです。

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