モンジュイックの丘

Montjuic

スペイン旅行の最後の日はそれまでの曇り空から一転して快晴となり、気を良くした私たちはバルセロナ市内からケーブルカーに乗ってモンジュイックと呼ばれる丘に登ってバルセロナ市内と海辺を一気に気持ちよく眺めちゃおう!ということになりました。ここには古い城跡があってそこで気分のいい数時間を過ごせるかなと思ったのです。写真をクリックして私のフリッカーの大きめの写真を見ると、右側に海、左側に小さくサグラダファミリア教会が見えると思います。パノラマな景色って肉眼で見えるとあんなによく見えて、「あそこにあれがあるね」と確認しながら楽しめるのに、写真だとその感動の1/10すらも伝えることができないのでもどかしいですね。

ここまでくるケーブルカーの旅もなんだかあっという間のわりには楽しかったです。というのも、イタリアやスペインなどラテン語圏ではこういった「登山電車」のような傾斜のついたケーブルカーのことを「フニクラー」と呼ぶんですね。イタリア語では動詞で「フニコラーレ」といいます(当然主語によって語尾が変わりますのでフニクラやフニクリになったりするわけです)。mixiにはすでに書いたので私の友人にはもう伝えましたし、私の年代の人にはすっかりおなじみだと思いますが、その昔NHKの私のお気に入りの「みんなの歌」に「フニクリフニクラ」がありました。これはイタリアの歌なんですが、ナポリにあるヴェスヴィオ山にそのフニクラーができたときに作られた、なんと世界初のコマーシャルソングというものらしいですよ。詳しくはウィキなどでどうぞ。「鬼のパンツ」という替え歌でこの曲を知っている人も多いかもしれませんね。

それでこの曲をご存知の方ならわかると思うんですけど、ちょっとこの曲調は頭に貼り付くタイプのもので、一度心の中で歌い始めてしまうとずーっっと歌ってしまうのです。このケーブルカーにのってからというもの、それ以降バルセロナにいる間中私の頭の中では「ふにっくりっふにっくらっふにっくりっふにっくらー!」とさわやかにこの音楽が流れていました。そして特記すべきことは、この日本語訳の歌ではヴェスヴィオ山のことを英語表記で「♪ヴェスヴィアスー」と歌わせているところがなんだか通です。ってよくわかりませんが。

フニクラーをおりるとその上はゴンドラ乗り場になっていて、さらに丘の一番上のお城まで行けます。朝が早かったためほとんど誰もいないにもかかわらず、イタリアからの観光客がなぜかたくさんいて、せっかく秩序のあるバルセロナなのに「まっすぐな行列」を作ることのできない彼ら。その中でもひとつのグループが行列の先頭の人のところにいってくだらない交渉をしていたので他の人がいらいらしていました。彼らの言い訳は「私たちの飛行機の時間が午後の早い時間なので間に合わないかもしれないから自分達を先にゴンドラに乗せてほしい」です。イタリア人を知らない人はこれを聞いて、そんなバカなと思われるかもしれませんが、ローマでは時々こういうとんでもない言い訳に、みんなが「そうかそうか、じゃあ仕方ないね」と順番を譲ったりすることがあるんですよ。イタリアでまじめに順番を守ったりすると時々、本当に本当に損することがあります。

秩序のあるバルセロナの人々や他国の観光客に鼻で笑われ、結局列の最後尾に彼らは行ったのですが、ゴンドラ乗り場がオープンしてからはあっというまに全員ちゃんと乗れたのでそんなに必死になって最前列を確保することもなかったんじゃないかと思います。そして到着してみるとこの景色。たった今見たイタリア人のちょっと自分勝手なところや、私の日常の細かいこと、仕事のこと、心配なこと、不安なこと、そんなことがすべてこの青い空と海にスーっと消えていくような、そんなすがすがしさでした。夏になったらさらに海辺に行けるゴンドラも運行しているらしいので次回バルセロナに行くなら夏だね!とAさんと約束しました。モンジュイック、有名なミロ博物館にも行けて、本当に素敵なところでした。

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