オスティアの海、メラミンな一週間

先週は両親が帰国してからというもの、毎日毎日例のメラミン事件で私の所属する部署は大忙しでした。プレスリリースを出したり、様々な国からのオフィシャルな質問状に答えたり。もともと食品ではないものに対する食品基準というものは当たり前ですがないので、「基準値は?」と聞かれても困るというのが現状だったのです。つまり、逆を言えば「プラスチックに含まれて良い牛乳の量の基準値は?」と聞かれるようなものです。
これからまた他の食品に二次的に使われたとしていろいろと挙がってくることと思いますがとりあえずは中国国内と輸入を許可している国がターゲットとなります。ですが、エスニック食品を扱っている商店などになると、故意でも故意でなくても不法に販売している場合や、中国旅行の際に購入したり中国から大量に仕入れてきたりして(スーツケースの中など)税関をくぐりぬけたりでくる場合もあるので、そういった経路で他国に入り込む場合も多々あると思われます。ので、各国の政府へのアドバイスとしては自国の食品輸入コントロールの強化をすると共に、対象食品の自国への流通経路を把握し、中国で製造された高タンパク紛状食品(粉ミルク、粉チーズなど)がある場合はそれらを検査、メラミンが検出されればリコール、という対処をするようにアドバイスしています。


一般消費者へのアドバイスとしては、まずは自国の政府の意見を聞き、一般に売られている食品の中にメラミン汚染食品があるかどうかの可能性を把握したあと、自分でできることとしては小さなショップなどで食品を購入する場合に対象食品を含め中国産の高タンパク紛状食材を含む食品を今の段階では避けることをおすすめします。
それと同時に、メラミンというものは極端な高濃度でないかぎり緊急を要する毒性は最低限であることや、この事件は食品安全の部分が大きく取り扱われているとはいえ、どちらかというとFraud(食品詐欺)の部分が大きいということを理解することが必要でしょう。なぜ食品にメラミンを入れるのか、そのあたりの製造側の心理を考えると、このような事件はメラミンに限らないということがよく分かると思います。松茸に五寸釘が入っていたというような事件もありましたが、カテゴリーで言えばまったく同じカテゴリーに入る事件です。中国政府も必死で対応に追われています。私の所属するFAOやWHOなども中国政府と協力してさらなる効果的な食品安全のシステムの構築に力をいれています。
最近の食の安全に関する事件がアメリカやカナダなどの先進国でも起こっていることを考えると、完璧なシステムのある国は残念ながら現時点ではないということも消費者は頭にいれておく必要があります。
とまあこういったことで毎日きりきり舞いでした。週末くらいはゆっくりしようと思ってオスティアの海まで30分ドライブして海辺のマクドナルドでマックフラーリーを買って歩きました。海のある景色は癒されますね。最後の夏日といった感じで、水着で日光浴しているイタリア人もたくさんいましたよ。

2 Replies to “オスティアの海、メラミンな一週間”

  1. こんにちは、にわとりです。
    私は香港在住ですが、最近はメラミン関連の話題が上らない日はありません。政府も毎日食品の検査結果を発表しています。
    粉ミルクの価格をつり上げて儲ける店が出たり、(中国)大陸から香港まで粉ミルクを買出しに来る人もいるそうです。乳幼児を持つ親御さんは大変ですよね。
    それにしても、大陸の食の安全性は向上するのでしょうか。
    まさみさんはある意味今回の騒動の渦中にいらっしゃるんですね。頑張って下さい。

  2. にわとりさん:コメントありがとうございます。小さなお子さんをお持ちの方は本当にご心配でしょうね。中国政府はものすごく誠意を持って対応している様です(少なくともこちらにコンタクトのある方は残業残業で大変そうです)ので、少しずつは向上していくのではないかと思っているのですが、唯一の心配点はやはり今回のことが「意図的」だったということでしょうね。これはFAOの見解ではなく私の個人的な勝手な感想ですが、「メラミンがだめなら」と考える人がいるかもしれないと思うとちょっとぞっとします。そういった部分をもっと包括的にコントロールできる法的なシステムの導入が必要ですね。
    メラミン関連の仕事はやっと落ち着いてきました。今回のことで出張をひとつ延期したので、それに関する仕事に今は追われています。頑張りまーす。

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