Reconciliation (Benazir Bhutto)
出張に2冊の本を持っていったのですがDubaiで読み切ってしまったのでフィリピンに行く前に目についたこの本を買いました。あのパキスタンのブット元首相の最後の本です。とりあえず表紙の美しい彼女の写真にまず衝撃を受けます。タイトルはReconciliationでサブタイトルとしてIslam, Democracy, and the Westというのがついていて、多分意識的に仏教や他のアジアの国のことには極力触れないように書いてあるのが印象的です。ちょっと無視されている気すらしますが、それでも彼女の「パキスタンをなんとかしなければ」という強い意志を感じることができてちょっと感動します。イスラムの教えやキリスト教やユダヤ教などを比較しながら、どういうふうに教典や聖書を読み解いて行くかというのが本題なので、ちょっとそのあたりに明るくないと難しい部分も多く、何度も同じ箇所を読み直しながら理解を進めて行きました。が、私はこれを読んだことで過激派の人たちがどんなことを考えているのかが一瞬分かった気がして重い気分にもなりました。感想はさらに下に続きます。
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たった2カ所ですがちょっと思ったことを紹介します。43ページ。
THere is a famous saying of the Holy Prophet that “the best veil is the veil in the eyes.” That means that men should be God-fearing and look at women with respect.
私もこのようなことを考えたことがあったので。ナイーヴと言われようとも、「スリに合うような隙があるのが悪い」とか「夜中の3時に女独りで歩いているのが悪い」とか「露出の多い服を着ているのが悪い」とかいうのが普通の世の中って実際どうなのと、思いますよね。でも実際そんなキレイ事を言っていても現実味がまったくないので、やっぱりどこかでそのあたりに問題があるということは分かっていても、どうしようもないんでしょうね。イスラム教の一番ストリクトなのはサウジアラビアだと聞きますが彼の国では女性は血縁の男性が同行しなければ外を歩いてはいけないらしいですよ。
301ページ。
最後のところが本当だなーと深く頷いたので。
この本は彼女が暗殺されるほんの数日前に完成したそうです。あとがきには彼女の家族が連名で1ページのメッセージを載せていて、そこで初めて涙が出ました。あとがきの2行目の部分は、ちょっとBenazirは反対するんじゃないかと思うような文でしたが、家族の気持ちを考えれば当然でしょう。パキスタンに帰る決意をした彼女とそれに理解を示した彼女の夫の話し合いで、「子供達のためにはどちらかの親が生きていなければならない」という結論に達し、夫と子供達はUAEに残ったという部分を読んだとき、彼女の決意は本当に固くそして、こうなってしまう事も何もかも分かっていたのだなぁと思いました。オックスフォードを卒業した彼女の若い長男が頑張っているようですが、祈る気持ちで将来のパキスタンを見てみたいと心から思いました。