教育用マグネット

mg写真は、私が今回の研究の一環として作った食品安全の消費者教育用教材のマグネットです。もともとは、世界保健機関(WHO)の教材で、”5 Keys to Safer Food”というキャンペーンがあるんですが、その教材制作者に連絡したところ、タイで自由にそのメッセージを使って良いと言われたのでお言葉に甘えてこうしてタイ語バージョンの教材を作成したわけです。
一番上にはその”5 Keys to Safer Food”(食品安全のための5つのポイント)と書いてあって、ブルーの鍵は「手洗い」、グリーンの鍵は「生肉と野菜を別々にすることによってバクテリアの移動を防ぐ(クロスコンタミネーションを防ぐ、と言います)」、オレンジの鍵は「しっかり加熱」、パープルの鍵は「食品を保存する時バクテリアの繁殖する温度を避ける」、最後のピンクの鍵が「安全な水を使う」となっています。日本人からしてみたら、特に日本の食品業界の人から見たら、当たり前のことを今更何を言っているんだ、と思われるかもしれませんが、タイのバンコクのように発展した土地であっても、やっぱり途上国はこういった基礎的な教育はやはりちょっと後回しになっていて、これを一般消費者に理由と共に説明すると、驚くほどの納得を得ることができます。「え!!知りませんでした!今度からそうするわ!」という感じ。
実際のインターベンションの時は、バンコクのような都市部ではこれに合わせたパンフレットを一緒に手渡し、村落部では、タイ人のリサーチアシスタントを数名雇って、ワークショップをやってもらうことになっています。この教材製作というのは、実は私の研究には常についてまわるものなのですが、実際これが私のメインの研究ではありません。この前後の意識調査などが私のメインの研究なのですが、そのメインの研究をするためには、何らかの教材を製作する必要があり、ふつう教材はコピーライトなどの問題から簡単に外部の物を流用することが難しく、従って結局私が自分で作成するのが一番早い、という結論に至るので、こうして毎回自作するわけです。でもねぇ、このステップ(教材製作、マテリアルデベロップメントといいます)が、私、一番好きなんですよ〜。全く頭を使わなくていいし、デザインをひたすら考えたり、ああでもない、こうでもない、とフォトショップ上でいろいろ動かしたり、色を考えたり、なんて楽しいの!というステップ。


clsこのマグネットのサイズはどれくらいか、というと、これくらいです。ペンは普通の一般のペンのサイズ(そういえばこのペン、K大学のT教授からいただきました。不思議に黒いペン、赤いペン、シャープペン、蛍光ペン、といろいろ出るかなりの優れもののペンです)。
で、まるでモックアップかなにかに見えるこのマグネット、実は完成の姿です。実は以前行ったアメリカでの研究で、「消費者は、キッチンに食品安全への行動のリマインダーのようなものがあると、その内容に従いがちである」という結果が出たので、へぇぇ、と思っていろいろ見てみたんですが、マグネットにすると、人間はなんとなく何かにひっつけてみたくなるものらしく、一番最初に思いつくのが冷蔵庫らしいんですね。それで冷蔵庫になんとなく貼っておくと、何かのきっかけでじーっと見たりすることもあって、それで刷り込みのようになって結果内容を記憶してしまうほどのレベルになるみたいですね。人間って面白いですよね。私の研究は別に、人をそういうふうにマニピュレイトするっていう研究ではないんですが、そういった部分を利用して、人々の健康を守ることができるのならそれもアリかなぁと思うんですね。まあ賛否両論でしょうけれども。
kanaiで、どうやって作っているかというと、残念ながら、こういう業者に発注、とかじゃなくて、写真のようにこうしてもうコテコテの家内制手工業です。写っているのはイウです。耐水性のスティッカーにカラープリントして、薄いマグネット板を買って来てせっせと貼付け、それを切っているんです。50枚作ったところでイウが、「手が痛い」と言いだしてかわいそうになったので、また続きは明日やろうよ、ということにしました。
なぜ業者に発注するのをやめたかというと、イウ曰く、「業者に発注しても、彼らはこうして同じように家で家内制手工業をやる」んだそうです。ホントウなんでしょうか。もしかしたら本当なのかもしれません。だから高いお金を出して誰かにやってもらうくらいだったら、私がやる!とイウが言ってくれたのでした。ありがとうイウちゃん。まあでも今回の研究対象でこの教育インターベンションに参加してくれる人数は割と少ないので、私としては、まあ、手作りでもいいか、と思ったんですが、出来上がったマグネットを見ると、イウはとっても器用なのですごくキレイ。かなりプロフェッショナルなできあがりです。嬉しい。
インターベンションを来週に控えて私たちもちゃくちゃくと準備が整ってきました。私はもうひとつペーパーとプレゼンをやることにしました。今度はカセサートではなくてチュラ大で。頑張ります。

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