Ash Wednesday (Ethan Hawke)
Ethan Hawke、と読んで「え、あのイーサンホーク?」と思った方がいらしたら、その通りです。私の本屋さん(サヤームディスカバリーセンターにあるAsia Booksという洋書を扱っている本屋さん)でのリアクションもそのままでした。え、と思ってまた数歩歩いてもう一度、え、と思って2回立ち止まってしまいました。あの人ほどアホそうに見える役者さんもなかなかいないですよねぇ。いつもワーストドレッサー賞(ダサい賞)をもらったりしてるし、それを指摘されると15歳の少年のようにふてくされて、「だってスタイリストからもらった服を着てるだけだし」と怒ったりしてて笑えるし。で、え?本?いつ本なんか書くわけ!と思ってつい手に取って数ページ読んで引き込まれました。結局ファンなのか。というより、この人才能ありますよ。多分。最初のページにNovaの説明に”This is a kick-ass car.”なんて、今時小学生でも書かないような文章があったので、うわーやっぱり、と思ったんですが、よく読んでみるとそれってどうやら演出みたいでした。そういうようなことを言う男の人が主人公、ということ。どうやらこの本は処女作ではなくて2作目みたいですよ。しかも処女作結構評価高いみたいですよ。ゴーストライターでもないみたいですよ。そしてこの頃はウマサーマン(ユマサーマンと日本では言われるかも)とも仲良かったみたいですよ。日本で訳書が出てないなんてびっくりです。感想は下に続きます。
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追記(2005年10月7日):邦訳が出ていないなんて思いっきりウソでした。日本の本屋さんに山積みになっていました。邦題は「 いま、この瞬間も愛してる」だそうです。すごい邦題だな。
全体的に短いお話だし、軽く読めるしで、ゆっくり時間をかけて読もうと思って1日1チャプターと決めていたのに、1週間もたたないうちに読み終わってなんとなく惜しい気持ちでした。それくらい、かなり好みな話だった気がします。終わってしまって、あー終わっちゃった、とちょっと寂しくなるようなそんな感じ。最後の最後が、何か含みを持たせるようなお洒落な終わりだったのもあるんでしょうけれど、読み終わってしばらくぱらぱらと戻ったりして途中をまた読んだりして、余韻を楽しみたくなるような読後でした。写真はおなじみフォンノムで週末にこの本を読んでいたときにたまたま写真をとったので載せてみました。私が買ったのはUK版のペーパーバックだったみたいで、表紙はこれだったんですよ。
好きだったのはまず7ページ。
そうそう、そうなのよねぇ、と思わず思いました。とても仲良かったり好きだったり家族だったりすると、ちょっとイヤなことがあっただけで激しく嫌いになったりしますよね。不思議。知らない人のほうが人生に関係ないだけ好きになりやすいかも、と思います。
そして109ページ。
ここはシティーホールでマリッジライセンスを取るところなんですが、私もAさんとマリッジライセンスを取りにコルファックスのシティーホールに行ったときのことを思わず思い出しました。あの鄙びた町の、あの大きな時代遅れな分厚い帳簿に青いインクの古めかしいペンで名前をサインして、黒いところどころ破けた長椅子でしばらく待って、同じようにマリッジライセンスを取りに来たカップルと目を合わせて中途半端に微笑み合ったり、そういう情景。懐かしいです。
そして120ページ。
“You’re right about that, sir. Habit’ll kill you.”
なるほどー。という感じ。「習慣」が一番怖いんですよ、というのは私が栄養相談をするたびに必ず言う言葉だったりするんです。食事って「何が健康に良い」だの「何が健康に悪い」だの言われがちですが、実は「習慣にするのが一番健康に悪い」んですよ。
ちょっと長いですが159ページ。
Shaking my head like a horse with a long mane, I pushed the Nova up to 95 mph. It rests easier there than at 70 or 80. That’s the other thing: Know your car.
これってイーサンホークがいつも考えていることなんでしょうかねぇ。面白いですね。本当にドライブ好きなんだろうなと思います。私もドライブ結構好きです。いつも通り過ぎる車に乗っている人の人生などを想像して自分一人の世界で楽しんだりします。
167ページ。
ちょうどこの部分を読んでいたときが8月29日だったのでハっとしました。今、なぜ、ここでニューオリンズ。私はウェブにはあまり時事的なことは書きたくないんですが、あれはやっぱりこころが痛みます。まだいろいろシステマティックになっていないのもとても大変そう。私がオーラル発表したコンベンションセンターに集まる人、中の様子の恐ろしさに驚愕しました。このお話はこのあたりからニューオリンズのお話で、フレンチコーターや私とAさんが2日続けて食べたおいしいベーカリーらしきお店も出て来て嬉しくなります。あのベーカリー周辺、サテライト映像で見ると完全に湖化してましたね…。悲しい。でもAさん情報によると、フレンチクォーター周辺はちょっと土地が高いところにあって、もう水は引いているらしいですけど。
そしてだんだんクライマックスになりますが、207ページ。
この中の”trying to pretend to be mature”ってところがいいですね。時々そういうふうに私も思うことがあります。自分はまだ精神的に達観できないことでも、「大人なんだから」と達観しようとするその姿勢が大事なときってある気がする。
このパッセージの前に、Novaを路肩に置いて行くシーンがあるんですが、映画”Stand by me”で太っちょのコがクシを落とすシーンと同じような雰囲気があります。かなり好きです。
全体的にとってもお話上手だと思いました。イーサンホーク。ダメなこのカップルを、なんだかとても好きになる感じ。自分に重ねることはできなくても、「分かる分かる」って言ってあげたくなりました。車からバーガーの話から、全体に漂うAll-Americanなムードがとても良かったです。またいつかもうちょっと大人になってから読み返してみたい本となりました。セレブの本なのに私としてはかなりヒットでしたよ。
この本、私もかなり前に読みました!
ジミ-とクリスティの関係があまりにもどかしくて私は苦手でしたが
文章は上手だなぁと思いました。彼は脚本を書いたり監督したりしてるので
そうした才能は確かにあるんだと思います。
私の大好きな映画でたまたま彼が主役をしてることが多かったので(過去形)気になる存在だったのに、ウーマとの離婚でガッカリ。噂だと彼の浮気だそうだけど(本当のところは知りませんが)・・・。
全体に漂うAll-Americanなムードの本ってまさにピッタリな言葉ですね。私もまた読み返してみようかな。
twinkletさん:彼の脚本の映画って観た事ないですが(主人は知ってました)良いのですか?私はGattacaとか好きでした。あれはジュードロウが良かったのか。そういえば元奥様も主演でしたよね、あの映画。私はこの本なんだかとっても好きでした。処女作も読んでみようかな、と思ったくらいです。twinkletさんのおすすめの本とかあったら教えてくださいね!