Q-Food Expo 2005

タイの農務省と公衆衛生省が共同で開催している、Q-Food Expo 2005というのが私の滞在しているカセサート大学に結構近いImpact Centerというところで行われるというのでAewと一緒に行ってきました。びっくりしたのはそのサイズ。すっっごく大きいんですよ。この中のホールの7番、8番を使ってそのエクスポは開かれていました。他にも新しい会場建設が進んでいてびっくりしました。ここはドンムアン空港の近く(かな)。このエクスポのコンセプトとしては、政府が与える「Qマーク」という認証システムがあるんですが(日本のJASマークのようなものですね)、それを広めて一般の大きな企業にも小さな食品工場にも一般消費者にも、それを広めて食品安全の認識、基準を底上げしましょう、というものなんですね。タイ政府金持ちだー。こういうことを政府がやっちゃうっていうのがすごいですね。アメリカも金額的には同じくらい出しますが、出し方が違います。アメリカは研究者や大学にお金を出すんですね。政府がすべてをやらない。だから大学の先生達が頑張って国民の知識向上などの努力をしたりするんです。でもタイは政府がやっちゃうんですね。日本はどうなんだろう。日本もどちらかというと政府がやるのかな?


会場に入るといきなりこういうものがあって、どんな難しいセミナーが行われるのか、と思わされますが意外とそうではないです。Aさんなら分かるかなと思うんですが、IFTのFood Expoのような雰囲気で真ん中にセミナー会場が設営されていて、周りは小さなブースにそれぞれの企業、会社、お店などが出店のようなものを出してプロモーションしたり、ブローシャを配ったり、自社製品のサンプルを配ったり、はたまたお食事を出していたり、飲み物を売っていたり、という「ちょっとこぎれいな屋台村」状態なのです。でもそれなりに数時間に1度はセミナーがこの真ん中の会場で開催されていて、プログラムを読んだら(というよりAewに読んでもらったら)、「タイ国での食品安全改善の問題点」とか「食品安全の基準に従うステップ」とか「一般消費者に買ってもらうための食品安全確保」とか「うっわー聞きたい!」と思える内容ばかり。でも悲しいかな私はタイ語が分かりません。聞いても意味なし。Aewだって同時通訳できるほど英語ができるわけじゃないし。しかも同時通訳って英語力じゃなくて、いわゆる「同時通訳力」ってもんが必要だしね。
で、これがブースが並んでいるところ。いろいろありましたよ。CPという世界一とも言える食品会社のブースなんてもうひとだかりです。だって一般のブースの10倍くらいの広さをつかってキャンペーンしているしね。CPはタイの企業の中でもかなり食品安全に力をいれている企業ですね。それがタイ国民のためなのか、輸出のためなのかはちょっと分からないところですが、まあこういった大量生産を担う大きな企業が頑張って食品安全に力をいれることは良い事のはずです。キレイに装丁されたレシピ本を配っていて、その中には食品を安全に調理する方法や、栄養のバランスのとりかた、カロリー表示などいろいろな情報があって良い感じでした。あ、でも全部タイ語なので私はもらっても意味がないのでAewにあげちゃいましたけれど。
売っている人はやる気がなさそうですけれど、やたらと美味しそうに見えるヌードルたち。もちろんあのパッタイもありますね。これは時間的に3時とかそういった微妙な時間だったので誰も買っていないんですが、そのあと5時くらいにその前を通ったらもうこの通りには入れないほど大人気になっていました。フレッシュフルーツジュースのコーナーやナタデココ(なつかしいでしょう)のコーナーなどはおやつの時間に大人気になっていました。でもいつも思うんですけど、このタイの炒めヌードルやヌードルスープは手軽ですごく美味しいですね。ナンプラーとかそういった「ソースになる前にやたら時間をかけてつくられた調味料」というのがやっぱりポイントなんでしょうね。わたしが和食を「かえし」を使ってつくるようになってからそう思います。かえしを作るのは大変だけれど、一度作るとそれを使ってちょっと親子丼、とかそういう15分料理を作るのにもやっぱりひと味違うし。タイのヌードルは簡単そうに見えるけど、そういう意味ですごく美味しいんだろうなと思いました。
こんなブースもありましたよ!何だと思いますか?私のこのサイトを頻繁に見てくださっている方には分かっていただけたかもしれません。私が水上マーケットに行ったときにこわごわ食べた、あのカラフルなおやつなのです。ここではひとつ1バートで売ってありました。安い。だって水上マーケットのときは15個で60バーツだったから。単純計算で4分の1の価格じゃないですか。やっぱり水上マーケットは観光地なんですねぇ。まあ、40円か160円かでピーピー言うなって言われそうだけれど。この他にもスパイスのお店、ハーブのお店、お茶のお店、ワイルドライスのお店、冷凍食品のお店、おやつのお店、焼き鳥(サティですね)のお店、ヌードルのお店、などなど思いつく限り全ての食べ物のお店がブースを出していました。Aewいわく、バンコクやチェンマイの有名レストランもお店を出していてプロモーションをしていたとか。このエクスポに出店できるのは、政府から認定を受けた(Qマークなり、以前紹介した”Clean Food Good Taste”マークなり、それなりの認証)ところだけ、ということなのでどのお店も自信マンマンなのです。
ですがやっぱりここで思うのは、どんなに努力しても国によってやっぱり基準の違いというものはあるので、いろいろと気になることもある訳です。たとえば、アメリカは卵は「絶対に」冷蔵して売らなければいけないのですが、日本やタイでは常温で売ってあるところもありますよね。食品安全学上ではやっぱりいくら卵の殻の中に入っているとはいえ、摂氏15度以上になりうるところで4時間以上放置されると、リスクは高くなります。ここで大事なのは「リスクが高くなる」だけで、必然的にその食品が「危険になる」というわけではないということ。微生物だって生物なので「生きられる!」と思えるサバイバル条件が整えば増殖しはじめるけれど、なにかひとつでも条件が整わなければ増殖は始めないんですね。「食品」といわれるものにはほとんど全て、まして蛋白質食品(肉、魚、卵など)にはほぼ100%、微生物というものはいるので、結局それがどれくらい増えるかで人体に与える影響というのは変わってくる訳です。つまり、その微生物に増殖の条件を与えなければ「リスクは低くなる」ということ。で、「食品安全学」という観点から見ると、「リスクを低くする」「微生物の生存条件を整わせない」ということが大事になる。それで、アメリカではちょっとパセティックですが「卵は冷蔵を必須条件に」としたわけです。冷蔵しなかったからといって絶対ダメになるわけではないということ。でももしご家庭に子供さんがいて、万一半熟卵なんて食べさせる場合は、やっぱり冷蔵された卵を買うのが無難かと思われます。
で、まとめとしては、このエクスポでタイの農務省と公衆衛生省はこうしてQマークを推奨しているというわけです。まあプロモーションですね。このマンガもさっぱり意味は分かりませんでしたが、きっとこの絵は「Qマークのついた食品を選びましょう」とこのおばさんが言っているというところでしょうか。これで「Qマークさえついていれば安全」というような認識が定着してしまうと怖いんですが、とりあえずそれなりのプロセスをたどって市場に出された商品だということで、悪いことではないはず。でもねぇ。普通にMBKショッピングセンターなんかで199Bでルイヴィトンのフェイクショルダーバッグが売ってある国ですよ。同じような感じで軽くQマークをフェイクしちゃわないか?と聞かれるとうーん、と唸ってしまうんですけれど。

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