FAOへ行ってきました

バンコクには、国連の食糧農業機関(Food and Agriculture Organization, FAO)のアジア太平洋地域事務所があるのですが、今日は研究の一部でインタビューとしてその事務所のシニアオフィサーにお会いできるチャンスがあったので、喜び勇んで行ってきました。いつも思うことですが、明らかに忙しそうな人ほど、お願いするとなんとか時間を作ってくれる気がします。別にそんな重要なことしてないじゃーん、と思える人(失礼)こそ「忙しい、忙しい」と言ってまわっているような気がしますね。まぁそんなことはどうでもいいんですが、写真はそのFAOの門の前のサイン。なんだか重々しい雰囲気です。ここのすぐ横に大きな鉄の門があって、セキュリティーの人がふたりいて、彼らに用事を伝えると、「ああ、名前は聞いてありますよ」と言ってくれたので、自分のIDを手渡し、サインインし、ビジター用のネームタグをもらっていざ中へ。


FAOに入ってはじめに目にするのが、FAOの図書館。昔の王室の住居だったものを改築してこのように作ったらしく、かなり美しい建築物です。あまりに近すぎて全体像が撮れなかったのが残念なのですが。重々しい雰囲気でとても素敵です。このFAOの地域事務所は、実は先日書いた、カオサンの結構近くにあります。チャオプラヤー川のほとりなので思いっきり観光地なんですね。アポイントメントは9時だったのですが、交通渋滞を心配した私たちは早めに出たので8時過ぎには到着してしまいましいた。あんまり早く行き過ぎるのも失礼だということで、ちょっと近くでお茶でもしながら時間をつぶそう、ということになったですが、Aewが「私まだ朝ご飯食べてないから食べていい?」と聞いてきて、「もちろん!」と答えました。だって、当然のようにカフェでパンでも食べるのかと思っていたんです。そしたら彼女、普通にさっさと屋台に入って行ってタイヌードル(ビーフ入り)をつるつると食べはじめちゃいましたよ…。私、スーツ着て来てるのに、これに座るのか!とかなり躊躇する屋台イスでした…。タイに遊びにくる方、悪い事いいませんから、屋台に行く気なら、ジーンズとか何でも良いので汚れても良いもので出来るおしゃれを目指した方が良いですよ。

そしてこちらが実際のFAOの事務所の入り口です。図書館とは打って変わった近代的な作り。この自動ドアを入るとすぐにキレイにおしゃれした受付の人がいて、そこで名前と用件を伝えると、さらにサイン・インさせてくれます。それからゴージャスな待合室で待つ事10分。受付の人が、「オフィサーがいらっしゃい、とおっしゃってますよ」と教えてくれたのでそのままオフィスへ。インド人の博士なのですが、かなりハンサムな人で驚いてしまいました。もっと歳を取った人を想像していたので。そしてインド人らしくないキレイな発音でどんどん私のインタビューに的確にキビキビと答えてくださり、ああ、それはタイ農務省に知り合いがいるからそこの誰々に会ってみると良いよ、などなどどんどん人を紹介してくださって、私が「でも、私なんかがアポとっても会ってくださるかどうか」というと、「僕から君のことを話しておくよ」とまで言ってくださってもう、感謝感激です。私が聞きたかったことを全て答えてくださって、終わってみると30分の早業でした。しかも、先週はローマのヘッドクォーターにカンファレンスに行ってらしたらしく、そこでまとめたという食品安全に関するFAOのプロジェクトレポート200枚くらいをドサっとくれました。ううう、嬉しい。

で、終わってみて外に出てびっくりしたんですが、バンコクの渋滞ってやっぱりすごいですね。もうギッチギチにつまっていてタクシーすら拾えない。うろうろしていたらこんなところに到着しました。なんでも王室関係の建物はこのあたりにたくさんあつまっているらしく、これは何らかの式典が行われるときに王室のみなさんが使うところらしいです。向こう岸に見えるのは高価なコンドミニアム。チャオプラヤー川(なんか、いろんなものに「チャオプラヤー川」と書いてあるのでそれにならってますが、実際Aewが言っているのを聞くと、「チャープレーッ」って聞こえるんですけど気のせいかな)は相変わらず泥水って感じなんですが、先日の水上マーケットと違って、匂わないですね。やっぱりマーケットは食品があるから匂っちゃうのかも。このあたりは公園のようになっていて、夜になるとたくさんの屋外の芸人さんや、屋台などなど楽しい人々が集まってくるんだそうです。もちろん完璧な観光地なので、食べ物もお土産も観光地価格だとか。でもそれでも一度で良いから行ってみたいと思ってしまいますよねぇ。とかいってやっぱり私にとってはあまりに若い人ばかりで、カオサンに行ったときみたいに結局圧倒されてしまって何も買い物もできずにいるのかもしれませんが。あ、買い物と書いて思い出しましたが、最近ずっと絵はがきを探していたんですが、やっぱり絵はがきを買うなら観光地ですよね。ここの近くのセブンイレブンにいったらたくさん置いてありました。10枚セットで45バーツ(122円くらい)でしたよ。やっぱりこれも観光地価格なのかもしれません。

結局タクシーを拾うのは断念して、Aewが「ボートで帰ろう」と言い出したので、そうすることにしました。これはその船着き場。「プラ・アーティッ」というところで、「アーティッ」というのは、実は私も知っているんですが(得意げ)、日曜日のことを「ワン・アーティッ」というので分かるかと思いますが、「太陽」のことなんですねー。このあたりの船着き場には「大きな物」をシンボルにして名前をつけたものが多いらしく、この隣の船着き場は「プラ・ジャン」で、「ジャン」は「お月様」、その隣は「プラ・チャーン」で「チャーン」は「象(動物の)」だそうです。私たちはノンタブリというところまで行きたかったんですが(ってまるで私が行き先を知ってるみたいに見えますけど、単純にAewの言いなりです。私は彼女にただひたすらついていくだけ)、なぜかノンタブリ方面(上流?)の船がなかなか来なくって、下流行き(王宮方面)の船を5艘は見送ったでしょうか。時刻表によると5分おきくらいに来るということだったんですが、結局30分以上は待ったような気がします。

こちらはそうやって見送った下流行きの船。たくさんの旅行客が乗ろうとしているのが分かると思います。私の想像ですが、これらの人々はカオサンあたりの安宿に宿泊して、ボートで安く王宮へ行って観光をしようというところだと思います。それにしても西洋の人々は陽気ですねぇ。ここで船を待っている間、いろんな西洋人に(もはや何人か分からないから、アングロサクソン、とだけ書いておいたほうがいいのかもしれませんが)、怪しげなタイ語らしきもので話しかけられました。Aewも全然分からないと言っていたので、このツーリストたちなりの「努力の結果のタイ語」なのかもしれません。身につまされるので、なんとか助けてあげようと思って、英語で答えたら、強烈にびっくりされて、「あなた、何人?なんでアメリカなまりなの?」とすんごいブリティッシュ英語で言われました。なんでと言われてもねぇ。そっちこそなんでブリティッシュなまりなのよ。そしてしつこく、「タイにあと3日いるから、あなたの連絡先を教えて!一緒にいろいろなところに連れて行って欲しいの」とガイド代わりにされそうになりました。いやー私でよければガイドしてあげてもいいけど、私、場所だって何も分からないし言葉もしゃべれないよ。

そしてこちらボートの中。これを見ると分かるように、私たちが乗った上流行きのボートには観光客はほとんど乗っていません。上流に行ってもこれといった場所はないから。だからボートはすっかり地元の人の足となっています。制服を着た大学生たちの姿も見えることでしょう。でもねぇ、しつこいようですけど、私今日、FAOの要人と会うために超正装していったんですよ。ボート、座りたくないし、だいたいピアーの桟橋なんてタイヤを緩衝材にしてあるだけで、ハッキリ言って「飛び乗る」んですよ。タイでは正装も、ちょっと安物で汚れても「まあ仕方ないか」で気持ちがおさまるものにしておいたほうがいいかもしれませんね。今日着ていったスーツは私の中でも「ラッキースーツ」と決めているもので、私の母が「ここぞ」というときのために買ってくれたものなので、ちょっとでも汚したくなかったんです。でも、なんとか気をつけて過ごしたので汚さずにすみました。ホッとしました。

こちらはどうでもいいんですが、このボートに乗っていたおばさんで、なんだかトロピカルでキュートな髪飾りをつけていたので、「うわーいいなー」と思って望遠レンズにまでして撮影したものです。いいなーと思ったけれど自分がするかどうかは分かりませんけれどね。このおばさんが何気なくしているから良く見えるのであって、これそのものが強烈にかわいいかといわれるとそんなこともないし。いや、結構かわいいけれど。

ところで一般の路上を走っているバス(エアコン付きもエアコンなしも)に乗ったときも思ったんですけど、車掌さん(だいたいは女性)ってすごいですよね。誰が新たに乗り込んで来たかを100%把握しています。金属製の筒のようなものを持っていて、その中にコインのおつり、切符(トイレットペーパーのようなロール式になっている)が入っていてそれをまるでアルミフォイルを切り取るようにその金属の筒をうまく使って切符を切り取り、ものすごい早さの暗算でおつりを返してきます。この船でもそうでした。また得意げになりますが、私はやっと最近数字を聞きとることができるようになってきて、「シッソーンバー」といわれてちゃんと12B出しましたよ!嬉しいなぁ。そして船にゆられること30分くらい(もっとかも)、ようやくノンタブリに到着して、さて、ここからカセサート大学まで果たしてどうやって行くのか?と思っていたら…。

これ、単なる寝グセ頭のおやじの写真じゃないんですよ。これは私も以前から不思議に思っていた、バンコクの「マイクロバス型乗り合いバス」の中なのです。Aewがどんどんこれに乗り込んでいくので「???」と思ったものの、仕方ないのでくっついていくと、このバスの一番後ろに座るやいなや、Aewは眠り始めました。えええーと思ってしばらく待っていると次々にいろいろな人が乗り込んできて、ついにマイクロバスが満員になります。この間20分くらい。そして満員になったのを確認した運転手がよいしょ、と乗り込んでやっと走り始めました。

私は不安でずっと窓の外を見てここがいったいどこなのかを把握しようと頑張っていたんですが(無意味な努力でした、結局何もヒントになるようなものは見えなかった)、すぐにAewが起きてきて「あ、走り始めた」とつぶやいたかと思うと突然「あれが農務省だよ」と窓の外を指差しました。ということは、また私ここにくるのね、とちょっと絶望的に考え、そのまままた眠ってしまったAewを恨めしく思いながら(でも、彼女も今日はFAOに行くために5時起きだったはずなのでかわいそうなんですけど)じっと窮屈にマイクロバスに乗っていたらだんだん見慣れた風景が見えてきました。カセサート大学周辺です。そしてムクっと起きたAewが突然何かを運転手に向かって叫ぶとバスがぐーっと左に寄ってとまって、ひとり10B払って降りました。10Bですよ10B。朝はタクシーで153Bかかった道のりが、ボート(12B)+マイクロバス(10B)の二人分で44B。一体どういうことなんでしょうか。でもこのマイクロバスは明らかにタイ語ができないと乗れそうにないので一人で利用するのは絶対無理ですね。タイで暮らすのって楽しいけど結構壁があるなぁと思いました。だってアメリカだったらだいたい金額とかどこかに書いてあって、困ってもなんとかなる、という状況があるけれど、タイだと困ったら困ったまま、ということもなきにしもあらず。いや、結局なんとかなっちゃうものなのかもしれませんけれどね。

というわけでFAO訪問ですごく感激して楽しかったわりには最終的には帰路は冒険劇となりました。そのあとカセサート大学で重要なミーティングがあって、それでさらに嬉しいことがあったりして、私は幸せだなーと思いました。来週も大事な人にあったり、ミーティングを重ねたりなど、また冒険づくしですが頑張ります。

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